第10話
スカイ捜索隊、大勢さんでヴァンちゃんに連れられて結界の中に入った。
ベルメリやヤーモ一行としてはヴァンちゃんだけが頼りであるのだが、古のドラゴンの別進化を遂げた奴らの作った国へ到着した。
ソールの情報は確かだった。セピア公国の南の果て、砂漠しかないと思わせられていたそこは、真に別進化のドラゴン達の国と知らなければ、セピア公国がさらに続いているかのような所だった。
ほぼ、セピア公国と変わらない状態と直感した一行の皆だ。ヴァンちゃんは一応人通りのない場所を選んで到着地点にしたようだが、少し足を延ばせば奴らは居る。
彼らの存在は確かに感じられる。
セピア公国に似ているとは言え、皆は珍しげに辺りを見回す。そんな時、ヤーモはヴァンちゃんを注意深く観察した。
ヴァンちゃん、何時に無くその美しいご面相には、微笑みが消えているようなのだ。ヤーモとて感じていた。
ヴァンちゃん、頼りなげにヤーモを見て、
「スカイの気配がない。ヤーモちゃんは感じるか、スカイを」
「元より、出発前から感じていないが、到着後も引き続き行方は分からん」
「結界の影響で、中の誰の気配も感じないと思っていたのだが、結界の中に入っても、スカイの気配は無いな」
ベルメリやキャシー、及びセブン達はヴァンちゃんの言った事に戦慄した。
「ま、まさかスカイは、すでに、もう、存在しないの」
「いや、スカイを連れ去った奴の気配はある。そして闘争的と言うか、誰かを殺戮した感覚は持っていない。殺してはいないはずなのだが」
移動前から人が変わったようだったベルメリ、意見を言う。
「あいつの居場所をヴァンちゃんはご存じなら、あたくしに教えて。あいつをのして、吐かせるわ。スカイの居所をね。あたくし今回、さしてお役に立ちそうもないもの。汚れ役って言うのに徹しますわ、あの時、あいつをノス前にうっかり結界に、このあたしが、入れてしまったの。それが間違いの元なの。はっきり言ってあたくしが、責任を取らせていただきますわ」
ヴァンちゃん、微笑んで、
「ベルメリちゃん、そのように思い詰めては、元美人さんの面影がなくなりそうで、ヴァンちゃんは悲しくなります。さぁ、皆さんで奴の所へ行き、問い詰めましょう。元お嬢さんたちはその様子をご覧になって、うっぷんを晴らしていただきましょう」
言い方はご丁寧だが、空恐ろしいヴァンパイア王の言い様であるが、ベルメリは気付いていない様だ。
スカイ捜索隊一行は、再び瞬間移動して、スカイをさらった張本人の居場所に到着した。彼は人型になって自分の家と思しき場所で寛いでいたが、寛ぎ時間は終わったと言える。皆で到着すると、仰天して飛び上がる。ベルメリやキャシーには見覚えがあった、あいつが年配になればおそらくこんな感じと言える面相で本人に間違いはない。さすがヴァンちゃん、会った事が無かろうが、犯人は分かっていた。
ベルメリがおのれーとばかりに飛び掛かりたかったのだが、ヴァンちゃんはそれよりも早く、なんとー、そいつの皮と言うか皮膚と言うか。あっという間に剝がした。
そのすさまじさに、ベルメリ、すべてヴァンちゃんにお任せで大丈夫と察した。
そいつは悲鳴をあげながら、
「ヒーッ。ぼ、僕はスカイに何もしていませーん。していませんから、どうぞ許してー、下さいー」
「スカイは、何処だ。何故気配がない」
ヤーモは問い詰める。
「ぼ、僕は教会の言い付けでー、磁気能力者を連れてー戻れと言われてー。教会にスカイを置いてきましたー。磁気能力者の若いのをー連れて戻るのが任務でー。それだけでー」
「教会に連れて行っただと、スカイの気配はないが、どうなって居る」
「教会の魔法で、スカイの人格を違う人格にして、別人にしたんです。僕の所為じゃないですから、僕は彼らの言う事を聞いただけですから、スカイの気配がないのなら、きっと魔法で別人格にー、別の人間になったって事でー、磁気能力者が必要だったんです。僕らにはそう言った能力者は生まれては来ないですから。教会に行ってもあんたらきっとスカイは分からないですよ。魔法できっと見かけも変化しているはずでして」
「何だと、スカイは、スカイはどうなったのか、元のスカイは何処に行ってしまったんだ。」
「多分、スカイは磁気パワーの能力が有るから。だから自分が誰だか思い出せば、魔法のパワーより自分の癒し能力のパワーの方が強いだろうから、スカイに自ら戻るですよ。あんたらはスカイの見分けは付かないはずです」
「んな訳無い。磁気パワーの奴はこの国に存在しなかったんだろ。じゃあ、今、磁気パワーを持っている奴がスカイじゃないか。どうだ、アッタリーだろ」
セブンはそいつに詰め寄った。そして、
「長い事、よくも俺をコケにしていやがったな。これでも喰らえ」
セブンの渾身のグーのパンチで、そいつは顔がつぶれたようだ。
「カルシュウムの不足だったな」
セブンはそう呟いた後、
「じゃ、ヤーモ、スカイを連れ戻そうよ。きっと俺らを見れば思い出すと思うな」
「そうなれば良いけど」
ヤーモは少し懸念はあった。
「奴らに精神をコントロールされていたなら、俺らと戻る事を拒否されるかもしれない」
「そうだねぇ、こういう場合、無理強いは逆効果だろうな」
ヴァンちゃんも、難しい局面と思っていた。




