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ゆきと春香  作者: のこころ
34/63

侵入者




ジャリッジャリッ…


洞窟内に、静かに足音が響く。




「何者だ?」


足音の主はピタッと足を止めた。




「へぇー、気配は分かるんだね。」


瞬が足音の主の前に、いつの間にか立っていた。




足音の主は長身の中年の男で、軽そうな鎧を装備していた。




「その鎧の紋章、隠してるけど、セブンピア国のだね。」


瞬は男をじっと見つめた。




「…お前は何故ここに居る?何処の国の者だ?」


男は剣を握った。




「俺は、網走 瞬。ムーンブルク軍所属って言えば分かるかな?」




「何だと!?適当な事を言うと、只ではすまんぞ小僧!」


男は剣を抜いた。




「適当かどうか、試してみる?凄く動揺してるけど、もしかして誰かに見つかったらヤバかった感じ?」




「黙れ!!少し痛い目にあってもらうぞ。」


男は剣を振りかぶり、瞬に突進してきた。




瞬は微動だにしなかった。




「でりゃあ!!!」


男の剣は瞬を斬った。




「!?」




しかし、瞬の姿は一瞬で消えてしまった。




「消えた…」


男が辺りを見回すと、男の真後ろに瞬は立っていた。




「うわぁ!!」


尻もちをつく男。




「まだやる?」


瞬は銃を男に向けた。




男は汗だくになり、急に項垂(うなだ)れた。


「本物のムーンブルク軍なのか…俺はもうお終いだな…」




「何か訳アリみたいだね。話聞こうか?」


瞬は銃をしまった。





◇◇◇◇





男の名前は、夜霧(よぎり) 佐助(さすけ)。セブンピア国の専属兵。


主にモハネド大臣の護衛や、隠密行動を行う。


今回モハネド大臣の司令で、ゼロの大陸アパ火山の調査の為上陸。但し、ゼロの大陸への上陸は、現在国際法で禁止されている為、他国の者に発見された場合は殺害してでも口を封じる事。





「ふぅん、相変わらず食えない大臣だね。」




「ははは、何も言い返せんな!」


夜霧は笑った。




「夜霧さん、モハネド大臣の狙いは何?アパ火山の調査って…」




「他国に知られぬ様に、ゼロの大陸に基地を作ろうと計画していた…モハネド大臣は隠れ家としてこのアパ火山は、最適と思ったのだろう。」




「ゼロの大陸上陸禁止の国際法は、ジェイスさんが各国に約束させたのにね。」




「どの道この計画はお終いさ、私がしくじったからな!(笑)」




「夜霧さん、国に帰ったら大臣に怒られるんじゃない?」




「いや…怒られたりはしないさ、まぁ殺されるだろう、口封じとして。」




「マジで?」


瞬が目を丸くした。




「モハメド大臣は、そういう人だ。私の家族には、事故死と伝えるのだろうな。」




瞬は、少し沈黙してから口を開いた。


「…俺は、ジェイスさんの許可なく勝手な真似は出来ないけどさ、夜霧さんを絶対死なせないから。」




夜霧は一度驚いて、ニコッと笑った。


「ありがとう、その気持ちだけ頂いておく。ジェイス フックスターは、兵の教育が行き届いているな。」




「大臣には適当なこと伝えればいいよ、火山内は餓者軍に占拠されていたとか。」




「そのようなことを伝えて、もし嘘がバレたら私の家族も罰せられてしまうのでな。家族には幸せになってほしい。」




「夜霧さんが死んだりしたら、家族に幸せなんて無いよ。」




「ふふ、若者よ、私も国に命を捧げた兵なのだ、覚悟は出来ている。」




「…分かった、とりあえず今日は一晩泊まっていきなよ、それくらい大丈夫でしょ?」




「…そうだな、明日セブンピアに帰るとしよう。寝れるような場所はあるのか?」




「うん、最高の場所があるよ。許可取ってないけどね(笑)」





◇◇◇◇





ベロチューとゆきは菜園から帰っていた。


瞬は、ベロチューに事情を説明し、夜霧の受け入れをお願いした。


ベロチューは、喜んで承諾した。




「夜霧さん、初めまして!私、柊 ゆきって言います。」


ゆきはお辞儀をした。




「赤い生き物もビックリだが…こんな少女もムーンブルク軍なのか…驚くことばかりだ。」


夜霧は、ベロチューにシチューを貰った。




「何て美味しいんだ、ベロチュー殿、素晴らしい料理をありがとう。」


夜霧はベロチューに頭を下げた。




「素晴らしい料理なんてな…照れるな…」


ベロチューは、飛び出た目玉を手で隠した。




「俺はそろそろ休むよ、明日も朝から進む道を探さないとね。」


瞬は部屋の奥の寝室に入っていった。




「あ!ベロチューさん!私お風呂入ってもいい?菜園に行って汗かいちゃった。」




「構わないな、温泉だからいつでも入れるな。」




「ありがとう!」


ゆきは風呂の準備をしに奥の部屋に入っていった。




ベロチューと夜霧2人が残った。




シチューを食べ終わった夜霧が器を持って立ち上がろうとした時、ベロチューが声をかけた。




「夜霧さん…あの子達な、どう思うな?」




「…はい、二人共真っ直ぐな目をしてますな。」


夜霧は、器を置いて座り直した。




「そうだな、あの子達は真っ直ぐ前を見て進んでるな。夜霧さん、あなたの目も真っ直ぐだったはずだな。」




「……そうですね、今の私はただの道具です。」




「守るべき者があるなら、そんな目をしてたら駄目な。守るべき者を守るなら前を見て進むな。あなたは道具では無いな。」




「………はい。」


夜霧は、涙をこぼした。




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