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空(スカイ)へ~夜明けに気付いたドラゴン達は空へ飛び立つ。(気付かない内に運命急上昇中その6)  作者: 龍冶


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第8話

 スカイは爺さんに言われるまでもなく、きっとあの愛想笑いの奴が近々やって来ると分かってはいた。しかし今朝隣の爺さんの騒動の後、まさかスカイが学校へ行く前に来るとは、思ってはいなかったのだが。

 木造で古い建付けの田舎家の玄関を、ガタガタと開ける音がした。スカイは殆どハイスクールの机の中に入れて居る文房具やトレーニングウェアを、もう持って帰るべきだと思い、丁度空のカバンを手に取った時点で、手遅れだと分かった。

「えー、ここはスカイの家で間違いありませんかぁ」

 年寄りのしゃがれた声がした。

「はいはい、そーですけど、どなたですか」

 ユン婆ちゃんが急いで玄関へ行く。

「ユン?」

「まあっ、ソールなの」

「ああ、久しぶりだな。すまなかったな、ユン。勝手な事言うが。スカイはここじゃ危ないから、引き取らせてもらえないか」

 爺ちゃんの声もする。

「あんたが、ソールか。どうして今まで来なかった」

「砂漠で身動きできない事が有って、最近セピアに戻ってきました。お世話になりました。ロードさん。きっと状況はお察しでしょうね」

「実の娘には会ったのか」

「リッカは昨日亡くなりました。知らせがここにはまだなのは、身元が判明しづらくなっているようです」

「なにっ」

「ほ、本当なのソール」

「はい、こいつがスカイを連れて逃げた後、リッカが店に着いて、直ぐ、奴らに殺されています」

「えーと、すみませーん、隣のじじい、来たみたいですね。僕、ニールに居るセーンモドキで、ヤーモの7番目の子でーす。ラッキーセブンのセーンモドキ7号で、セブンと呼んで下さい。もしも弁償の話が出たらー」

「いやいや、それはもう話は付いておるから良いんだ」

 ソールは、

「で、スカイは?」

 と聞くので、スカイは仕方なく玄関へ向かった。

 実の祖父ソールは言った。

「スカイか、ママは残念だったな。ここは危険だからニールに行こうな。ロードさん、セピアの魔法使いたちの話では、ここセピアの結界は、今にも崩れてしまいそうなほどの綻びがあるらしいです。ニールに来られませんか。ニールと獣人国はあのヤモの一番初めの子ヤーモが守りを固めていますから、まだ大丈夫なんですが」

「さあな、どうするユン」

「あたしの意見聞いてくれるの、あたしはスカイの行くところに一緒に行きたいの」

「だろうな」

「それでしたら、今日は瞬間移動の出来る奴を連れてきましたから、直ぐに移動できます」

「でも、荷物をまとめないと」

 すると爺ちゃんが、

「大事な物とか有ったかな、この家に」

「そうよね、スカイ意外に大事な物なんか無かったんだった」

 そういう事で、スカイはユン婆ちゃんたちも一緒に行くことが出来て、安心したのだった。



 スカイと爺ちゃん婆ちゃんは、ニールの大きなお屋敷に瞬間移動する事に決まった。そこは昔セーンさんと言う超天才的魔力を持った魔人と言える人と、その使い魔ヤモさんの暮らしていた屋敷だった。

 彼らが構築した魔物を閉じ込めておく結界のお陰で、今までこの世界は平和だったと言えるのだが、磁気パワーで結界を補強していた世界の中心的存在のコアの役を全うして力尽きて亡くなった、リューン・グルードさんの功績も大きい。

 リューン・グルードさん亡きあと、結界の保持を必死で担ったヤーモさんは、産んだ卵のカスタマイズに成功した。磁気能力持ちセーンモドキ7号の働きで結界が崩壊することもなく、現在に至っている。



 セピアで仲良く暮らしていたユン婆ちゃん夫婦と、スカイは瞬間移動の出来るセーンモドキ7号と実の祖父ソール・ソルスロと輪になって手を繋ぎ移動した。

 着いた先はニールのお屋敷、セーンモドキに案内されて、スカイはこれから自分の部屋になる最新設備の部屋に入り、寛ぐこととなった。爺ちゃん婆ちゃんは別の階の部屋で、実の所、スカイの部屋は魔物の攻撃を想定した結界を張ってある部屋だった。スカイは、

「結界って、色々種類があるんだね。攻撃から守ったり、中に入ったら絶対外に出られなかったりとか。結局僕は何をする訳」

 セーンモドキに訊いてみると、彼は難しい顔をして、

「スカイは磁気パワーを持っているんだ。そのパワーをヤモさんが作った結界に当てると、頑丈になって、中の奴は出られないんだよ」

「磁気パワーってのは結界を強くするんだね。それにしても、昨日襲って来た奴らは、その結界に入っていた訳じゃないんだね。敵ってのは何処から湧いて出て来たのかな」

「あは、全くあいつら湧いて出て来たみたいに見えるけど、結局結界に閉じ込めたボスみたいなのの子分だ。あいつ等より、中に閉じ込めている奴の方がよっぽど強いんだそうだ。今は結界に入っているから力は出せないけれど、もし結界が崩れたら世界は滅びるって言う話だ」

 スカイは、セーンモドキも実のところは、結界の中の奴の事は知ら無さそうだと思った。彼は、明日スカイを結界の所に連れて行くと言った。

 スカイとしては、何とも不安な一時になりそうだ。ヤモさんが作った結界、どうやらその構造と言うか、機能を本当に知っている奴は居ない気がするし、中の魔物を見た事がある奴も居そうにない。かなり時間を経過しているのだから。


 まもなく昼時となり、ダイニングルームでこの館の持ち主ベルメリ・ノスさんや女性執事キャシー・グルードさんを紹介され、皆で昼食を和やかにいただいた。キャシーさんは新入りと言える皆に、自分はこのセーンモドキ7号と同じ出目だと言い、性別は無いと、宣った。スカイ、びっくり仰天である。

 そこで、彼らの正体と言うか生体について知らされ、食べ物の味が感じられなくなった。別に差別的な感情ではなく、初耳と言える内容の所為でスカイの脳は情報収集及びその整理でいっぱいいっぱいだった。


 その後、スカイはとうとうセーンモドキ7号に連れて行かれた。

 天才ヤモさんの作った結界の所にである。





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