第27話
スカイとすかし、自分たちが何処に居て何に遭遇しつつあるのか把握できないでいた。
廊下で争う気配は確かにする。逃げるべきでは無いのか。だが何処へ逃げるというのか。逃げ切れるわけがない。それだけは分かっていた。スカイは彼らか消えて居なくなる前、何か喋っていたことが気になっていた。何を言っていたのか、彼らの居た辺りを睨んでいると、そこには結界が張って有るのが分かった。それをじっと見ながら、
「もしも何か分からない奴が入って来たら、取りあえず瞬間移動して、直ぐに此処へ取って返してすかしの親類が作っていた結界の中に瞬間移動で入る。結界の中に入れるのは俺らだけって仕様になっているからな」
「そうなのか、気が付かなかった」
「うん、何故か俺って結界の種類って言うか仕様って言うかが、分かるんだ。最近気づいたんだけれど。だから、例の結界が綻びだしていて、セブンの磁気パワーはあいつ等が吸い込んで居るのも感覚的?かなんかで分かったんだ。別に利口だからって訳じゃなくね」
「例の結界って?」
「あ。そうだったすかしは、あの後に来たんだった。知らなかったのか」
「俺は何を知らないって?」
「ヤーモの親のヤモが、砂漠の向こうの国の奴を(今では、ここいら、らしいが)結界の中に閉じ込めて、殺す作戦。失敗だったけど。そいつらは中に入ったら、魔力が通用しなくなって、出られないって言う結界だ。中で魔力が発揮できるのは作ったヤモだけで、出入り出来るのもヤモだけだった。ヤモは、味方達がその結界の中に奴らを入れて、味方達は外から攻撃する計画だったけど、他の味方達は皆、敵と一緒に結界に入っちまって、ガチで戦った挙句負けて死んだんだ」
「バカだねぇ」
「あいつらは一応、勝っても中に閉じ込められたままだっだから、磁気パワー持ちのセーンの大叔父さんが結界を守っていたけど、年寄りだから死んでね。磁気パワーの持ちの人が生まれてくるまでのつなぎとして、ヤーモがカスタマイズした卵を産もうとして、やっと産まれたのがセブン」
「なるほど、元の先祖が同じだから、パワーは奴等が吸い込んだのか。おれ、皆の考えている事で段々把握できていたけど、スカイの話でやっとはっきり分かった。スカイは癒しパワーだけでなく、全部の能力が欲しい奴らに狙われているよ」
「俺の能力、吸い取る魔法ってあるのか、魔法使いの能力には限りが有るって話だったけど」
「きっとそう言うのが得意なんだろうね。出来なきゃ狙う意味がない」
二人で話している内に、外が急に静かになったのに気が付いた。
「けりが付いたらしいけど、どっちが勝ったか、それが俺らの味方かは分からないしな」
「入って来ないけど、味方が勝ったのかな」
「味方が勝ったら入って来ないって思うか」
「さっきまで居たんだからな」
「敵がさっきまで一緒に居たらどうなる」
「えーと、誰かがー、味方みたいとか言って無かったか」
「み・た・いと言ったんだ」
「すかしは俺の言い方まねしたな。どっち道、さっきまで居た奴らだったら、そこの結界には入らなくてもいいかも」
「うん」
ところが、しばらくして入ってきた奴らは、さっきまでの奴らとは別物だった。どっちにしても、スカイ達には敵か味方かは判断できなかったのだが。
四人の奴らが入って来たが、スカイ達の国だったら、騎士と呼べる奴らの様だ。今まで見た奴らより一回りでかく、腰に剣の様な武器を持っているし、拳銃のようなものも腰にぶら下げている。体力的に見てスカイは叶わないと思ったが、すかしは蛇状態になれば何とかなりそうな気もした。
『すかしはどう思うんだ。こいつらを、敵?味方?』
『分からないな』
ところが、一人の騎士さん風の奴が、
「スカシサン、スカイサン。オマタセシマシタ。ワタシタチハミカタデス。シロニゴアンナイシマショウ」
機械音風なので翻訳機が出している声と思えたが、こうなっては自称味方らしい彼らについて行くしかない。
セピアのエレベーターほどの大きさの小部屋風の造りで、二つのソファが置いてある箱状の物が現れ、スカイ達に中に入れと促された。ソファはふかふかなので、このソファに拘束されるのには柔らかすぎると思えた。仕方なく座ると、瞬間移動で、煌びやかな部屋に着いた。立つように促されると、小部屋は消え、側に煌びやかな服装の数人の人達が居て、その老若男女の中には、何だか感極まって涙ぐむ人まで居るので、きっとすかしの親類と思えた。
彼らは親しげに見つめるが、接触はせず、別の部屋に移動すると、ふかふかのソファが人数分あるし、スカイとすかしは定位置らしいソファに座る事となった。
翻訳機の機械音がなりだした。
「スカシサン、オカエリナサイ。ココガアナタノコキョウデス。スカイサン、イママデスカシヲセワシテイタダキ、アリガトウゴザイマシタ」
あいさつの後、すかしの生い立ち、そして魔法使いさんの使い魔だった件の事情などを話された。
要約すると、すかしは例の国の隣の国の王子で、すかしが例の国に攫われて、人質となっていたが、そこの国の派閥の違う人達に攫われる途中で、盗賊に襲われるなどして、すかしは行方不明になり、今まで探していた。と言われた。それについて証拠は無いが、違うと証明も出来ないので、話として聞いておいたスカイ。
想像の通り爺さん婆さんの存在と、泣き状態の所為で話は切り上げられ、すかし奪還の祝いの席にスカイも招待された。宴会が始まりそうだ。
泣きの爺さん婆さんは、慣れてからお話ししましょうと立ち去った。
すかしは、『どう思う?』と聞いてくるが、『分からない、ケーキ食っている時にソファの箱が来たら、即信用したかもしれない』と言っておく。




