おまけ とある貴族家にて
感想に書いたおまけを加筆して公開。
その日の前日その家には一本の吉報が届き。
その家の当主は、全ての仕事を後回しにして、屋敷で待機していた
そして、その家の前に岸に先導された馬車が一台止まった。
「お父様、ただいま戻りました。ご迷惑をおかけし申し訳ありません。」
「娘よ、お前は悪くない。王都で行われていた茶会であるからといって、わしが気を抜いていたのが悪い。すまなかった。」
「父上は悪くありません、それよりも私は、私はとんでもないことをしてしまいました。」
「娘よ、もし助かるためにやったことであれば何であれしょうがない。なーに、その辺はわしが頭を下げればいいならいくらでも・・・」
「そうではないのです。うっ……」
娘は泣き出し会話にならない。
娘を連れてやってきた魔王討伐軍所属の騎士
「閣下、ご令嬢から言わせるのは、流石に忍びないので、私が状況を説明させていただきます。気を落ち着けて聞いてください。この後正式な発表はありますが、魔王が討伐されました。」
「それは素晴らしい!さすが魔王討伐軍だな。」
「いえ、それが違うのです。」
「何が違うのだね?」
「魔王を討伐したのは勇者なのです。」
「勇者は例の件で行方不明であったのでは?」
「それが単身魔大陸に渡り、たった一人で魔王城に乗り込み魔王を滅ぼされたのです。」
「それは誠か?少し待て、滅ぼしただと?」
「はい、歴代の勇者様のどなたもが不可能であり、一時的に倒すことしかできなかったあの魔王を勇者様はこの世界から完全に滅ぼしました。」
「ということは、もう2度と魔王が復活することはない?」
「はい閣下その通りです。これはとてつもない偉業です。魔王を滅ぼしたあと、魔王城の地下で氷の彫刻に
加工されていたさらわれたご令嬢を見つけ、その解放に尽力くださったのですが・・・」
「そうか・・・それは大きな貸しを勇者に作ったな・・・」
「はい閣下、それは大きい借りです。ただそれで話が終われば良かったのですが・・・」
「何か問題が起こったのか?」
「はい閣下、勇者様は自分の身分を隠され、その・・・」
「いったいなんだ?はっきり言え」
「はい閣下、どこにでもいる平凡な顔の若者で、安物の剣しかもっていなかったので勇者の下で働いている下男と思われ・・・」
「・・・」
「攫われていて解放されたのが全て貴族の子女でそのため、我ら魔王討伐軍が魔王城近くに着くまで、下男というかほとんど奴隷のようにこき使われていたそうです。」
「ま・・・待ってくれ、まさか?」
「はい閣下、そうそのまさかです。閣下のご息女も同じように・・・」
「魔王を倒した勇者、それも自分たちを救ってくれたものを奴隷のようにあつかったのか?」
「はい・・・」
「それで、わしはどうすればいい、責任を取って爵位と領地を返上し、この首を差し出せばその罪は許されるか?」
「はい閣下、それについては、閣下がそれをなされてしまうと、他の前例となり、それだけ多くの貴族の方が失われると国家が成り立たなくなるため、陛下からは待てと」
「陛下?そういえば、第三王女もさらわれていたのだったな」
「はい閣下、第三王女殿下も今回助けられたのですが・・・」
「皆まで言うな、そう言うことなんだな、ただでさえ、偽勇者に騙され、大司教名義の回状がきたとはいえ、追放刑に処すとのお触れを流した上に、これか・・・」
「閣下、陛下からは、皆の者に責任はない、我が全て責任を取ると・・・」
「そういうわけにはいかんだろう。それで今勇者はどこに?」
「はい閣下、討伐軍が来たと同時に消えてしまったそうです。」
「誠か?それではどうすれば…」
「閣下、今陛下も含め国家を挙げての勇者様の探索を検討しております。ただ一つ問題があり。」
「なんだ?今度は勇者様をお呼びするビラなどお達しなどを各地に張り出せば、いいのでは?」
「はい、いいえ閣下、それが勇者様はどんなところにでも溶け込める目立たない風貌であるため人相書きも役に立たず、そしていちばんの問題が名前が間違っていたそうです。」
「名前が違う?」
「はい閣下、どうも偽勇者が腹いせに色々企んだらしいとは聞きますが、私のレベルには正確なところは・・・、ただ確実なのはお名前が違うということです。」
「それではどこを通っても、どの街に入っても誰も気がつかないではないか・・・」
「はい閣下その通りです。」
「してどうする?」
「はい閣下、そこで非常に厳しいお願いがございます。」
「なんだいってみろ、勇者への借りはあまりに大きい、わしでできることであれば、なんだってする。」
「はい閣下、勇者様を判別するには一度以上勇者様にお会いになった方の目が必要です。」
「まさか?」
「はい閣下、ご息女様に対しては非常に酷なお願いなのですが、勇者様探索隊に加わり勇者発見のお手伝いをしていただけないかと・・・」
「大いなる、いや命を助けてもらったものに、とてつもない失礼な振る舞いをして、その上その相手を探す手伝いを手伝いをか?」
「はい閣下、ご息女のトラウマに関わることではあるのですが、これしか手段がなく・・・」
「・・・」
「閣下、同じように攫われた全ての子女を持つ家に対し、これは陛下からのご命令です。そして陛下からのお言葉があります。『我が無能であったため、このような無慈悲な命令を下すことになったすまぬ。勇者が見つかり勇者への詫びがすみ次第、いやこれも詫びの一つだが責任を取り王位を息子に渡し、教会に入り1信徒としてやり直す。全ての責任は我にある。それを重々承知して欲しいと』」
「・・・」
やったね、大司教、胃痛仲間がいっぱい増えたよ。




