悲翠色の宝石④
「あなたは何が欲しい?」
誌乃はそう聞いた。
「俺は、力が欲しい」
そう言って誌乃をまっすぐに見つめた。
「お前を簡単に倒せるくらいの」
「それはできないわ」
そう言って悲しそうにした。
「だけどね、」
蓮矢のおでこを指さした。
「力をあげましょう」
「条件は?」
「あら、さすがね。」
そう言って頬に手を置いた。
「簡単よ。私の決めたルールを守って」
「ルール?」
「絶対的正義の上でなら世界は平和になるはずなのよ」
そう言ってにこやか誌乃は笑った。
「絶対的正義なんて偶像に過ぎないだろ」
「その通りよ。だから、」
誌乃の背中から糸のようなものがたくさん出てきた。
「なんだ!?」
「だから、私の命を全てかけて現実にしてやるってんのよ!」
誌乃の手のしわが増えた。
「、、、っそれ以上やったら」
蓮矢が誌穂を止めようとする。
「私の夢の中で死ねるなら本望よ」
(、、、そうだよね。穂乃)
誌乃の糸から女の子が現れた。
「シホ、、、」
涙を浮かべた高校生ぐらいの女の子。
糸が交差をして、降り注いでくる。
「阿響斗!」
誠と翠は支配下にいたため一切の攻撃は受けていなかったが、阿響斗はそうではなかった。
翠は助けに行こうと動いたが、
「心配ないよ。僕をなめないで」
そう言って華麗にかわした。
「ニャー!!!」
猫の霊は必死に蓮矢を守っているが、数本はそれをよけて蓮矢にあたった。
「いっ、、、」
「どう?こんなに力が使えるのよ?」
「武力行使が絶対的正義なのか?」
嘲るように誌乃を見た。
「ここは私の結界だから、最悪死んでも生き返らせれるわ。」
誌乃はその目線に睨み返した。
「あなた、しぶとそうだから仕方ないわ。それに、、」
誌乃は自分の手を見た。
初老だったのが今はさらに老いが加速したようだった。
「もう時間がないわ」
「お前は、死んだら何も残らないんだ」
「術は残るのよ!怨霊は生き残るから!」
血走ったような目で蓮矢を見た。
「だから、時間があるうちにたくさんの人を支配しなきゃいけないの!」
そう言って蓮矢に糸でできた女の子が向かってきた。
「、、、、っ」
蓮矢は顔を腕で守る。
女の子は蓮矢を通り過ぎて猫の霊を捕まえた。
「ニャー!!!!」
じたばたするが動けない。
「蓮矢様、まるごしで、まともに霊力を使えなければ私の糸を防げないわよ。」
そう言って勝ち誇った笑みを浮かべた。
「死ぬ?それか、私の支配下に下る?」
蓮矢はニヤッと笑って、
「両方断る」
と言った。
誠は手を頭に当てて
「あのバカ」
翠は笑みを浮かべ
「さすがですね」
「そう、じゃ、一回死んで」
ー傀儡千糸ー
「蓮矢!」
「よそ見してんじゃないわよ♡」
蓮矢を助けに行きたいが愛漸が邪魔をする。
「邪魔よ。どきなさい」
刀を振るうが愛漸に受け止められる。
「あなた対人向いてないでしょ」
「ぐっ、、、」
知佳は歯を食いしばった。
(結界術さえできれば、、、)
結界術は、どこでも展開することができる。完全領域はすべてを不完全は、この世のものかそうでないものかを片方入れなくするもの。使えるのは、神様と式神と巫。
「ニャー!」
猫の霊は暴れているが、押さえつけられて何もできない。
誠は翠を一瞥する。
「翠、命令だ。蓮矢を守れ。」
「しかし、誠様が」
「僕がいるから大丈夫だよ」
そう言って阿響斗が出てきた。
「行ってこい。」
そう言って誠はニヤリとした。
(全くこの人は、、、、)
翠は誠に笑顔を返し、構えをした
「承知」
そう言って誠の横から消えるように蓮矢の元へ向かった。
翠は構えをして誠の横から消えるように動いた。
「あなたも、霊力動かせないでしょ。翠!」
誌乃が翠を睨む。
「それでも!」
「ニャー!」
猫が叫んだ。
同じ目的を持つ者同士お互いを認識できる共鳴ー
その共鳴に限りできる契約がある。
「うにゃ!?」
翠は驚いたように声を上げた。
降り注ぐ糸を蓮矢がしっかりと見てじっとしている。
「お前の怨霊はそんなもの望んでねーぞ」
「そんなことない。全ては穂乃のために」
一切聞く耳を持たなかった。
さっき、糸でできた女の子が蓮矢の隣を通り過ぎたときボソッと声がした。
「タスケテ」
(方法はわからないけど、それでも支配下に下るだけはしちゃいけない)
ー結界術:完全領域ー
糸はすべて砕け散った。
「翠、、、」
「遅れて申し訳ありません。」
髪は白と翡翠色のグラデーションで、猫耳のようなものをはやしていた。
目の色はまるで、
”翡翠色の宝石”のようだった。




