第22話
スカイは人型本蛇さんを見て、つくづく自分の迂闊さを嘆きたかったが、今は本蛇さんの前で狼狽える訳にはいかないと決心した。
「えーと君、名前は何と言うのかな」
「お前が決めるんだろ、ここいらのルールじゃな」
「あ。そうだった。じゃ、では、大ちゃんでOK?」
「大蛇だから?」
「そうだけど、何か?」
「こだわりの無い名だな」
「こだわって欲しいって?君としては、何にこだわるのかな」
「能力とか。根性とか」
本蛇さんとスカイの言い草。まるでコントのようだと思うベルメリ。
「爆裂大ちゃん、強烈ちゃん、瞬ちゃん、でか君、つおくん、生君(なまくん態度が生意気って事)どれか、選べそう?」
「瞬ちゃんとつおくんで迷うな」
「くじでも引くか」
「俺、透視も出来る」
「すかしくん」
「ぶっ、ごめん」
ベルメリがまた吹き出し、謝る。スカイはけっしんする。
「すかしくんで良いだろ。うけたし」
「そうだな、意味もひねりがあるな」
それまで黙っていたレンが、
「お前らもう帰れ。俺は寝るからな。ヤーモ、メイドさんに掃除してくれと言いに行ってくれ」
キャシーが
「あら、バッチくて気の毒だし、あたしが汚れ飛ばしておくよ」
「何処に飛ばす気だ」
「外でよくないかな」
ヤーモが不思議がって聞くと、
「生臭いと本物の捕食動物が寄ってくるぞ」
レンの思慮深い指摘に、すかしくんが、
「とりあえず、そいつら俺が食っておくから。動いたら腹が減ったし」
すかしくんをじっと見たレンは、
「スカイ、こいつをカーピンちに連れて行け、さっさと」
「わかった」
スカイ君はすかしを小脇に抱え瞬間移動しようとすると、すかしくん、
「俺も出来るから」
と嫌がるのだが、
「これ以上腹が減ったら困るだろ」
と、有無を言わさず立ち去ったスカイ。
ベルメリとキャシーで顔を見合わせ、
「面白かったね、スカイとすかし君、セピアのお笑い番組にだって通用しそうじゃない」
スカイは、すかしを小脇に抱えて、セピアの公爵別邸にあるスカイの自室に瞬間移動したところ、
丁度メイドさんと何やら相談中のショウカと鉢合わせした。
「わっ、もう帰って来たのね」
「もう、何処へ行っても長居は出来無いと分かったんだよ」
「どうしたの」
「こいつがなんでもくいタガルだ。タガルくんはどう。今思いついたけど」
「すかしの方が良い」
「そーか」
ショウカは、
「すかし君ってつけたの、あはは、くっくっく」
しばらく笑っていたが、
「そうそう、言っておくけれど、スカイの部屋にすかし君の部屋を追加したの。この新しく造ったドアの中にね」
と言いながらドアを開けて中を見せた。
すかし君は、
「俺の部屋作ったんだ」
と言い、何だか喜んでいるように見える。そう思ったスカイだ。『居候は金持ちの家に限るよな』と思っていると、「スカイ、金持ちが良いのか」『別に、いまのは事実を言っただけ』そう言っておくスカイ。事実、スカイはあまり些細な事は気にしない質だ。
ショウカは、
「まだベッドしか入れて無いけど、何か欲しいものがあったら言って」
「………」
スカイは代わりに言ってやった。
「色々置いたら、蛇状態の時に邪魔だろ。この部屋の大きさならとぐろ巻いた時、なんとか入るって感じじゃないのか」
「そんなにでかいの」
「あれ、ショウカさん察して部屋用意したのかと思ったけど。すかしだって思っていたんじゃないか。俺にぴったりの部屋だな。ショウカ、わりと俺に気がある感じ。ベルメリもだけど。僕モテて困っちゃう。とかも」
「思ってない」
「そーかー」
「スカイって、何だか相方見つけたような気でいるね。ふふふ」
ショウカさんは笑いながら立ち去った。
「相方ってなんだ」
「相方は相方だと思うけどな。テレビ番組の中に、四六時中お笑いやっているチャンネルが有るから見ると言い。あ、テレビ無かったな。おまえが、自分でテレビが欲しいって言ってみろ。きっと買ってくれるよ」
「良いのか」
「良いよ、カーピンはな、脳みそ腐るほど金は持っているんだから」
「どうして脳が腐る」
「人間に中にはな。脳が弱い奴が居るんだ。そういう質なんだな。人の中には風邪をひきやすい奴とか、使い道がないくらい金を持っていて、使い道が思いつかなくて、脳みそが腐りそうな奴とかも居て、色々だな。脳みそが腐りそうなのは今の所カーピンだけだけど」
「ふうん」
「だから俺らが、代わりに使い道を考えて、少しでも金を減らしてやるんよ。親切だろ。お前も親切を心掛けろよ。だけど、行き過ぎた親切は。食い過ぎの事だがな、体に良くないからな。第一、これ以上大きくなったら部屋が手狭になって、寛ぎにくいだろ。気を付けろよ」
「そうだな、分かった」
「それにしても、お前の元ご主人は誰にやられたんだ」
「知らない」
「どうして知らないんだ」
「寝ていたからな」
「お前って熟睡する方なのか」
「冬眠だ」
「砂漠に冬とか有るのか」
「寒くなったな、あの時は」
「お前の弱点は寒さだな。だけどここは、金を使いたいカーピン公爵が、室内を20℃に保っているんだ。もう冬眠は無いだろうな」
「ふうん」




