第40話
ヤッヤモ似達が居なくなった後、本来の家と言えるニールのニキ爺さん建立のグルード家屋敷に皆で戻って暮らすことになった。
ミーラさん御実家は使い物にならなくなったと言えるし、薄情にも獣人国を立ち去った、ヘキジョウさんっ子セブン一同とスカイ達と言う訳でもない。
ちゃんとミーラさん達御一行も付いて来ている。そして、セーン似御一行。実の所、夫だいぶ若見えじゃなく本当に若いが、チーラさんとよりが戻っている。
スカイとしては不思議だが、本人達がそれで良いって言っているんだから、外野がどうこう言うほどの事ではない。
どさくさに紛れて、セピアに就職中だったニーセンユーセンも戻り、年齢的に見て不思議な一家となった。チーセンラーセンはあまり利口じゃなかったそうで、向こうの世界に居るのだが、前世を覚えていないので、それにチーラさんはチーラさんで向こうにも居るので、『チーラーは置いて来た』とセーン似はキャシーに説明していた。
キャシーさんは、リビングルームにベルメリさんのベッドを置き彼女の周りに花を飾って葬式の準備を終えた。
「ヤッヤモが戻るのを待つべきよね。この前スカイ君達は半日ぐらいで戻ったけど、時間は決まって無いってレンさんは言っていたよね」
「そうなの、最近暑くなったけどね」
スカイとしては普通に会話したつもりだったけれど、横のすかしから肘鉄をもらった。
『少しは気を遣え』
『気-、使うんだったら、この際花の下に氷を置くね。すかしがもうそろそろ置くんじゃないのか』
『うん。行って、戻って来たのは半日だったけどね、その前にレンさんはスカイの行った方向みたいなの、探っていたな』
『あいつ等、大丈夫かな。ヤモさんってそんなにデキル奴なの』
そんなスカイ達のコンタクトに、セーン似が入って来た。
『ヤモは恐らく、この辺り一体じゃあ、一番のデキル奴だろうな。こっちに来る前に、ヤモは例の国にいる先に暮らしていたトップに、この世界から手を引く潮時だと説明していた。俺にはその理屈がさっぱり理解できなかったがな』
『なんて言っていたの』
スカイは一応聞いてみた。
『聞きたいのか、俺に言わせたいって?もうすぐもどるから、本人に訊けよ』
『その言い草、レンさんに似ている』
『そりゃ光栄だ、あ、葬式あいつのも混ぜてやりゃ良かった』
『え、レンさんの葬式、どうやったの』
『ミーラさんが泣きながら穴掘っていたから、何も言えなかったな。獣人国の風習だろうな』
セーン似がしみじみ言うので、『そうなのかな』とスカイもそういう事にするのかなと思っていると、ニーセンとユーセンが庭に咲いていたらしい花を、一応花束風にしてベルメリさんに供えた。
スカイはそんな二人の様子を見つめていると、ニーセン、
『ベルメリさん、生きている時はすごく魔力温存していたけど、今は無いね』
ユーセンも、『まだ死んで間もないのに、ホントに全く無いねー、ニーセン』
そう言いながら辺りを見回す、セーン似は隣室にいたチーラさんに、
「俺らも花束作ってベルメリさんに供えよう」
と言っている。
スカイはそのうちに、この部屋は花でむせ返るような匂いがしてくると思った。『すかし、花が飾られ終わる前に、氷の塊並べるべきでは?』とコンタクトしておく。
最初のアイデアを思いついたニーセンユーセンはなんだか難しい相談の最中の様で、コンタクトしているらしいのに、おでこ迄くっつけている。
そうなると気になってくるスカイ。おでこくっつけ隊に混ざる事にした。
『奇妙だよな、いつかニキ爺が話していた、(お館様の磁力パワー、ブンドラレ事件)っぽいんじゃないか』と、ニーセン。『死んでもあれだけ魔力があったら、まだ魔力は体にあるはずだな。一日かけて放出と違うか?』とユーセン。『何の話?』スカイは間に分け入って聞く。『シッ』二人同時に言われた。『コンタクトしてるじゃないか』スカイが文句言うと、二人は、『コンタクトのパワーがでかすぎ』、『何の話なんだよ』スカイの追求に、『黙って聞けよ』奇妙な命令だが、2人の真剣さが伝わったスカイ、黙って頷く。
『このベルメリちゃんの、パワー無し状態、昔ニキ爺さんが言っていた、(お館様、セピア公国のできる熟女市長から、磁気パワー吸い取られて死に至った、パワー無し状態)に酷似なんだよ。魔力が全く無いだろ』
『ホントだっ』二人に唇を強くつかまれたスカイ、涙目になる。そこへすかしが、おでこくっつけ状態に加わった。しかしおでこをくっつけるのを真似ただけで、すかしは三人の会話は知る事が出来ている。すかしはスカイと以心伝心だ。最近は段々激しく通信できている。
すかしは、『可能性は、ヤハリあいつらは別物で、ヤッヤモはヤッヤモ似であって、昔、死んだヤッヤモとは別物。ヤッヤモ似に、ベルメリさんは魔力を全部吸い取られて死んだんだな』
『おまえ、可能性は、とか前置きして、最後言い切ったぞ』スカイは指摘しておいた。そして、『ヤッヤモ似とヤモ似が戻る前に手を打つべきだ。あいつらが戻ったら勝ち目は無いな』
『セーン似とヤコ似が居て勝てるって?』二人の疑問に、スカイは『所詮(似)じゃないか』『どうする、ヘキジョウさんっ子に打合せしとかないと』すかしが懸念を言うと、
何故か既に横にスタンバイ状態の本っ子ちゃんが居て、ぎょっとするおでこくっつけ隊。
『おれら、意識は共通なんで皆スタンバイしている。特に戦闘の打合せはな』
ニーセン、ユーセンがふたりで思い出していた、今は亡きニキ爺さんが二人に言った事、(お館様の磁力パワー、ブンドラレ事件)、(お館様、セピア公国のできる熟女市長から、磁気パワー吸い取られて死に至った、パワー無し状態)は最初から読んでいる読者はご存じかも知れませんし、忘れていた方も思い出してください。このシリーズの最初の小説である、〔敗戦国の訳あり女兵士は、気付かない内に運命急上昇中〕の中のエピソードを、です。ご自分とユーリーン婆の若き頃の出来事をニキ爺さんは生前に、ひ孫のニーセン、ユーセンに話していたのでしょう。そんな幼い頃の事を、この局面で思い出す二人。家族の絆を感じてしまう展開でした。彼らの記憶が、このピンチの風向きを変えました。




