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空(スカイ)へ~夜明けに気付いたドラゴン達は空へ飛び立つ。(気付かない内に運命急上昇中その6)  作者: 龍冶


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第2話

 

 ヤコとヤッヤモ、奴らと戦っている内に、もしや俺らより強いんじゃないかと感じていた。

 そこへ、レンがやって来た。二人はほっとして、

『レンさんだー』

『露骨に嬉しがるんだな。あんな檻、猪だろうが餌が有っても入らんぞ。どうして隠しておかない』

『面目ない』

『ヤッヤモ、爺臭いなー、俺がえさ代わりに入って誘うかな』

『ヤモが、もし入ったら出られないって言いました』

『お前らがだろう、魔力があれば出られる』

『へぇ』

『だが、一応隠そう』

『今更ですか』

 ヤコが意見を言ってしまうと、

『お前ら、生意気になって来たな』

 そう言ってレンは結界を透明にした、そして、

『ほらもう一匹あほうの上手が来た、あいつを結界に入れよう』

『外の奴はレンさんがやるとか』

『おいおい、たかが化けて俺に似せて居た奴じゃないか。ヤッヤモより弱いんじゃないか』

『ウソ、あいつだったって?化けていただけだったとか』

『あれがレン似の正体だったのか』

 二人は少し驚きだったが、すでに何でもありの状況だから、そいつは知っているようで知らない奴と言えた。油断はできない。ヤコは後から飛んできた奴が、元レンニーを強いと言っていたのを思い出す。『あいつが強いとか言ったな』。それを意識して、ヤッヤモは『あんなのに言われた位で、負けられるか』元レンニーに飛びかかった。

 レンが後ろから『気を付けろよー』と注意したが、ヤッヤモ、元レンニーが避けた為、後ろは結界の入り口があり、それに自ら飛び込んで行く事態となった。

『ドアホー』後ろからレンの嘆きの声が聞こえた。 

『おーい一匹中に放り込めー』

 ヤッヤモが要求している。

『僕?』ヤコが担当についてレンに訊いてみる。

『遠慮すんなよー』


 レンがニールの魔人独特の圧を掛け、今到着したばかりの小物と思しき奴を、蹴飛ばして結界の中に入れた。どうやら待ち構えていたと見えるヤッヤモがぼこぼこにしている。

 元レンニーが結界に気付かず、

「何しやがる」

 と言って、めでたく結界の中に入った。

 ヤコは『二人ががりじゃ、ヤッヤモが危なくなる』とこれまた自分から結界に入って行った。


 それをレンは呆れて見ながら、

「まぁな、知恵の無い奴同士で、適当にやってな。俺はこうしちゃいられなかったな」

 レンはセーンの様子を見て。

『あいつも終わっちまったのか。仕方ないココモの所に加勢に行くかな。あれ、土ドラゴンも知恵が無いんだった。しまった、手遅れかな。結界の中が窮屈そうじゃないか。ふう、ヤモは結界に入る定員も教えておくべきだったな。あれじゃそもそも、狭くて戦い様がないじゃないか』

 そんな事を思いながら、レンはココモ担当だった土ドラゴンの国にある結界をめがけて、急いだ。

 到着すると、年老いたオーカーさんがおろおろと、結界の外側から中を窺っている。

「オーカーさん、何かお手伝いする事は有りますか」

 オーカーさんは恨めし気にレンを見て、

「処置無しじゃないか、来てもらった所でな。他にやる事が有るんじゃないのか、ここらをうろつく前に」

「いや、何処をうろついたところで、ここと似たり寄ったりです。後は磁力パワーを少しずつ注いで結界が壊れないようにするだけです」

「そうなのか、しかし磁力パワーと気易く言うが、何処にそんなパワーを持つ奴が居るんだ」

「セーンと、リューン叔父貴が、磁気パワー持ちですよ。生憎、セーンはさっきくたばったようですからね。リューン叔父貴は磁気パワーはあるにはあるが、一人でどうやったら各国の結界に磁気パワーを送れるものかな。あいつらが、勝つ気でいたはずだ。世界同時決起だったからな。実際、こっちは負け戦と言えたのだが、奴らは桁違いの天才ヤモを、甘く見ていた」

