第26話
スカイはギョッと目を覚ます。
『すかしっ』
辺りを見回すが、すかしは側には居ない。だが、スカイは辺りの様子に違和感を覚えた。『気を失っている間に助けが来たのか』
ベッドに横になって居たが、布団?を見て捕まったままなのが分かった。見慣れた布団ではなく。ウールの糸で編み込まれている毛布的凝った編み物がスカイに掛けられていた。『すかし』コンタクトで呼ぶが、返事はない。
すかしは近くに居れば、スカイのコンタクトが分かっていた。『近くにいないのか』スカイは心配でならない。すかしの主人の魔法使いは、すかしが眠っている間に何者かに殺されていたのだ。すかしは主人の近くで寝てはいなかった。自分で砂漠の砂を掘り、穴の中で眠っている間に出口はつぶれていたようだ。それで敵はすかしを見逃したんだと思う。
あまりやった事は無いが、すかしの気配を探してみるスカイ。やはりやりなれていない技は、多分うまくいってないと思えた。スカイ自身、段々不安になってくる。
堪らなくなって、大声で呼んでみる。
「すかしー、すかしー、何処だーっ」
「俺、ここに居るけどー。スカイに分かるかなー。ここだよー」
何処からか、すかしが返事する声が聞こえた。すかしの側に行きたい。スカイは辺りを見て、出入り口らしきものは分からなかった。それが不安の原因でもある。だが材料は木造では?と思えた。で、思いっきり壁をぶちのめしてみる。
「いだい。木じゃなかった。いだい」
「スカイ、怪我したのかー」
「いや、血は流れていないから。手を打っただけ」
「壁、木造じゃないよな。俺もぶちのめして痛かった。何処かが出口でー、あっ」
話の途中ですかしは止めたので、誰かがやって来たらしいのが分かったスカイ。
『すかしっ』きっと一人で戦っているはず。相手はすかしより強いと思えて、スカイは気が気ではなくなる。泣きたくなるが、泣いている場合ではない。助けに行かねば。
スカイは決心するうちに、段々体が熱くなってくるのが分かった。『こんな感じになったら、パワーが出るはず』スカイはもう一度壁をぶちのめした。
壁は崩れた。ほっとするスカイ。『出られた。すかしは何処だ。まだ生きているよな。返事しろよ、すかし。何処に居る』
『眠くなっているけど生きているよ。暴れたら眠らされているとこ』
『眠るな、すかし。逃げなくては。眠ったら捕まったままだぞー』
『スカイは、帰り道分かるか』
『分からなかった……くそう』
ぐずつ、とうとう涙が出て来たスカイ。だが慌てて泣き止み、すかしの行方を感じようとすると、居るような気がする壁が分かった。
『ここだ、すかしっ、すかしを助けないとっ』
スカイは壁をまた壊すことが出来たのだが、そこに居た何者かに武器らしきものを討たれたと思って、避けようとすると、すかしが起き上がって、スカイの前に移動しやがる。がっかりなスカイ。助けに来た甲斐が無い。
『すかし、それじゃぁ当たるじゃないか』やはり命中だ。
『すかし、しっかりしてよ』必死でスカイは、すかしに癒しパワーを当てた。
気が付き始めたすかしは、『スカイ、それやっちゃだめじゃないか』『何言い出すんだ。頭をやられたのか』『癒し能力は見せちゃ狙われるんだ』『どうして?』
頭も癒そうとするスカイの手を、すかしは払いのけた。『すかし、狂って無いよな』心配が頂点に行きそうになり、スカイは辺りの奴を認識し、『おのれ、こうしてやる』と、そいつらを攻撃しようとすると、何か分からない事をしゃべりながら消えてしまった。『あ、逃げやがったのか?どういう事?』
ぽかんとこの事態について考えなければと首を傾げて、スカイが必死で考えようとしていると、
「スカイ、あいつら、俺の味方みたいなんだ」
すかしの一言で、冷静になったスカイ。
「あ、やっぱり。気が付いた時ベッドだったから、ひょっとしたらって思ったんだけどな。俺、ちょっとやっちまった感じかな」
「仕方ないよ。スカイは知らなかったんだから」
「知らなくても、あの毛布みたいなの見て判断すべきだったな。でも、すかしが居なくて心配になって忘れちまった」
「だろな、俺もさっきあいつらが話していて、何だか聞いた事が有る言葉だって思いだすまでは、敵だと思っていた」
「ホントか。で、どういったふうな事言ったのか」
「それはまだ分からないんだ」
「ふうん、分からんけど、何だか聞き覚えがあるって?」
「そういう事」
「じゃ、セピアの皆は俺達が敵に連れて行かれたと思っているだろうな。だけどまだ攻めて来るほど無鉄砲じゃないよな。勝ち目があるとは思わないよな。カーピンは事情を察する能力有るかな」
「年とったら、思い込みってのがあるからな」
「すかしも、年寄りと暮らした事が有るみたいな言い方だよな」
「そうだな、言われて見れば。記憶には無いけど」
「それに俺の爺ちゃん婆ちゃんに会って、反応が激しすぎる気がしたな。考えてみると、自分の身内の記憶が出かかっていたみたいじゃないか」
「そうとも言えるな」
二人で考えても答えが分かる筈はないのだが、考えていると。壁の外に何かの気配がし出した。
すかしは、
「味方じゃない奴が来たような気がする」
「ホントか。すかし、だけど俺としては区別でき無さそうだな」
「俺だって見ても分からん」
「ええっ、不味い事になりそうだぞ。一旦逃げるか」
「だから、何処へ、って言ってるんだよ、さっきからな」
「偉そうに言っているけど、お前だって、お手上げだって事で間違いないな」




