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パワー・オブ・ワールド  作者: ふくあき
ー超えていくべきもの編ー
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第一章 第七話 ようこそ地獄へ

「――アハハッ! この何もない地獄に、こんな極上の暇つぶしが落ちてくるなんて! カミサマってやっぱり日頃の行いを見てるってワケ!」

「悪魔の口から神への信仰が出てくるとは、世も末だな……まあ、ここはいつでも世紀末なんだが」


 ――頭上から響き渡る声。こちらを見下ろす二つの視線。


「……誰だ、お前ら」


 気が付けば緋山の身体は、紅く染まった荒れた大地に転がされていた。空を見上げれば真っ赤な月夜が全てを照らし、そして二つの影が緋山の頭上に落とされている。


「アハッ! 起きた起きた! ねぇねぇ! ここはやっぱり悪魔らしく、人間解体でもする!?」

「断る。わざわざあの魔人が殺すなと言って落としてきたんだ。恐らくは()()()()の意思によるもの。ならばそれは我々にとっての法になる」

「あの方のご意思がー? ありえなーい! こんな女の子一人も守れない虫けらのどこに――」

「ッ! お前達、詩乃を知ってるのか!? 詩乃はどこにいった!?」


 女の子という単語を耳にして跳ね起きた緋山の視界に映ったのは、二柱の悪魔の姿。


「詩乃って誰だっけ? あー! あの電気ビリビリの電気ウナギみたいなやつが連れてた子かな!?」

「神崎剛毅をそんな風に言わない方がいい。どこからいかずちが飛んでくるか分からないからな」


 かたや小悪魔的な風貌をしたツインテールの幼い少女。その服装は現代でも露出が高い分類とされる、ホットパンツにチューブトップ姿。一目で人間と違うと思われるのは、背中に生えた小さな翼。蝙蝠のそれに似たものはまさに、小悪魔というにふさわしい。そして案山子のようにして両肩に担いでいるのはスタンドマイクと、随分と視覚的情報が散らかっている。

 もう片方は人間でいう頭部がゴルフボールのように凸凹とした球体をしている。そして服装はというと紳士的なイメージを醸し出させるような燕尾服。それは周囲の世界から浮いているかのような、常識的(?)な雰囲気を醸し出している。

 いずれにしてもどちらを見てもサイケデリックな感想しか思いつかない風貌をしていたが、そんなことなど緋山にとっては二の次だった。


「っ、ここはどこだ!? 俺は、確か――」

「魔人の一撃を喰らって、文字通り死にました」

「死体も残らず消し飛んじゃった☆ アハッ! 超ウケる!」


 大きく口を割いてケタケタと笑う少女と、全く表情の読めない冷たいボール頭の紳士。まるで悪夢でも見ているかのようだったが、頬を引っ張ってみようが自分をぶん殴ってみようが、目の前にあるのは確かな現実だった。


「……一体どういうことか説明して貰おうか」

「むしろこっちが説明頂きたいものです。神崎剛毅を倒そうなんて酔狂を、貴方のような一般人が思いつくなんて」

「一般人、だと……?」


 ここに来て自分が一般人(Dランク)と同じ扱いを受けたことに、緋山は目を丸くした。


「この俺が……炎熱系最強の――」

「炎熱系最強? そんなもの、あのお方を前にすれば塵芥に等しいかと」

「キャハハッ! 良かったね、この場にあのお方がいなくて! あんたなんて一瞬にして消し炭になってたからさ!!」


 まるで普通の高校生――というよりも、赤子として相手されているかのような対応を前にして、緋山はあからさまに不機嫌となって語気を荒げる。


「そうかい。だったら俺が一般人じゃねぇってことを、見せてや――」


 その時だった。緋山励二がマグマを生みだすよりも、その身を砂に変えるよりも早く、スタンドマイクの先端にあるナイフのような尖りが、緋山励二の喉元に突きつけられていた。


「なっ――」

「あのさ、地上だとケーサツ相手に抵抗しないじゃん? それと同じでさ、あたしたち相手に抵抗するのやめて貰える?」

(見えなかった……だと!?)


 緋山にとっては神速の神業。しかし小悪魔少女にとって、それはまるで呼吸を乱すこともないただの動作の一つ。


「これだから、地上の人間ってのはさ」

「よしなさいアルベーロ。これでも彼は地上においては上位の存在、いわゆるSランクと呼ばれるそうですよ?」

「これがSランクぅ!? アッハハハハッ! だったらあたしは何!? SSS(トリプルエス)!? 随分と低レベルな戦いしてんだね地上って! やっぱり支配するべきは悪魔じゃない!?」


 ――アルベーロ。それが小悪魔の名前だった。そしてもう一人――


「申し遅れました。わたくしの名はレゾット。この度の貴方様を鍛え上げるように指示された、第一階層、下級悪魔でございます」

「第一階層、下級悪魔……?」


 理解が追いつかなかった。緋山励二にとっては耳にしたことがあれど、それを現実として受け止めるには拒絶の方が明らかな言葉ばかりでしかない。


「無理に理解しようとせずとも大丈夫です。我々はほんの少しの助力をするだけ」

「そうそう! そもそもあのお方のご意思じゃなければ今頃バラして食べちゃってたし!」

「なんだよ、なんなんだよお前ら!」

「ですから言っているでしょう? ただのトレーナーみたいなものですと」


 レゾットはそう言って、表情は読めないまでも圧倒的なプレッシャーでもって緋山の眼前まで顔を近づける。


「ここから先は物語の余談。写す価値もないパワーアップ」

「次に出てくるときは、桁違いの強さになってるかもよ!?」


 さあ、ようこそ一般人の緋山励二様。()()殿()パンデモニウムへ――

次回更新は少し先の3/22です。体調を崩してばかりで大変申し訳ないです(´・ω・`)。

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