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空(スカイ)へ~夜明けに気付いたドラゴン達は空へ飛び立つ。(気付かない内に運命急上昇中その6)  作者: 龍冶


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第13話

 

 宴会の次の日、諦めてニールのベルメリの館に居る事を承知したスカイをベルメリとキャシーに託した、ヤーモ。老いたレンの居る獣人国の城へは行かず、チーラとミーラの母親の実家に向かった。

 そこにはベルメリの父親ヴァンク・ノスの家に代々伝わる多くの書物が置いてあった。ノス家の能力者が代々見聞きしたおよそ世界中の歴史がしたためてある。

 ほぼ世界中の戦争、(戦争の)一部始終、歴史的出来事、国家間の取り決め、興味深い出来事。レンや国王となったレンとミーラの息子も、見ていて飽きないと言っている。ヤーモはその中に、魔法使い、そしてその魔法についての文献があると、ヴァンクさんが生前ヤーモに教えてくれていた事を思い出していた。

 その家に行ってみると、ヤーモの仲間、ヘキジョウさんっ子の一人が、蔵書の見張りを言い使っていたらしく、壁に張り付いていたのだが、ヤーモをみて、人型になってやって来た。

「ヤーモ、久しぶりっ。ここに来るって意外だね。魔法使いの本か。こっちだよ」

 探す手間もいらず、在りかを教えてくれる。

「君って名は有るの」

「王様が本っ子ちゃんて呼ぶんだ」

「へー出世したね。獣人国の王の使い魔って事」

「さーねー、あまり会わないけど。ここの御主人の方が使い魔的なんだけどね。僕、ここの本一応全部読んじまったから、何処に何があるか分かるよ。それで王様が本っ子て名前つけた」

「すごい、俺の調べたい事言ったらどのへんか言える?」

「さあね、僕の興味がある事だったら覚えているよ」

「魔法使いの魔法の縛りを消す事とか何とか」

「うんうん、それ面白かった。ここと、本はまだ他にも何か所も書いてある。出しておこうね」

「すごい、ありがとう」

 ヤーモはある意味彼も天才ではないかと思えた。天才はヤモだけではなさそうに思える。

 ヤーモは世界中の言葉は、今まで生き永らえるうちに覚えてしまってはいたが(ヤーモは語学の天才とも言える)この文献は魔の国の魔人の言葉でそれを癖のある字で書いてあり、いささか読み解いていくのは時間がかかる。四苦八苦していると、本っ子ちゃん、

「訳そうか」

「そうしてくれ」

 本っ子の方が天才的な事は知れた。

 結論としては、魔法使いの縛りは、似たような能力のパワーのある魔法使いがその影響を消す事が出来る。となっていた。消し方の呪文も本っ子ちゃんは訳していたのだが、

「訳した呪文で効き目は有るのかな」

 いささか失礼な気もしたが、聞いてみる。

「……呪文唱える気なんだ。じゃ、原語も書いておこうね。で、フリガナ振っておこうね」

 何から何まで世話になった。ヤーモは何度も礼を言ってニールにもどった。本っ子のお陰でかなり時間の節約が出来た。


「えーと、白いゼラニウム」

 呟きながらヤーモはニールの屋敷に戻り、キャシーの居る執事の事務室へ行く。

「白いゼラニウム」

「それが居るの?」

「魔法使いの縛りを解く。呪文も言うし」

「はいはい、ではご用意しましょう」

 キャシーは何処からか白いゼラニウムを手に入れて来た。早い。ヤーモは今更ながら、良く出来た人だと思える。

 スカイを探すと、セブン達と相変わらず笑い合っている。誰かが冗談を言っては、皆で笑う。

「スカイ、リビングに来い」

 スカイを連れて来た後、ヤーモ、『彼らに有って自分にはないもの、若さ』等と思いながら呪文の準備をしていると、

「ヤーモさんだってまだまだ、捨てたもんじゃないでしょ。リアンさんには思われているし、僕、ひょっとしたらヴァンちゃんだって気が有りそうな感じがしたんですが」 

 少し、あほっぽい言い様のスカイ、ヤーモは驚き、じっとスカイを見る。

「何か?」

「今日は、スカイがあほっぽく見えるが、どうしたのか?」

「あれ、僕は初めからあほですが、昨日は利口だったんですか」

 話すと集中できない気がし出したヤーモ、黙ってスカイの頭にゼラニウムを乗せ、

「今からあの国の魔法使いの魔法縛りを切る」

「へー」

「ウダウダーグニュー、ウダウダーグニュー、グダー、グダー」

「終わったが、」

「へー」

「どんな感覚かな、切れたか」

「えーと?」

 横で見ていたキャシー、内心『そもそも、魔法使いの縛りって言うのが、有ったのか無かったのかはっきりしないわね』と思っていた。

「えーと、良く分からないですー」

「そうか、とにかくやることはやったからな」

「はいーっ?」

「……、もうセブン達の所へ行って良いぞ、やる事はやったんだし。魔法使いに操られる事は無いはず」

「あー、その手の呪文だったんですねー」

 スカイは一寸ばかり、何か言いたげになったがすぐ気にせず、

「じゃ、済んだんですねー」

 と言ってリビングルームから出て行った。

 まだ、横から見ていたキャシー、『スカイのあの様子からして、あの日、セブンを呼んで叫んだとき、スカイはすべての縛りを自分で切ったつもりだったのよね』



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