第29話
セブン7人がヤーモがレンを看病している獣人国に、血相を変えて報告に来たのはスカイやすかしが消えて30分ほど経った後。かなり早めの反応と言える。
ヤーモは、
「くそう、カーピンが居るから安心していたのに、どうしていつも後手に回るんだ。あ、カーピン認知症気味か。ショウカさんが言っていたのを本気にしていなかった。しまった」
スカイ達は、ヤーモの結論が出たところで、
「どーする、どーする」
と騒ぐが、
「うるさい、俺らには全く情報が無いのに、どーするとか言うな。どうしようもないと答えろってか」
ヤーモに切れられ、皆だんまりになる。目を覚ましたレンが、
「スカイとすかしが居ないって?ほっとけヤーモ。セブン達も幾つになったと思っているんだ。何かあればヤーモの所に来て騒ぎまわる奴ら。すかしの故郷に連れて行かれたんだろ。お前の出る幕じゃないぞ、ヤーモ。気に入らなけりゃ帰ってくるさ。だからヴァンちゃんなんぞを頼るなよ。あいつ、何か面倒を起こしそうだったろうが、この前」
「分かっている、レン。グダグダ言わずに、寝ろ」
そう、レンに言い置いて、ヤーモは屋外に出た。スカイとすかしは、すかしの故郷に連れて行かれたらしい。ヤーモの出る幕はないとは言え、カーピンの認知症気味の頭の中ではスカイ、愚か者により殺害されると言う未来を見ているのだろう。
『前にヤモは、人はいかれかかると、真実を知るって言ったのは、何時だったかな、嫌な時に嫌な事思い出しちまった』
「どうするヤーモ」
どこまでも付いて来るセブン達に尋ねられ、ヤーモは、
「お前ら一応、スカイ達がどうしているのか探って来い。あの国の近くまで来たら、同じような奴に化けろよ。出来るかなー、無理か」
「出来る、やって見せる」
「やけに張り切っているな。今生の別れかもしれないのに」
「俺ら、何か意味のある事したかったんだ。ヤーモ行って来る。情報集めてくる、じゃーな」
一番年上のセブン、『その一』が代表でそう言うと、瞬間移動で出発した。先日皆でスカイを探しに行って、到着した辺りだろう。
「もう巣立っていく歳頃だったな」
ヤーモは自分がヤモから離れて行った頃に、こんな気持ちだったろうかと、ヤモの事を考えてしまっていた。
一方。スカイとすかし、見た事もない作物が地平線まで続く畑に、到着してしまったため、次に移動する当てがない。
すかし、
「これってまだ食えないのかな」
「普通常識的に、青いのは食えないと思う」
「溝が無いから、生きものっぽい奴もいないな。宴会の後に逃げればよかった」
「それは良い案とは言えない。食い物には見えなかったな。何故かな」
「きっと食った事が無い物ばかりだったからだろな。食ってみれば食えると分かったかもしれないのに」
「俺は、げろ吐くか、下るかだと思う。すかしはどうだろな」
「蛇で食えば、何とかなったな」
スカイは考えた、
「あいつ等、蛇に変われそうも無かった。お前の仲間じゃないんじゃないかな」
「どうしてそれが分かった?」
「何となく」
「根拠はないんだな、もしかしたら変われるかもしれないって所だよな」
「……とにかく、ここには居られない」
「食い物が無いし」
どこに次は行くべきかと、2人で辺りを探っていると、気のせいか気になる風情の奴が数人いる場所があった。
「あいつら、気になるな」
スカイは思わず呟く。
「何処に居る」
すかしが聞くので、スカイは方向を指さす。
「おい、スカイ。あれって、あいつ等じゃないか」
「おー当たり」
慌ててセブン達の居る場所に、瞬間移動したスカイとすかし、どうやらすかしは空き腹がこたえて、上手く移動できなかったらしく、着地に失敗した。これを失敗と呼べるのなら、である。
「わ、わ、わー、何しやがる」
そこには一匹の大蛇があらわれ、正にセブンその三の頭から丸呑みしようとしているのだが、他の6人で慌てて、大蛇の口からその三を抜き去り、
「しっかりしろ血迷ったかすかし。俺らって分かって来たんだろうが。ところでスカイは?」
すかしは、その一言で人型に戻り、慌てて辺りを見回す。
「スカイー、スカイは?居ない……」
顔色は真っ青のすかし、
「一緒に瞬間移動したのに、スカイが居ないよ」
「何だって、一緒に来たのに?手を繋いで居なくなるか?」
セブン(正にセブン)、叫ぶ。
「手、繋いでなかった。今までも、俺ら繋いで瞬間移動した事無かった」
「なんだってー」
一斉に叫ぶ七人。
「スカイ、どこ行った」
呟くように言うすかし。途方に暮れる。
セブンは、
「瞬間移動に失敗したんじゃないか。ヤーモに報告だ」
すかしとセブン達は、ヤーモに相談しなくてはと結論が出て、直ぐにヤーモの所へ戻った。
またもレンの睡眠中であったが、構ってはいられない。スカイ達は、
「ヤーモ、大変だ。スカイが瞬間移動の途中で居なくなった」
ヤーモは目玉をぐるっと回し、
「瞬間移動に失敗したって?くそう、どこへいってしまったんだろう」
すると、今まで睡眠中の筈だったレンが、不機嫌そうに眼を開けると、
「仕方ない、暇な俺が行って来ようか」
セブンは不思議に思い聞いてみる、
「レンさんは何処へ行くって?」
「スカイを探しに行って来る」
ヤーモも驚いて、
「あてがあるんですか」
「無い。だから俺が行くんだ。暇だからな。時空間はここいらから行くのには時間はかからないが、空間の位置によっては時間の速度が違う所があるからな。俺が行くのがちょうど良いんだ。おや、お前ら忘れているようだが、スカイは俺のひ孫じゃないか。俺しか責任をとれる奴は居ないだろう。これがあるから、生きながらえていた気がするな、やれやれだ」
そう言って消えて行ったレン。すかしは、
「責任なら俺がとるべきだった気がするけど、瞬間移動では手を繋ぐって知らなかったな」
セブンは、『蛇には手が無いし、気にするな』と伝えた。




