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寄生勇者  作者: BrainOfKeios
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完結編

私は、この大司教であり、この世界一番の愚か者だ。

勇者と寄生虫が取り間違える原因を作り、そして騙されていたとはいえ世界中に勇者を追放するお達しを出してしまった。

そのため追放された勇者はどこにも立ち寄れずどこかの山か森の中で隠遁生活を送ることになった。

どれほどの絶望や苦しみを味わったのかわからない、なのに勇者は、世界のためにその身を捧げ戦ってくれた。


この大陸に攻めてきていた魔王軍四天王全てを討ち滅ぼし、そしてたった一人で、そして誰にも負担をかけないためか

たった一艘の小舟で魔大陸に渡った。それも普通の人間であれば一生贅沢をしても使いきれないほどの財宝を引き換えにおいていった。

本来ならば、代償どころかただで進呈してもいいレベルのボロ船にだ、これだけの高潔な人間が他にいようか?


そして勇者の活躍は続き、いつの間にか魔王をも倒し、そしてとらわれていた各国の姫や聖女、高位貴族の子女などを封印から助ける手助けをした。

それも自分は勇者ではないといって、何も代償を受け取らず、魔王討伐軍が到着するのと入れ替わりで去っていった。


清廉潔白なる勇者には思いつかなかったのかもしれないが、勇者であると一言言えば、その全ての女性たちを集めたハーレムですらできるはずだったのに。

歴代勇者といえば、その力で無理やりハーレムを作る事が多かったが、そんなに愛のないハーレムではない。実際、勇者が去ったあと勇者である事があるとわかると、助けられたものたち全てがそれまでの行いを後悔したと聞く。

自分は勇者ではなく冒険者で、助けたのは勇者であるので気にしなくていいと言っていたせいで、下僕のような扱いを受けていたらしい。


今や彼のことは、勇者の中の勇者と言われ、世界中で彼の探索が行われている。

かく言う私も目撃されたと言う噂のあったこの港町に確認のために来ている。

ただ間違いだったようで、空振りであったが。

早く勇者に再会し、謝罪したい。


「お客様、寝具の交換をさせていただいてもよろしいでしょうか?」


宿の下男が来たようだ。


「ああ、変えてくれたまえ」


男が入ってきた、どこかで見たような顔の気もするが気のせいだろう。

「げ…、あーいえ今日はいい天気ですね、すぐ交換させてもらいます。」


男は手早くシーツなどを交換し出て行こうとした。

「これはチップだ受け取りなさい。」


「は、はい、大司教様、ありがとうございます。」


「ん?、わしのことを知っておるのか?」


私はお忍びで来ているので、この街では教会のもの以外は大司教であることは知らないはず。


「以前遠くからですが、お見かけした事があるもので…」


「そうか、今はお忍びなので、他のものには言わないでくれ。ああ口止め料と言うわけではないが、祝福をしてあげよう。」


「あーいえ、そんな恐れ多いことは…」


「これも神がくださった縁だと思うしな、祝福のために名前を言ってもらえるか?」


「えっと・・・」


「ただの年寄りの気まぐれだから気にせず言いなさい。」


「カリナ・ネームと言います。」


「そうか、偉大なる神の名の下に、カリナ・ネームに祝福を!!」


キラキラと祝福の光がその男に降り注いだ時にそれは起こった。

男の顔が溶けて下から違う顔が出てこようとしていたのだ

わしは反射的に魔物だと思い、聖なる矢の呪文を放った。

「なに?曲者? ホーリーアロー」


その男は、窓を突き破り逃げようとしていたがぎりぎり命中させる事ができた。

いや命中させてしまった。


「またやり直しかよ、トホホ」

ホーリーアローがあたり偽装が溶けたその姿は探していた勇者であった。

そして窓から出たと思ったら、建物の屋根を足場にジャンプしながらあっという間に見えなくなった。


「ゆ・・・勇者様!!」


あれだけの偉業をしたのに、富も権力も求めず、奢りもしない、そして下男として糊口をしのぐなど

そんな勇者様に対して、なんと言うことをしてしまったのだろう。

これは絶対に直接謝罪しないといけない。そうでなければ死んでも死に切れない。



*******************************


偽装魔法を手に入れたので、ようやく街に入れるようになった。

本当に寄生虫さまさまだ。

思った通りのステータスを表示できるので、これでバレない。

素のステータスを見てみたい気もするが、ステータスを確認できるのは

教会だけだからバレて捕まりたくないからノーサンキューである。


とりあえず、まともな料理を食べたいので口入屋で、日銭を稼げる仕事を転々としていた。

そこそこ実績が溜まったので、今日からは週雇いで宿の下男だ。

頑張って稼いで美味いものを食べるぞと思っていたのだが、それは罠だった。


部屋にいたのは、大司教であったのである。

これはやばいと思って偽名を語ったのだが、祝福のせいで偽装が溶ける溶ける。

バレて曲者だっていわれてホーリーアローで追い討ちをくらう始末。


せっかくの偽装と信頼が台無しである。

しょうがないのでほとぼりが冷めるまで隠遁生活だ。


この俺に、安心して眠れて、美味い飯が食えて、可愛い嫁さんをもらえる日が来るのか…

って来ないだろうなぁ

世界中でブームが起こっている勇者が羨ましすぎる。

寄生虫より紐になれるスキルの方が欲しかったなぁー

勘違い系すれ違いここに極まれりというか、いい加減気づけ勇者よ(苦笑


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