東京旅行記②
「お待たせさせたね。お姫様」
金髪マッシュのレンが高級車から降りてきた。
「ついに女との見分けもつかなくなったか。くそマッシュ」
光が悪態をつく。
「これがお前の友達かぁ」
「ほほぉかっこいいのぉ!これに乗れるのか!?」
シバが車を見て嬉しそうに目をキラキラさせてる
「さっ行こうかお姫様」
そう言ってシバの肩だけ持って車に乗り込もうとした。
「まてまてまて。大親友の俺を置いてくな」
「態度でかいのはごめんなんだわ」
そう言って手をひらひらさせて去ろうとした。
シバは光を振り切り、「こやつと一緒じゃなきゃ嫌じゃ!」と光にかけよった。
「へー純粋な子じゃん。どうやって捕まえたの?」
「言い方悪すぎないか?その辺に落ちてた」
(嘘ではない事実だ)光はシバをなだめながら言った。
「どう?ホストやらない?」
少し迷って、光を指さし「こやつと一緒ならやるぞ!」といった。
「お断りだ。俺の性にあわねぇ」
「ハハッ営業へたくそで有名なライト君だもんね」
「少し黙ってくれるかな?色恋営業でトップになった野郎が」
「はよ行こうぞ!」
レンの手を引いて純粋な目を向けるシバに
「こいつ純粋のたらしだ。」
そう言ってシバは運転席に座った。
「こいつ運転免許持ってんの?」
「たぶんない」
「運転したいぞ」
キラキラした目でシバは言う。
「ちなみにこいつ成人してんだよね?」
「わかんね」
「わしは1000ねn、、」
光がシバの口をふさいだ。
「あー22?だったよな」少し圧のある目をシバに向けて言う。
「なんだよ若造か」
「ゆーて俺らと3個差だろ」
「ほらシバさっさとそこ降りろ。お前は後ろだ」
(助手席だと何をしでかすかわからんもんな)
「わかったのじゃ、、」
そう言ってシバはとぼとぼ降りた。
レンは車を走らせながら自己紹介を始めた。
「俺は御嶽 蓮矢そいつの元同僚だ」
「わしはシバ。こやつの横の祠の主をしておる霊じゃ」
空気が一瞬凍った。
そっと光に蓮矢が口を近づけて、
「こいつ厨二?」
「違う純粋な馬鹿」
「お主わしに向かってなんということを!」
(しまったこいつ地獄耳だった)
シバは光に牙を向けた。
「シバ違うレンに向けて言ってんだ!」
「あぁん!?」
蓮矢は光に牙を向けた。
「俺は猛獣使いか何かかよ」
「なんじゃと!」
「なんだと!」
両方から牙が向いた。
(勘弁してくれ)
光は窓の外に遠い目を向けた。
蓮矢とのドライブは基本的に海辺を走ってご飯を食べてってのが普通だが
今日は夏だったので夏祭りに行った。
東京の祭りなだけあってたくさんの屋台が立ち並んでた。
「わしはこんなでかい祭り見たことないぞ!!」
「すごいだろぉ!東京はいいだろ?どうだホストにならないか?」
「勧誘するな」
光は蓮矢の頭を軽くはたいた。光はふと前を向いてはっとした
「レン。お前目立つから別行動しないか?」
「おまっ大親友に向かってなんてことを!」
蓮矢は光の肩を揺らした。光はボソッと
「お前の客だろあそこにおるの」
「まじぃ、、」
そう言って振り返ると
「あれ知佳ちゃんもいるじゃん」
「へっ」
蓮矢の客と思しき人の隣には光の元客がいた。
「シバあの人たちの匂い覚えれるか?」
光がシバに聞いたが、シバは屋台でりんご飴を買っていた。
だが、シバは何かを察したのか蓮矢たちの客の方を見た。
りんご飴を舐めながらじっとそいつらの方を見て
「あやつは危険じゃな。逃げるぞ」
そう言ってりんご飴を片手に走り出した。
「ちょっまてって!」光が止めようとしたが、手が届かなかった。
「ハハッ面白いからいこーぜ」
「シバ!!!駐車場反対方向だぞ!」光の声にシバが止まった。
人気のない小さな路地へ来た。
シバは来た方向をじっと見て、
「追いかけてきておるな、、光よ、すまぬ」
「えっ」
シバは光にりんご飴を持たせた。
そして体を一度犬に戻した。
「えっえっ」蓮矢が混乱している。
「服も持っといてくれぬか?」
光はシバの服を拾うとシバは体を大きくさせた。
「おぬしら乗るのじゃ!」
蓮矢と光はシバの上に乗った。
「りんご飴は絶対落とすでないぞ!」
