第35話
夕食時である。スカイは一人、ダイニングルームヘ向かった。途中、段々思い出してみる。
思い出す相手は、親父と共に立ち去った、すかしの事である。
あの時、寝苦しさに目が覚めると、『その体躯のあまりの大きさの為、幻覚ではないかと目を凝らした。そして気配も、今更と言えるが、何処とは指摘は出来ないが似ている』
それでスカイは親子だろうと判断した。
それから午後のひと時、中断してしまった昼寝を終え、夕食を食べに一人部屋を出たスカイ。
ダイニングルームに向かううちに、段々違和感に気付いて来た。突然現れたすかしの親父。あまりにも似すぎて、疑問の余地も無かった親子。状況判断では親子で間違いない。だが、昼寝の後、スカイの頭がすっきりして振り返ってみると、あっさり信じ込むよりも、疑うべき状況だったとは言えないか。嫌な気分があふれてくるスカイ。
『この廊下を曲がれば、セブンらとかち合うな』スカイは思った。騒々しいセブン達の声でスカイはいよいよ追い詰められた気分になる。
スカイは廊下を曲がり、ダイニングルーム前となり、セブン達を見つめる。
セブンは叫ぶ。スカイの只なら無雰囲気に気付いたのだろう。
「スカイ、どうした。すかしは?」
「やられた感じがする」
ヤーモも現れ、
「奴は取引したな。すかしをスカイから切り離せば、お役御免で、故郷へ逃げた」
「どういう事」
セブン達は騒ぐと、ヤーモは鋭く言う。
「すかしが居たんじゃあ、スカイを攫えないんだ。磁気パワーを必要としているパラレルワールドの連中はな。内乱であの世界を追い出された連中は、今真に俺らの世界へ逃げて来たな。大勢さんは人数が多すぎて、食い物はこっちのを食うしかないが、具合が悪くなれば癒しパワーで治してもらう気だ。スカイのやる気を信じているぞ。おめでたい奴らだが、治さなきゃスカイは殺されるしかないからな。出来ないとか言う訳無いと思っている。だが、実際、スカイは、出来るのか」
「病人は治した事無いけれど…俺は今まで怪我専門でしてー。俺、砂漠に行ってすかしを取り戻してこないとー」
ヤーモに言われ、慌てて答えるスカイ、
「よく考えろ。癒せば居座るぞ」
「出来なきゃ。殺されるんじゃないか」
「殺すのは何時でもできる、癒しパワーを出させようと、頭をあつかわれそうだな」
セブン達は心配気に、
「スカイ、すかし達を見つけたら、そのまま、すかしんちに居ろ。
「そうしたらお前らの住処を襲うだろうな。俺らの世界でも終わりの無い戦いが始まるんだ」
その後は、皆だんまりで夕食の時間の終わりとなりそうだったのだが、そこへ例の蛇親子が瞬間移動で突然テーブルの上に乗った。
見事に木っ端みじんとなったテーブルの上方で、すかしは、
「スカイ、ごめーん。この親父は奴らと取引したって言い出してだ、俺段々いやになってくる。俺は裏切り者になる気はないんだ。だから戻って来た」
一方、親父、大きな体でいて、いじけているようにみえる。
「ありがとう、すかし。戻って来てくれて。俺らの住む世界が奴らに崩されるのを、救ってくれるんだね」
スカイは、すかしにそう話したのだった。
すかしは、皆を見回して、
「何だよ、今から戦おうっていうのに、さっきから随分元気無かったろ。所で俺の分、無いのか」
ヤーモが、
「俺の食いかけでよかったら、これ食って居ろ。コックにもっと作ってくれるように言って来るから」
「良いの?さすが年の功。他の奴が言うはずの無い事言うんだね」
すかしは感激したように言った。スカイは、
「俺もそういうカッコいい事言いたいけど。無理。ところでお前の親父、帰る気無さそうだけど、あいつにもやるべきなのかな食い物を。帰ってもらえないの?」
「それが、昔住んでいた家には、誰も居なくって、親父は料理した事無いって言うんだ。あっちでも食っても大丈夫だったから、(蛇状態じゃなくて人型でもだから)牢に入っていても食い物はふんだんに食わせてくれていて……」
セブンは察して、
「お前ら、誰も料理してくれる人いなくて、こっちに来たんじゃないのか」
セブンその一も、
「図星だな」
セブン他のも頷く。そして、
「すかしの親父って、食う量多そう。少しは遠慮しろや、食うにしても」
と意見を言う。
「すまん。俺も心を入れ替えて、戦おう。戦って、戦って、戦ってー、たたかって、たたかってー。戦うつもりです」
セブン達、
「分かりましたから」
スカイは、すかしの心。幾分か誤解していたが、それでも戻って来て嬉しいのは、事実である。




