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空(スカイ)へ~夜明けに気付いたドラゴン達は空へ飛び立つ。(気付かない内に運命急上昇中その6)  作者: 龍冶


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第23話

 

 スカイはすかしを連れて公爵家別邸のダイニングルームに夕食を食べに行った。

 獣人国から戻って来たセブン達も揃っている。スカイといつも行動を共にしていたセブンが一番若いのだが、他の6人もほぼ同じ年齢に見える。ヘキジョウさん達は年齢不詳の見かけだからだろう。

 すかしとセブンの7人じっと見合っている。スカイは雰囲気が悪いなと思い、

「お見合いですか」

 と冗談を言ってみるが、誰も反応しない。『俺もヤキが回ったな、修行に出るべきだろうな』『スカイ、ヤキが回ると修行に出るのか。ヤキが回るとはどういう気分だ』

 知らない言葉に反応するすかし。

『冗談がさえないとも言うな。すかしはテレビを欲求したか。お笑い番組を見て研究しておこうか』

 スカイやセブンは夕食にお偉いさんが混じらなければさっさと食べてあとは自由に過ごしている。すかしも食べるのは早かったし、

「まだ時間あるし、ロードの爺さんやユン婆さんちに行って、すかしを紹介しようかな。早く見せとか無いと、何か不測の事態の時、爺さん婆さんを食われちゃおしまいだ。早い方が良いな」

「俺はスカイが思っているほど、愚か者じゃないんだ」

 すかしは少し不機嫌になる。

「そーなの、じゃ、連れて行ったら爺さん婆さんに何か気の利いた事言ってみなよ」

 すかしにそう言ってやると、急に考え込みだした。


 最近、カーピン公爵の思い付きで、スカイの爺さん婆さんの住む家は、新しく建てかえられていた。二人とも喜んでくれたから、スカイとしては、カーピン、良い人の方に分けられている。

「ユン婆ちゃん、戻ったよ」

 庭でぽかんとお月様を見ている婆ちゃんに声をかける。奇妙な行動と言えるユン婆ちゃんは慌てて、こっちを見て、

「おや、お帰り……、今晩、婆の目の調子がイマイチ良くないねぇ」

「見えにくいって?」

「スカイが二重に見えるんだ」

「すかしが居るんだけれど」

「すかし?なまえもそっくりじゃないか」

「最後違うだろ」

「お顔だってそっくり」

「そこんとこは目が悪いな。病院行く?」

「行かないよ、あそこは嫌いだ」

 爺さんが家の奥から声をあげた。

「暗がりで見え方をどうこう言っても仕方ないだろ。スカイ、そいつを明るいところで見せてみろ。使い魔なんだろ」

「うん、すかし来な。靴ぬげよ」

「どうして」

「この家はそういう造りなんだ。忘れずいつも脱げよ」

「ふうん、家の中どこででも寝ていいんだな」

「寝たけりゃな。今は寝るなよ。自分の部屋があるだろ、向こうに」

「そうだったな」

 ユン婆さん、明るい所ですかしを見て、

「まぁ、割とかわいいね。すかしているけど」

「婆さん、それ、名前だから」

「分かってるって」

「スカイは名前もふざけて付けただろう」

 爺さんが言うので、

「名前もって?どうして『も』をつける?」

「ふざけて使い魔にしたんだろう」

「違うよ、図星とか言わないからな」

「言わないだけで、事実だろ」

「いーや、本気だから。そこに居合わせた皆もふざけてなかったって証言するよ。連れて来ようか。だけどソールは死んだからな。ベルメリさんか、キャシーさんかだな連れてくるとしたら」

「いいよ、2人とも忙しそうだし」

「遠慮するんだな」

「こいつは蛇だろ。ソールの彼女だった砂漠の魔女さんの使い魔だったろ。あの人死んだのか、噂は本当だったんだな」

「爺ちゃんは噂と思っていたの」

「魔女さんや魔法使いは死んだように見せかけても、ホントは死んで無いって技があるからな。誰にやられたんだ」

 スカイはすかしにお前から言えと合図した、分かったらしく、

「僕が眠っている間にやられたので、僕は知りません」

「何だと、砂漠で冬眠か?」

 爺さんは素早く状況を把握している。

「あの時期なぜか寒くなりました」


「冬眠するくらいに?」

「眠くなりました」

「お前を眠らせる術だろうな」

 爺さんは結論を言った。

「レンも以前に言っていたが、あの砂漠には何処からか奇妙な奴がやって来るらしいな」

「何処からって」

「ほぼ四方はあっちのドラゴンの国なんだが、その間に違う国の国境があったという事だ。俺は行ったことが無いが、レンが知っているはず。何か言っていなかったかな」

「全然」

「うーむ、教えなくても済むかなー、俺の担当じゃないしな」

「知っているなら教えてよ。老い先短いんだから、言い残しの無い様にしろよ」

「ブラックジョークは止めとけ。こういうご時世だから、後味が悪くなる時も有る。そうだ、すかしの使い魔就任記念に、爺ちゃんがプレゼントをやろう。そうは言っても懐は痛んじゃないんだ。カーピンから貰ったが、テレビは大きいので見たくてな。どこででもテレビが見れるって物くれたが、小さすぎて女優さんの顔が良く見えなくて、年寄り向きじゃないと思っていたんだが、すかしなら部屋は広く使いたかろうから、タブレットがピッタリじゃないか」

 そう言いながら爺さんはひきだしから、ノート程のおおきさのタブレットを出して来た。

「爺さんのだろ、それ。カーピンの金、使わせそこなったら不味くないか。脳みそ腐らない手伝いは出来そうも無いけど。まー。良いか、すかし、これ丁度いいな。せっかくだから貰ってやりな」

 スカイは一瞬どうかなと思ったが、ま、良いかと判断した。爺さんにこうやってテレビをつけるとか、ネットで調べたいときはこうするとか言われて、すかしはじっとタブレットを見つめていた。

 すかしは爺さんの説明が終わっても、じっとタブレットを黙って見ていた。電源は入れて居ないが。かなり長時間見続けているから、スカイはそろそろ引き上げ時だと判断して、

「じゃ、もう引き上げようかな」

 と立ち上がると、次はユン婆さんが、

「すかしはスカイより幾分か小柄だし、ほら、スカイが着なくなった服、持って行きな。スカイの服着ていたから、さっきは間違えたね、えへへ」

 そう言って箪笥の中のスカイの服を引っ張り出してすかしに渡している。すかしはなんかもごもご言ってそれを持ち、とうとうふぇーんと言った感じに泣き出した。

 爺さん、

「タブレット濡らしたら、壊れるぞ」

 と忠告する。何だか慌てて泣き止んだすかし。

「じゃ、また来る」

 と言いながら帰る事にしたスカイ。考えてみると、結局砂漠の向こうの国の話は、しなかった爺さんである。


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