そう言ってシバは高く飛んだ。
「うわっすっげぇ!!」
「こんなのできるなら新幹線乗らなくてよかったじゃんか!」
とんでもない早さだった。だがシバの頭が風を遮り蓮矢と光はなんとかしがみついてた。
「レン、顔やば」光が吹き出した。
「お前顔の向き風向きじゃないからって調子乗んな!」
大きく口を開けたものだから蓮矢はさらにひどい顔になった。
光はまた吹き出した。
ものの数十秒で駐車場にたどり着いた。
二人が下りたのを確認してシバは柴犬の姿に戻った。
「あれ今回は水色じゃないんだな」
「えっ」
光は驚いた。
「話してる暇はないぞ。はよ車を出せ」
「仰せのままにー」
全員車に乗り込んで、蓮矢はエンジンをかけた。
「レン、シバが水色に見えたのか?」
「まぁ最初犬になった時だけだがな?」
「そりゃそうじゃ、あの大きい姿で柴犬なら目立ってしまうからな」
戻った時は柴犬になったのは、人がいないところに降りたがもし車に乗るところを見られても大丈夫なようにするためだったそうだ。
「いやーそれにしても本当に化け物だったのか」
「言い方が悪くないか?わしは霊じゃぞ?姿を見せれるだけの」
「いやぁそれにしてもいいなぁまた乗せてくれよ!」
蓮矢は、まだ興奮が収まってないようだ。
「嫌じゃ、もし霊力のある者に見られたらわしが悪さしておることになるからな。祓われてしまう」
「へー、霊も大変だな」
「全くじゃ」
そう言って光の持っているりんご飴をなめたシバは、めちゃめちゃ笑顔になった。
「あっばか!」
急いでりんご飴を取り上げた。
「なっなんでじゃ!」
「りんご飴は犬に毒になるだろぉぉぉ!早く人の姿になれ!」
後ろの席に戻して、人の姿にさせた。
「ちょっと待て全裸は話が違う!警察に捕まるって」
蓮矢が焦ったように言う。
「それはまずいな」
「わしはどうすれば!」
「ちょっと待て人気のないところ止めるから!」
だが無事渋滞にはまった。
「蓮矢よ、、、わしお腹痛い」
「絶対漏らすなよ」
「あっ」
光は思いついた。
「シバ、お前、霊なんだから見えなくなれないのか?」
「その手があったか!」
シバは霊の姿になった。
「えっすげぇ!見えねぇ!」
ミラー越しに見た、蓮矢は大興奮だった。
その様子を見て、光は固まった。
(なんで、、、)
その違和感を振り払うように蓮矢を見る。
「レン頼むから。運転集中してくれよ」
「大丈夫。今渋滞で止まってる」
夏祭りシーズンで一向に車が進まない。
「光よ、霊の姿だとものに触れれないぞ」
シバの情けない声が聞こえた。
蓮矢と光は笑った。
結局、海の方まで出ていった。
海の家の更衣室までそそくさ行って、更衣室に服を投げこみシバを着替えさせた。
「いやぁ久々の海はいいねぇ」
空気をたくさん吸って蓮矢はしみじみ言った。
「まぁそうだな。ありがとなレン」
「なーにライト君改まって」
「シバのこと受け入れてくれたのと、あと東京に呼んでくれたこと」
妙に気恥しくて光はそっぽを向いた。
「なに?寂しかったのはライトの方かよ」
「うっせ」
そう言って光は笑っていた。
一週間もたってないのに会いに来てしまうほど蓮矢が大きな存在なことに光は驚いた。
「待たせて悪かったのぉ!」
そう言って両脇に女を連れたシバが帰ってきた。
光は額に手を当てて「シバぁ、、、、」と困り果てた。
「おっやるなぁ!」と蓮矢は乗り気だった。
「お兄さんたちカッコいー!」「さすがシバくんの連れ?」そう言って光たちに話してきた。
「そうであろう!なんたってわしと光はカップルであるからなぁ!」
「「「えっ!」」」女性たちとそして蓮矢も驚いた声を出した。
光はため息をついた。
(そうだった。カフェで話したすぐ後に料理出てきたせいで訂正してなかった、、、)
絶望してる光の顔を見て何かを察した蓮矢は
「は?光は俺のだし!」といって光の腕に巻き付いた。
「は、、、?」
光は石になったかのように動かなかった。
「お主!光を物のように扱うでない!」
蚊帳の外になってる女性たちもその状況にキャーキャー言っている。
