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空(スカイ)へ~夜明けに気付いたドラゴン達は空へ飛び立つ。(気付かない内に運命急上昇中その6)  作者: 龍冶


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第4話

 

 何かがユーリーンさんの襲い掛かろうとして、それを阻止しようと、なんと、砂漠の魔法使いさんの使い魔蛇さんが、ユーリーンさんの首を目掛けたかのように飛んだものの、実際は首にかみついたわけではなく、そいつが真にユーリーンさんの首にかみつく直前、蛇さんはそいつに嚙みついた。そして格闘し出した。ニョロ突いてはいたが、蛇ではない。言わばユーリーンの若い頃からの天敵的な感じのー、

「ぎゃーっ」

 ユーリーンは叫びながら、この記憶が若い頃の恐怖的に嫌いなあいつの原因の筈はないのに、確かにこれが原因に思えた。予知かもしれない。格闘の場から逃げたいユーリーンだが腰が抜けている。キャシーはそんなユーリーンを抱えて出来るだけ離れようとするが、ソールに、

「近くに居ろ」

 と言われる。確かに仲間は固まっているべきだろう。

 ベルメリは結界を観察するが、出入り口らしき所は開いてはいない。何処にいたのか、何処から出て来たのか。砂漠の魔法使いさんは、ベルメリに、

『結界が薄くなっているよ』

 とコンタクトで話しかけて来た。どうしたものか分からなかったが、一応結界らしき壁に、『厚くなれ』と言ってみた。

 魔法使いさん、

『上手だね、厚くなったよ』

 どうやらうまく対処できたベルメリだ。

 ガーレンが皆が思いたくない事を言ってのけた。そういう性格のガーレン、だが、そういうやつは必要な場合もある。

「どうやら中に居る奴は、まだ生きているだろうな。出ようと画策している」

 それを聞いて、ベルメリは怒りで段々興奮して来る、腹立ちまぎれに、

「おのれーっ」

 と思いっきり叫び、ぐうで殴ろうとこぶしを握りしめ、中に入って殴ってやる、やってやると決心した。

 魔法使いさん、

「今、死んだんじゃないかな」

 ガーレンさん、

「すごいね、ベルメリちゃん」


 ずーっと使い魔蛇さんと、ニョロつく奴は格闘中だったのだが、どうやら奴は主人が死亡すると、同じく主人と一緒に死んだようである。悪の使い魔だが、良い心がけの奴だったとベルメリは思ってやった。まぁ、思うだけなら、何か減る筈も無しと言った所である。

 気分が良くなり、『蛇さん、頑張ったねー、偉いね』と褒めておく。蛇さん、つぶらな目でベルメリを見上げた。蛇の目をつぶらと表現したのは、ベルメリにとっての印象をしたためただけで、実際に蛇の目がつぶらと表現する人はいない。ベルメリにとって卵で産まれる蛇は、ヘキジョウさんっ子とほぼ変わらない好意を感じてしまう。

 魔法使いさんには、『あんたって、使い魔たらしね。うちの子はやらないからネ』と言われてしまった。

 腰が抜けているものの、ユーリーン婆さんは、

「中の奴は死んだの?さっきの雄たけびみたいなので、ベルメリちゃんが殺してくれたのね。じゃ、中の子達を出して、お葬式よ。ヤモさんはリューンの所で死んだんでしょう。セーンと同じお墓に入れてやりたいわ」

 キャシーが、

「じゃあ、あたくしがリューンさんの所へ行って引き取って来ましょうか」

 ユーリーンは、

「ありがたいけど、キャシーちゃんは休んでいてね。ソールにお願いできるかしら。お葬式はニールでするわ」

「うん、俺が行って来よう、キャシーちゃんは休憩で良いからね」

 ガーレンは、

「じゃ、皆はセーンさんとその家族さん達を連れて、セピアの高速船でニールに行こうね」

 キャシーはベルメリにコンタクトする。

『あたし、さっきの瞬間移動で何か不味いことしたっけ』

『さあね、あたしは気にならなかったけど』


 何とか片付いたといった所で、ニールに戻るつもりで港に到着の皆の所に、ココモ君がやって来た。ハッとしてベルメリは、

「ココモ君の所は、結界どうなったの」

「ヤモさんの結界よく伸びてねー、だけどさすがに、土ドラゴンの兵隊が一連隊入ろうとしたら、とうとう破れたんだけど、レンさんが駆けつけるし、リューンさんの磁気パワーが流れて来て、兵隊さんは出して、魔物だけ何とか押しとどめてさ、いま壁を修正している。レンさんとうち専属の魔法使いが張っているんだ。ところで、リューンさんが言うには、例のカーピンの所にも決起した奴が居たんだ。ヤモさんが結界をセットしてくれていて、魔法使いさん達で頑張っていたけれど、俺も手伝に行くことになっているんだ。俺って最近魔力の方も多量に出ていてね」

「へぇ凄いわね」

 ベルメリの相槌を聞きながら、ココモ君、

「ニールで葬式なんだね。俺カーピンの所が片付いた頃に、ニールに行って間にあうかな」

「遅れても来てよ。きっと次の日には神殿の滝壺に遺体を鎮めるだろうし、ココモ君は朝までに来れれば、セーン達に最後の別れが出来るはずよ」

 ユーリーン婆にお願いされ、きっと朝まで人型に成って居よう、と決心のココモである。

 ココモ君が立ち去った後、キャシーにハンカチを差し出されたベルメリは、自分が涙を流していたことに気付かされた。泣いていたことも気付かなくなるほど動転していたベルメリ。

