瑠璃色の瞳
「にあさんっ!こいつ中将辺りっすか?」
薄れていく意識の中、月詠の耳に男の声が聞こえた。
「私には…分かりません…ごめんなさい。」
今度は女性の声が聞こえた。
「そっすか!おいっ!猫!お前中将か?」
月詠は不思議に思った。
骸骨兵に胸を突き抜かれ、死んだはずなのに…会話がハッキリ聞こえてくる。
(そうか…私は魂になったのね…)
「お前ら…何者にゃん?てゆーか、この白い光はなんなのにゃん…。」
「猫おおお!!俺の!質問に!」
「うにゃぁああああああああぁぁぁ!!!お前らまさか!ムーンブル…」
「答えろお!!ボケがあ!!」
グワッシャーーン!!!
激しい衝撃音に、月詠は目を開けた。
目の前に髪の長い女性が立っていた。
瞳の色がとても綺麗な瑠璃色をしていた。
「あの…大丈夫ですか?もう餓者兵は居ませんので…あの、安心して下さいね。」
女性は月詠の頭に手を当て、ニコッと微笑んだ。
「あっ!あのっ!皆が殺されて!」
月詠が馬車の方を見ると、壊された馬車の周りには、団長含め、楽団員達が不思議そうにポカーンと立っていた。
4頭の馬も居る。
「みんなが!生きてるっ!神様っ!!」
月詠は髪の長い女性にひざまずいて頭を下げた。
「あの…私は神なんかではありません。頭を上げて下さいね。」
「俺たち!生きてる!!」
「団長お!!」
楽団員達がみんな抱き合って喜んだ。
「月詠お!!生きてるのね!良かった!」
健二郎の声も響く。
月詠の前にボロボロの学生服を着た男が現れた。
「お姉さん、仲間の所に行ってやんな。にあさんは馬車は直せないから、馬車だけは自分達で何とかしな。」
「は、はいっ!本当にありがとうございます!せめて、お名前を。」
「名乗る程のもんじゃねえ、早く行ってやんな。」
「は、はいっ!」
月詠は2人に深々とお辞儀をして、馬車に走った。
月詠も楽団員達と抱き合って喜んだ。
「月詠、今話してた人達は何者…?」
健二郎が聞いた。
「分からないの…ただ、私達を助けてくれた人達ってことは分かる。」
気付くと2人の姿は無かった。
「やっぱり…神様なのよ!」
月詠は天を見た。
「あの人達はムーンブルク軍の人達だよ。女性の方は聞いた事がある。男性の方は分からないが…。」
ベノン団長が言った。
「あの人達がムーンブルク軍!?」
楽団員達は唖然とした。
「紫の長い髪に瑠璃色の瞳…あの女性は大僧侶、絵月名 にあ様に間違いない。」
「大僧侶って…す、凄い!ムーンブルク軍凄い!」
「殺されたのに!私達!」
楽団員達は手を取りあった。
「あんな凄い人達がいる所にコーリー君行っちゃったんだね。」
「そうねえ…、サイン貰ってきてもらわないとね!」
健二郎の言葉に皆が笑った。
「さあ!皆で馬車を直すぞ!そこまで壊れてない!日が暮れるまでにアシックスに入国しよう!」
ベノン団長が声をあげた。
「おー!!」
◇◇◇◇
「あいつ、多分中将どころか、ただの兵っすよ!にあさんっ!」
「そ、そうかしら…お話をされてたので、左官以上だと…思うのですが…。」
「雑魚っすよ!やっぱ将官クラスじゃないと駄目っすね!」
「何が…駄目か分かりませんが…ごめんなさい。」
「いや!中将倒してきたっす!くらい土産話無いと、ムーンブルク軍入れてくれないじゃないっすか!ジェイスの旦那!」
「そんなこと…無いと思いますよ。」
凄まじいスピードで飛行するにあ。
そこに並走して走る男。
2人はムーンブルク軍基地に向かっていた。