光はその時、一言も話さなかった。
その光の様子に二人の女の人が寄ってきてボソッと
「ちなみにどっちがタイプですか?」と聞かれた。
(さて、どういうか、、、)
女性の言葉に蓮矢とシバも視線を向ける。
(さて、必殺、、)
「、、、どっちも」
光は顔を手で覆った。
蓮矢は笑って光の肩を組んで
「今日は楽しもうな!3人で」と全員に聞こえるように言った。
光は蓮矢のみぞおちに一発お見舞いした。
「ぐはっ」
蓮矢がみぞおちに手で押さえる。
「行くぞ二人とも」
「光君、それは酷くない、、?」
シバは
「誘ってくれて感謝申す。だがすまぬ。わしは、こやつらについていく」
そう言ってシバは蓮矢に肩を貸しついた。
夕飯は近くのレストランで食べた。
「いやー久々にライトを光呼びしたぁ」
なははと笑う蓮矢を睨みつけて。
「お前らマジで勘弁してくれよぉ、、」
「ここは俺が出すから許してくれ」
そう言ってポンポンと蓮夜が光の肩を叩いた。
テーブル席で光と蓮矢が隣同士で前にシバが座っていた。
海鮮料理がたくさん出てきた。
シバは箸を使うのはまだできるため、箸で頑張って食べている。
「いい時代になったのぉ。こんな美味しいものに囲まれてみな幸せ者であるなぁ」
「ちょー楽観的じゃん」蓮矢は言った。
「まぁ確かにそうなのかもな」光も同意した。
光はその価値観を持てるシバが少し羨ましく思った。
あっと光は思い出したように
「あと!シバ!俺らはカップルじゃないからな!」
「そうなのか?ではカップルのとはなんなのじゃ?」
「カップルは、愛し合っている人と同士がなるものだぞ」
そう光は言った。
「わしは、光のこと好いておるぞ?お主は違うのか?」
「わーライトひどい!」
蓮矢が茶化す。蓮矢を軽く小突いて。
「えっと違うくて!一日中その人のことを考えたりとか、この人は取られたくないって人同士が結ぶ契約みたいな、、ごにょごにょ」
「ふむ、、なるほどな。ならばわしとは違うわけか。そなたはおるのかそんな人は」
「おっライト君の恋バナ!?全然聞いたことないかも!」
そう言って身を乗り出す蓮矢。
「、、、さーな」
「ってことはいるのか!」蓮矢がニヤニヤして聞いてくる。
軽くびんたをお見舞いした。
「不躾な質問だったな。すまぬ」
「シバはいるのか?」光が聞いた。
「遠い昔にいたようなそうではないようなという人はいたぞ」
「へぇーどんな人」
「優しい人だったのぉ」
そう言って優しい目で光を見た。
「えっねぇねぇ!俺は?俺のこときになんない?」
蓮矢が言ってきた。
「お前のは興味ねぇよ」
「タイプでいいよね!まずは胸がでかくて、お金あって俺の言うこと聞いてくれて、、」
「安心しろ。お前は結婚できない」
そう言って。もう一度蓮矢の顔にびんたをした。
「東京に夜はないのじゃな」
「そうだな。東京から光が消えることはあんましないからな」
そう言って蓮矢は窓の外を見た。
光は眠そうだったので後部座席にしてシバが助手席に座った。
その時花火が打ちあがった。
「きれいじゃのぉ。こんなでかい花火わしの地元じゃやらないからのぉ、、なぁ光よ」
「シバ静かに」
バックミラー越しに光を見た蓮が言った。
振り返ったシバは光の寝顔をじっと見ていた。
「わしの好きだった人にそっくりじゃ」
「やっぱライトの先祖の話だったのか?」
「そうじゃな」
「ふーん」
少し間があってシバはボソッと呟いた。
「早くこやつの元を離れなければな」
「なんで?」
蓮矢は驚いたように聞いた。
「悪いことをしたからなぁ光にも先祖にも、これからもこの先も誰にも言えぬ話じゃ」
「それを言うと俺もライトの、そばに居ちゃいけない人間だよ」
シバは蓮矢の方を向いた。
「お主がか、、、?一番の友であろう?」
「本当はそうなっちゃいけなかった。俺が馬鹿だったから」
車の中は電気を付けてなくて真っ暗だった。カーナビのと外の光だけがあたりを照らしていた。
「墓場まで持っていけたらよかったのに、、、」
花火の音が聞こえる。車の外と中で別の世界にいるかのようだった。
「聞いてくれないか?」
蓮矢は語り始めた。




