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ゆきと春香  作者: のこころ
32/63

アパ火山に行ってみようっ!






ぽん爺の授業28日目━━━━━━━━





「チャンタ!」


春香が叫ぶと、光の渦が現れる。




「にゃおん。」


チャンタ(春香の飼い猫)が渦の中からひょっこり出てきた。




「うーん、チャンタやっぱり大きくならないなぁ…」




チャンタは春香に抱かれて満足そうに喉をならした。




「ふぇふぇふぇ、呼び出し魔法と違って本体を変化させるのはちょっと難しいじゃろ?」


ぽん爺がお茶を飲みながら言った。




「うん!呼び出し魔法の時は、チャンタ3メートルまで大きく出来たの。空も飛べたし…」




「うむ、それは、本体に魔法を掛けて呼び出しとるからな、召喚魔法は本体では無い、本体に限りなく近い具現化した魂じゃからのぅ。」




「可愛いからいいけどね!」


春香はチャンタをモフりながら開き直った。




コーリーが横でコケた。




「コーリー君は、どうじゃな?」




「はい!だいぶ出来るようになりました。」




「そうか、見せてみい?」




「分かりました。」


コーリーは真剣な眼差しで集中した。




「小人交響楽団!!」


コーリーの前に光の渦が現れ、小さな三角帽子を被った小人達のオーケストラが出現した。




「コーリー君のオーケストラ何回見ても可愛いー!」


春香はチャンタを抱きながら、座り込んだ。




「演奏はできるようになったかの?ふぇふぇふぇ。」




「見てて下さい。」


コーリーは楽団に、指揮棒を向けた。




小人達の楽団はスっと楽器を構えた。




コーリーが指揮棒を振ると、心地よい音楽が流れる。





◇◇◇◇





「凄ーい、聞いてると…寝ちゃいそう…」


春香はウトウトしている。


チャンタは春香に抱かれながら爆睡していた。




「見事な集中力じゃのう…」


ぽん爺もウトウトしていた。




演奏は5分程で終わった。


コーリーが春香とぽん爺にお辞儀をすると


小人の楽団は消えていき、コーリーはガクッとその場に崩れ落ちる。




「コーリー君!大丈夫!?」


チャンタはびっくりしてスーっと消えた。


春香が駆け寄って心配する。




「ハァハァ…大丈夫です、すいません。」


コーリーは立ち上がった。




「見事じゃよ、この期間でここまでやるとは思っとらんかったぞ。」




「コーリー君、無理し過ぎー、部屋でも練習してるでしょ?」




「はい!まだ1曲ですけどね。」


コーリーは照れくさそうに笑った。




「コーリー、今の曲は何て曲なんだ?」


ジェイスが煙草を吸いながら外に出てきた。




「ベノン ミギダス 交響曲 "転寝(うたたね)"。父の作った曲です。」




「ほう、親父さんの曲か!いい曲だ。」




「は、はい!」




「ふはは!頑張れよコーリー、俺はちょっと出てくる。」




「どこへ、行くんじゃ?」




「あぁ、ちょっと瞬とゆきが気になってな…」




「ジェイス様!ゆきは、何で帰って来ないの?」


春香が泣きそうになって聞いた。




「心配するな、ゆきと瞬は、アパ火山の内部にいることは、分かっている。何かに時間が掛かっているんだと思う。それをちょっと探りに行ってくる。」




「春香ちゃん、ジェイスの情報に嘘は無い、心配せんで大丈夫じゃよ。」


ぽん爺がフォローした。




「本当に?ゆき、大丈夫?」




「あぁ大丈夫だ。」


ジェイスは春香の頭をポンと優しく叩いた。




「では、行ってくる!シルビア来てくれ!」


ジェイスが叫ぶと、金色のドラゴンが凄いスピードで降りてくる。




バサバサバサバサ!!




「凄い!金色のドラゴンだ…」


コーリーが思わず見とれた。




金色のドラゴンは細身で、以前乗ったことがある巨大なガイルと違い、全長2メートル程の小さなドラゴンだった。




「何処に行く?ジェイス。」


金色のドラゴンは、ジェイスに尋ねた。




「アパ火山まで頼む、全速力だ。」




「ドラゴン最速の私に全速力で行けとは…悲しいねぇ…乗るがいい。」




ジェイスはドラゴンに跨った。


「頼んだぞ、シルビア。」




「ジェイス、吹き飛ばされるなよ!」


そう言うと、シルビアは地面を大きく蹴りあげた。


激しい翼の羽音と共に、ジェイスを乗せたシルビアの姿は見えなくなった。





「しかし、2人共見事な召喚魔法じゃったぞ、さて、少し休憩するかの。」




「はーい。」


「はい!」


春香は心配そうに空を見つめた。





秋もそろそろ終わろうとしていた。





◇◇◇◇





風を切って飛ぶシルビア。




「どのくらいで着きそうだ?」


ジェイスが煙草に火をつけようとするが、風が強く、つけられないで舌打ちした。




「あと5分だな。」


シルビアが言った。




「そうか…火山のそばまで行けるか?」




「無理だろう、もうすでに火の鳥に勘づかれてる。」




「流石神鳥、神経過敏だねぇ、ふはは!」




「俺は火の鳥と戦うなんてお断りだぞ、ジェイス。」




「戦わねーさ、状況把握するだけだ。多分、2人は幻術にかけられてるんだと思う。」




「神通力か、解けるのか?」




「まぁ、やってみるさ、ふはは!」




「ふっ、調子に乗って火の鳥に目をつけられるなよ。」




そして、


アパ火山が遥か遠くに見えてきた。




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