 セーンさん達が亡くなっても、この世界は続いて行く。あたりまえのことなのだが。

 結界の蓋はセピアのカーピン公爵邸は専属魔法使いさんが塞ぎ、獣人国のお城付近ではレンさんと奥さんのミーラさんが魔力を注いで蓋をしていた。土ドラゴンのオーカー家では、オーカーさんがどうやら魔力持ちだそうで、任せて置けるし。土ドラゴンの所が最後の結界制作だったヤモさんは、他より念入りに結界を張り蓋を絞めてくれたそうだ。しかし、その後破れてしまい、レンさんが駆けつけて直してくれている。

 因みに魔の国ではヴァンパイア王のヴァンちゃんが、たくらみを察して魔の国の担当の奴は追い出されたそうだ。この情報は先ほどベルメリが忙しくしていた時に、ソールさんが言っていたとキャシーの報告を聞いたベルメリ。

『終わっちゃった。何もかも』

 キャシーと二人、高速船の甲板のベンチに座るベルメリ。

『終わってしまいましたわね。べルメリさんとの今回の旅、この思い出は私の一生の宝物ですわ』

 奇妙な言い回しのキャシーをベルメリは不審に思って、思わずキャシーをしげしげと

 見てしまった。

 キャシーと目が合い、ベルメリはキャシーのベルメリに対する好意の様なものが見え隠れした気がする。キャシーは目をそらし、『わたくし、ずうっと、ニールの館から出た事は有りませんでしたわ。ヤッヤモがベルメリさんを連れて来られた時、わたくし、人ってこういう存在だったのかと感動しました。でも、ヤッヤモが言う事から、ベルメリさんが特別なだけだと分かりました。わたくしもベルメリさんの使い魔になりたいと思っても、ニールの館に縛られたも同然のわたくしでしたわ。それに使い魔契約は、主人側から言い渡すしきたりですもの』

『そうだったの、キャシー。気が付かなかった。ごめんなさいね』

『いいえ、恨み言を言っている訳ではないんです。使い魔契約はしなくて良かったと思っています。だって、お友達の方がもっと素敵な関係ですもの。ハイスクールに通いだして分かったんです。わたくしのクラスの皆さんは、ベルメリさんとお友達を装う私の事を、それは、それは、羨ましがられて、わたくし名誉を感じて、天にも昇れそうな高揚感でした。人間の世界でも、ベルメリさんは特別だと思ってしまって、でもよく観察したら、チー、ラーや、ヤコや、ココモさんとお友達のベルメリさんに憧れていらしたようでした。でも、とにかく幸せな感覚には違いないです。わたくしの、惨めと言えるニールの館の日々は、消えて無くなってしまったようでした。それでも、ニールの館に戻れば元の木阿弥と思っていましたの。でも、実際に戻りましたら、以前のキャイは何処にもいなかったんです。あの頃のキャイは、わたくしが作った幻想のキャラでしかなかったんです』

「キャシーはそのことに気付いたんだ。良かったね、キャシー」

「はい、セーンさんが、わたくしを養子にして、ハイスクールに通わせてくださった事、この恩に報いるように生きて行きたいと思っています。わたくし、心の中でセーンさんに誓いました。この後は、セーンさんの望みを叶えるお手伝いをします。結界の中の魔物はぜったいに外には出さないし、私に力が備わったなら、必ず殺すって」

「そうよね、今のところはあたしらじゃどうにもならない、あれが外に出て、魔力を使えるようになってしまったら、今のメンバーじゃ、叶う人はいないね、恐ろしい事よね」

「でもさっき、ベルメリさん雄たけびみたいな圧で殺しましたよね」

『ううん、違うの。あれはあいつが弱っていたからよ。魔力がヤモさんの結界と拮抗していたから、出ようと必死になって魔力を使い果たしていたのよ。あの時が偶然寿命だったの』

 内心キャシーは『そうだろうか』と思っていた。ベルメリは、多量の魔力が爆発的に出る事が有るのではないか、もしかしたら気付かないまま、無意識に魔力を爆発させるのではと思う。誰にも内緒だが。

 今日の海は、外洋ではあるが風がない所為でほとんど波もなく、静かに航海できている。ベルメリとキャシーは甲板のベンチに座り、それぞれの思い出に浸っていた。



 その後の事、チーラさんはセーンを失ったショックでなのか、心身の不調からか、獣人国へ戻ってしまった。ニーセン、ユーセンを連れて出て行ってしまった件は、誰にも止められなかったし、それを責める事など出来はしなかった。

 結界を見張る必要があり、レン達も跡取りとしてニールに戻る事は出来なかった。

 ニキ爺さんは、

「こんなご時世、グルード家を繋いでいくことに意味があるとは思えん」

 と日々言い募るし、ユーリーン婆も似たり寄ったりの思いらしく、2人は跡取りなど必要ないと結論付けていた。そして、2人が亡くなればベルメリに館を相続させることにしてしまっていた。

 不幸なこの事件の数年後、相次いで二人が亡くなった後、ベルメリは館を出て、住むところをセピアで探そうとしていた。 

 そこへ、弁護士からの知らせが来て、初めて相続の事態を知ったベルメリだった。


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