第25話
スカイ達は騎士さんの練習場では準備運動に軽く走った後、何とはなしに二人ずつになって、木製の剣を交えだす。すかしの相手はこれも何とはなしに敬遠されがちな強面の騎士さんだ。全員で一度に始めるにはスペースが足りないので、先輩が先で、スカイ達の相手は次の回になる。すかしとその相手は睨み合っている。誰とでもそんな感じなのだが、スカイは気を利かせて、すかしにコンタクトした。
『すかし、睨み合うのは止めろ。実際戦えばこの場じゃお前が一番強いけどな。皆感付いているから、別に証明は要らないからな。向こうは仕事で来ている騎士さん。俺らは剣の使い方を習いに来ている一般の奴ら。そのつもりで居ろよ。俺らは剣をどんなふうに持てばカッコよく見えるかを習っているんだ。本当の戦いの時は剣をどう扱うなんて誰が気にする?敵をやっつければそれでOKだろ。でも最近は戦争なんて起こらないから、戦う時って言うのは、いろんな記念日に、見物客の前で試合して見せるって言う時だけだな。その時カッコよく見せるべきなんだよな。俺らが習いに来ているのはその目的なんだ。カーピンがセブンの7人が見栄えが良いと思ったらしくて、行事の試合に出すって言われてさ、それで習っているんだよ。カーピンはすかしも出ろって言うよきっと。すかしだってファンが現れそうな容姿と思うよ。俺?俺は磁気パワー持ちで、目立っちゃまずいと言う誰かの意見があって出ない。多分魔女さん達の意見だと思う。でも習うよ。磁気パワーを気にしなくて良いっていう時が、来ないとは限らないだろ』
すかしはスカイに恨めしげな視線を送った。そして、
『スカイにしてやられた。練習に出ないで、試合も出ないって事にすればよかった』
『あれ、出たくなかったって?』
『恥ずかしい気がする』
『へー、すかしは恥ずかしい気分ってのがあるんだな。知的だ。因みにセブンらには、ヘキジョウさんには、とも言えるけど。試合に出る事は、恥ずかしいとは思っていないな。多分、そういう気持ちは持ち合わせていないと思う』
するとセブンがコンタクトして来た。
『スカイは最近、俺らを馬鹿にしている気がする』
『奇妙な事言いだすなセブン。恥ずかしい気持ちが無いって言うのは事実じゃないか。俺は只本当のことを言っているだけだから。怒るときは嘘言われた時だけにしろよ。例えば、セブンが街中できれいな女性にデートに誘われていたけど、断っているのを見たとかね。有り得ない事が二重になっている。危険な嘘だ。誰かが嘘っぽい話が重なっていると本当の事もあると言い出したからな。あ、すかしも気を付けろよ。都市伝説だからな。都市伝説のモデルにはならないようにしないとな』
『どう、気を付けるのか』
『目立つな、そして、噂をばらまかれるネタをさらすな』
『ネタをさらすってのは何』
『外で、モテそうな可愛い笑い方をさらす。モテそうなすかした態度をさらす。とかかな。モテない奴がジェラシーってのを感じる態度だな。主にハイスクールのモテない奴が流している噂だ』
セブンはヘラリと笑い、機嫌が直ったようで、スカイはやれやれとため息をついた。
スカイ達の練習時間になり、話は終わった。
朝の練習が済み、朝食を食べ終えると、後は暇になるスカイ達だ。
すかしはセピア公国の首都は始めて来る所だし、スカイは街中の様子を見ておくべきだと思った。
スカイはカーピンの館を出て、すかしと街中をうろつく事にした。興味深げに辺りを見回す、すかし。
「ふうん、これが都会って奴だな」
すかしは物珍しい事ばかりのようだ。しかし、直ぐに、『スカイ、俺は腹が減った。カーピンの家は上品で食い物が少ない』
「そうかい、でも午前中だから屋台はまだ出ていないけど」
「いいにおいがするけど。食い物売っているんじゃないのか」
「あれは朝食セットを出しているランチの店だな。言っておくけど、昼飯の時間はまだだから。それにおやつってのは午後の食い物だし」
「朝飯二回食べたらまずいのか」
「すかしは段々でかくなりますって言う事だけど、どうする」
「腹がすいている。あの溝にはネズミが沢山居る」
「そーかい。仕方ないな。ネズミ食おうとする前になにか買おう」
「あそこから食い物の匂いがする」
すかしが指さす方向にケーキ屋があった。
「あそこは店では食べる所はないからな。持って帰って食べるしかない」
「店の外に有るのは椅子じゃないのか」『テーブルは無いぞ』
「あそこに座って食べよう」『そこは休憩に置いてあるだけ、ケーキ食い始めるのは、すかしだけだろうな』
「スカイもきっと食いだす」
「すかしは直ぐにこの国の首都の菓子屋、ケーキ屋を網羅するだろうな」
店の前の木製椅子に座り、買った出来立てのケーキ4種類を、すかしのを多めにカットするスカイ。すかしが好きなものを選ぶのを待っていたらきっと昼ご飯時になると思えスカイが適当に選んだ。昼ご飯は公爵別邸に用意されているのに、ここいらで食べる訳にはいかない。仕方なくスカイも食べる事にして4個違う種類のを買ったのだった。
「やっぱりスカイも食うだろ」
「全部食わせたら、またでかくなる。でかくなったら困るんじゃないか」
「ふふん」
天気が良いので、真っ青な青空を眺めながら、4種類のケーキを食べていたスカイ達。
ところが、段々空が暗くなってくる。雲は見当たらないのだが。
「変だな。俺、目が変なのかな。暗くなってくる」
「スカイもか、俺もそんな感じ」
急いで残りのケーキを口の中に居れ、公爵の別邸に戻ろうとした二人だが、立ち上がろうとした時点で、辺りは真っ暗と言って良いほどの状態だ。
「何かの魔法だな、くそうやられちまった」
スカイは呟く。すかしの方を見るとまさに真っ黒い状態の何かに捕まえられたところだった。
『すかしっ』
気を失っているようだし、スカイも一瞬のうちに目の前が一層暗くなっていった。




