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ゆきと春香  作者: のこころ
16/63

悪夢は突然やってくる




「団長ー!こんなに貰っていいんですかい?」




「あぁ…国からとんでもない額が届いたんだ。楽器なんかも新調出来るな。」




コーリーの父が率いる音響楽団【カッツォ】は、次の公演予定のアシックス国に向かっていた。


移動には、巨大馬車を使う。


馬車馬はベノン団長の愛馬4頭。


魔法がかかってるので、かなり大きい。




馬車の中では楽団員達が雑談をしていた。




「エステにいっぱい行けるわ!アシックスには有名なエステがあるのよ、本当コーリーに感謝ねえ。」


オネエヴァイオリニスト健二郎は、ルンルンスキップをした。




「コーリー君、ムーンブルク軍に着いたかな…軍の怖い人に虐められなきゃいいけど…あの子おとなしいから。」


フルーティストの月詠つくよが呟いた。




「あらあ!月詠コーリーが心配なのね!LOVEってやつなのね!」


健二郎は基本的にウザイ。




月詠は、健二郎に冷ややかな目線を送り、ため息をついた。




「コーリー君の指揮は、凄いからなぁ…天才って居るんだなぁってつくづく思う…。軍隊じゃコーリー君の才能が生かされないよ…。」




「生意気だけどね!」


健二郎がまつ毛を手入れしながら呟く。




「…そう言うけど健さん、コーリー君が指揮の時は凄い気迫の演奏してるくせに…。」




健二郎が月詠に言い返そうとした時、馬車が大きく揺れた。




グラッ!





ヒヒーン!




馬車馬が大きく鳴いて、馬車は急停止した。




「わぁ!なんだっ!」


「キャー!」


馬車の中の棚から小物やらが落ちて、めちゃくちゃになった。




「餓者軍だ!餓者軍が出たぞ!」


外から大きな声が聞こえる。




「ちょっと!餓者軍が近寄れない結界魔法かけてあるんじゃないのっ!」


健二郎も叫ぶ。




「近寄れないのは弱い餓者兵…左官クラスが来たのかもしれねえぞ…。」


コントラバシニストの泰造(たいぞう)が怯えながら言った。




「ヒヒーン!」




馬車馬の雄叫びが響く。




「左官クラスですって!上等だわ!私がぶっ潰してやるわよ!」


健二郎は護身用木刀を掴み、馬車から飛び出た。




健二郎が目にしたのは、もはや原型のない4頭の馬車馬と、団長含めた、楽団員の切り刻まれた死体だった。




「だ、団長…みんな…」


健二郎は、血の気が一気に引いた。




「にゃるわはははは!出てきたにゃあ!」




健二郎が声の方を見ると、蝶ネクタイをつけて派手な服を着た猫が立っていた。




「てめぇ…が、やったんだな。」


健二郎の声が低くなり、鬼の形相になった。




「そうだにゃあ!餓者軍大佐のニャンダフル様が殺してあげたにゃん♪にゃるわはははは!」




「ぶっ殺してやる!」


健二郎は木刀を握り直し、ニャンダフルに向かって走った。




「にゃるわはははは!醜いにゃあ!」




健二郎がニャンダフルの頭に木刀を振り下ろした!


が!木刀を持った右腕ごと地面に落ちた。




「ぐわああああああああああああああああああああああああああああ!」




「にゃるわはははは!にゃるわはははは!腕要らないにゃ♪」




更に、健二郎の左腕も地面に落ちた。




「て、てめぇは必ず…殺してやる!」


健二郎はニャンダフルを睨みつけながら倒れた。




「醜い…ほんと人間は醜いのだにゃん、早くこの世界から抹消しないとダメにゃん。」




他の団員も馬車から出てきて惨状を目の当たりにした。




「キャー!殺される!」


「逃げろ!」


逃げ出す楽団員達。





「にゃるわはははは!人間共!だーれも逃がすわけにゃいだろ!」


ニャンダフルが右手を上げると地面から骸骨兵(がいこつへい)がボコボコと出てきた。




骸骨兵は団員が逃げようとする場所にボコボコボコボコ出てきて、誰も逃げられない。




月詠の目の前に骸骨兵が立ちはだかる。




月詠は天に祈った。


…誰か、誰か助けて…




骸骨兵は長い槍を月詠の胸に突き刺した。



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