「ふうむ、ニールの館の使い魔的魔物も今の所は勝ち抜いたとは言え、能力が有るだけでは近頃は通用しない世になったなぁ」

「後の始末は、俺らが引き受けねばならないだろう。出来ない等といえば、やるだけやって、やりきって死んだ彼らに顔向けが出来まいな」

 そんな話をオーカーさんとしていたレンだが、リューン叔父貴からコンタクトが来た。

『レン、儂の家に来てくれないか、手伝って欲しい事が有るんじゃ』



 一方、ニールの館に到着のベルメリとキャシー、

「あたしたちって、何処を探せばいいの」

 小さいヘキジョウさんっ子達は教えてくれた。

『みんな、何度も同じとこ、探してる』

『わかった、キャシー行こう。あたし達も探さなくちゃ』

『ヤコとヤッヤモはこっちの方に来ていたはずだったけど、消えちゃったの』

「なるほど」

 ベルメリとキャシーは荷物は玄関先に放って置き、外に走って出た。

「探すしかないんだ」

 見回すと、チーラさんがニーセン、ユーセンの手を引いて、庭を当てもなく歩いていた。

 まさかニー、ユーは徹夜してはいないだろうから、今朝からだろうと思ったが。

「あなた達も来たのね、あたしはセーンを探しに行きたいけれど、ニーユーがいるしと思って」

「セーンさんも居ないんですか」

「セピアのママの家に行ったきり、気配が無いって、ガーレンだけ昨日瞬間移動して行ったきりよ。経過も教えてくれないの。ひょっとしたらお爺様にだけ報告しているのかもしれないけど、あたしは分からなくて」

「ニーユーはあたし達と居てくれないかしら」

「それがお婆様が、行くなと言うから」

「そうなんですか」

 ベルメリは、これは大事だと分かった。セーンさんが対応できない事って何なのだろう。チーラさんがまだ言う事が有るらしく、コンタクトできるか試したベルメリ、

『何か話があるのでは?』

『リューン叔父様が夜中にいらっしゃって、磁力パワーをどこかに流して帰ったのよ。直ぐに何処かへ行ってしまったの、急いでいらして、それほど話す時間も無いようだったの。でも、ヤモさんがリューンさんの家まで来て、直ぐに亡くなってしまったそうなの。それだけはおっしゃって帰って行ったの』

「ひっ」

 キャシーが様子が変になった。ベルメリはキャシーをじっと見ると、

『ヤモさんが死ぬときって、セーンさんと同時な気がしていて』

『なるほど』

 ベルメリは途方にくれて、また辺りを見回した。

「それに、チー、ラーは何処に行っちゃったのかな。此処には居ないし」

 横に佇んでいたチーラさんが、

「あの子達なら、昨日早くから来ていたけれど、セーンが返って来ないし、『セピアに行ったセーンを探しに行くって』行ってしまったの。『ヤコやヤッヤモを探さないの』と聞いたら、『きっとヤモさんが作った結界に入っている』って言っていたわ。でもみんなで探すけど、その結界ていうのも何処にあるのかわからないの」

「結界の中に入ったですってー」

 ベルメリは大きく息を吸い込み、

「ヤモさんって、結界づくりしたのね。あの魔界の魔法使いの作った結界を真似たのね。それって作った人じゃなかったら、外には出られないんじゃないかな」

「ひっ」

 チーラさんは声にならない悲鳴を上げて座り込んでしまった。

「きっとセーンは誰かと戦って、結界の中に誘って入って、出られなくなったのよ。きっとね」

 キャシーは、皆分かっているだろうとは思ったけれど、

「ヤコとヤッヤモもそんな風になって居そうね、結界って外から中は見えないのかしら」

「マジックミラーってヤツかも。でもみんなで探していて、誰も結界にぶつからないって不思議」 

 ベルメリも考えた。

「ヤモさんの魔力で作ったんだし、地上には無くて、空中か、地下か、とにかく皆がぶつからない所でしょうね。キャシーはドラゴンになって飛べない訳?結界が浮いているとしたら、飛んでみたらぶつかるんじゃない」

「そうでしょーけど、無理。そして、ひょっとしたらレンニーと結界の中に居て、終わりのない戦いをしているかも」

「そう思うのね、キャシーは」

 ベルメリは当てはないけど空を見つめ、叫ぶ。

「ヤッヤモー、頑張れー、レンニ-なんかに負けるなー、あ、ヤコも-、頑張れっ」

「さすがベルメリちゃん」

 キャシーの誉め言葉が終わらぬうちに、ヤッヤモとヤコが、何処からか転がり落ちて来た。ぼろぼろのお姿。

「キャー、ヤッヤモー」

 ベルメリは二人の方へ駆け寄る、そこへレンニーも落ちて来たが、ベルメリと目が合う。

「この野郎」

 ベルメリはレンニーを打ちのめした。渾身の魔力を込めて。

「げぼっ」何かを戻した感じで、レンニーはこと切れた風に見えた。

 その後、ベルメリはヤッヤモに駆け寄る。


「ヤッヤモ」

 ベルメリはヤッヤモをそっと触ってみる。びくっと動いた。

「ごめん、痛かった?」『ううん』「しっかりしてよ、ヤッヤモ」『ごめんね、ベルメリちゃん、僕の卵見せられそうもないや』「いいの、早く元気になってよ」『セーンはもう居ないし。ベルメリちゃんが呼んでくれたから、また会えた、ありがと』

