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ゆきと春香  作者: のこころ
17/63

瑠璃色の瞳




「にあさんっ!こいつ中将辺りっすか?」



薄れていく意識の中、月詠の耳に男の声が聞こえた。


「私には…分かりません…ごめんなさい。」


今度は女性の声が聞こえた。


「そっすか!おいっ!猫!お前中将か?」



月詠は不思議に思った。

骸骨兵に胸を突き抜かれ、死んだはずなのに…会話がハッキリ聞こえてくる。


(そうか…私は魂になったのね…)



「お前ら…何者にゃん?てゆーか、この白い光はなんなのにゃん…。」



「猫おおお!!俺の!質問に!」



「うにゃぁああああああああぁぁぁ!!!お前らまさか!ムーンブル…」



「答えろお!!ボケがあ!!」



グワッシャーーン!!!



激しい衝撃音に、月詠は目を開けた。

目の前に髪の長い女性が立っていた。

瞳の色がとても綺麗な瑠璃色(るりいろ)をしていた。



「あの…大丈夫ですか?もう餓者兵は居ませんので…あの、安心して下さいね。」


女性は月詠の頭に手を当て、ニコッと微笑んだ。


「あっ!あのっ!皆が殺されて!」

月詠が馬車の方を見ると、壊された馬車の周りには、団長含め、楽団員達が不思議そうにポカーンと立っていた。

4頭の馬も居る。


「みんなが!生きてるっ!神様っ!!」

月詠は髪の長い女性にひざまずいて頭を下げた。


「あの…私は神なんかではありません。頭を上げて下さいね。」



「俺たち!生きてる!!」

「団長お!!」


楽団員達がみんな抱き合って喜んだ。


「月詠お!!生きてるのね!良かった!」

健二郎の声も響く。


月詠の前にボロボロの学生服を着た男が現れた。


「お姉さん、仲間の所に行ってやんな。にあさんは馬車は直せないから、馬車だけは自分達で何とかしな。」



「は、はいっ!本当にありがとうございます!せめて、お名前を。」



「名乗る程のもんじゃねえ、早く行ってやんな。」


「は、はいっ!」

月詠は2人に深々とお辞儀をして、馬車に走った。


月詠も楽団員達と抱き合って喜んだ。


「月詠、今話してた人達は何者…?」

健二郎が聞いた。


「分からないの…ただ、私達を助けてくれた人達ってことは分かる。」


気付くと2人の姿は無かった。


「やっぱり…神様なのよ!」

月詠は天を見た。


「あの人達はムーンブルク軍の人達だよ。女性の方は聞いた事がある。男性の方は分からないが…。」

ベノン団長が言った。


「あの人達がムーンブルク軍!?」

楽団員達は唖然とした。


「紫の長い髪に瑠璃色の瞳…あの女性は大僧侶、絵月名(えげつな) にあ様に間違いない。」


「大僧侶って…す、凄い!ムーンブルク軍凄い!」


「殺されたのに!私達!」

楽団員達は手を取りあった。


「あんな凄い人達がいる所にコーリー君行っちゃったんだね。」


「そうねえ…、サイン貰ってきてもらわないとね!」

健二郎の言葉に皆が笑った。


「さあ!皆で馬車を直すぞ!そこまで壊れてない!日が暮れるまでにアシックスに入国しよう!」

ベノン団長が声をあげた。


「おー!!」



◇◇◇◇



「あいつ、多分中将どころか、ただの兵っすよ!にあさんっ!」



「そ、そうかしら…お話をされてたので、左官以上だと…思うのですが…。」


「雑魚っすよ!やっぱ将官クラスじゃないと駄目っすね!」


「何が…駄目か分かりませんが…ごめんなさい。」


「いや!中将倒してきたっす!くらい土産話無いと、ムーンブルク軍入れてくれないじゃないっすか!ジェイスの旦那!」


「そんなこと…無いと思いますよ。」



凄まじいスピードで飛行するにあ。

そこに並走して走る男。



2人はムーンブルク軍基地に向かっていた。



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