 ヤッヤモは目を瞑った。お顔が濡れて行くと戦いで傷ついていた所が段々奇麗になって行く。

 キャシーがヤコをさわると、彼は既に冷たくなっている。

「死んじゃったの、ヤコ」

 《キャシー、相手はレンニーだけじゃなかったはず》

 キャシーの心の中にヤコの懸念の声が、

「げっ」

 キャシーは慌てて、辺りを見回し、『ベルメリちゃん、敵はレンニーだけじゃなかったってよ』

『そうだったかも、2対1じゃ、ああは、ならなかったはずとは思ったんだ』

 庭の奥の方にかすかに争う気配を感じたベルメリ、走って行くと、ニキ様に覆いかぶさる奴を見たベルメリ、勢いをつけて蹴飛ばす。その横にはどうやら結界の出入り口があったようでそいつはまた中に吸い込まれて行った。ニキ爺様、まだやられてしまってはいなかったようで、何やら呟いて口を塞いだ。

「良い所に来たな、ベルメリちゃん。また中に入れる事が出来た。ベルメリちゃんは魔力あるかな。此処、魔力で塞ぐ方が良いけど。魔力で作った結界だからね。儂のは光線のパワーだから」

「でも、どうやって」

 入り口を指して、

「ここに手をやって、塞がれとでも言ってみようか。塞がったらOKだな」

「えーと塞がれ」

 何とか塞がった感じだが、

「もう一度リューンの磁気パワーで塞がないとな。二人とも死んでしまったか、残念だったなベルメリちゃん」

「はい、でもヤッヤモがセーンさんもって」

「そうだ、セーンは利口じゃないから、自分も入っちまってな。ヤモが作ったんだから、セーンは入っちゃあならなかったのに、やれやれ。ヤモは他の奴には忠告して回っていたが、皆聞きゃしないしで、他の奴も一緒に入ってしまった。ヤモはリューンに失敗したと言って死んだが、何が失敗なものか、こういう結界、習っても普通は作れやしない。ヤモはノスさんの話をまた聞きしただけで似たようなのが作れている。良い子だったのに残念だった」

 ベルメリはニキさんが自分の孫の死を嘆くよりも、ヤモさんの死を嘆いている気がして、ニキさんは不思議な人だと思う。

 それにしても、結界は磁気パワーを追加して出入り口を塞ぐ必要があるらしい。

 ベルメリは大変な世の中になったと思う。磁気パワーを持っているのはベルメリが知っているのはリューンさんだけである。お年なのに大忙しになりそうだ。磁気のパワー持ちだったセーンさんが亡くなった件、ニキさんはきっと苦々しく思われたのだろうと分かった。

 そんな時、ニキ爺さんの方へふらふらと寄り添いに来たユーリーンさんが、急にハッと気づいたらしく、

「あら、ニキ。磁力パワーだったら、あたしだって持っているじゃない。うっかりしていたわ。あたしがしっかり塞ぐわ。えーとどうやるのかしら」

「ユーリーンはだめだ。癒しパワーに集中しないと。もうお前しか癒しパワーを使える奴はいなくなる。リューンは結界の守に集中する。セーンはもう居ないんだからな」

「セーン、本当に死んでしまったの、ニキ。結界の中に居るから気配が分からないだけじゃないの」

「そう言うんだったら、お前、見て来い。ベルメリちゃんとね。ベルメリちゃんは結界の出入り口をしっかり絞めてくれ」

「はい、じゃ行ってきます。えーと次のセピア行きの船はー」

「おいおい、キャシーは瞬間移動できるんじゃないか。ヤーモの子じゃないか。そのくらいはできそうな気がするが」

「あ、あたしまだ一度もした事なくって」

「誰にでも最初はある。しっかりするんだよ」

「はい、お館様、あたし頑張ります。見ていてください」

 きりっとなった、キャシー。ベルメリは見違えて感心したものの、キャシーの初移動に付き合う事になった。少し不安だ。

「キャシー、本当に出来そうなの」

「失敗しても海に落ちるだけですわ、ベルメリちゃん。セピアへは殆ど海上の移動でしょ」

「キャシー、言ってることが瞬間移動っぽくないんですけど」

「このユーリーン婆だってついて行くから、重くなりそうだけど、お願いするわね」

 ユーリーン婆さんの言う事で益々瞬間移動から離れていく気がするベルメリ。

 ユーリーン婆さらに一言、

「前にレンもどきとうろついた時は、ものすごい速さで移動していたわね。キャシーちゃんの出来そうなことで良いわよ」 


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