第79話 開かずの扉
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コンビニで買い物を済ませ、僕は真っ直ぐ家へ帰った。
ミルクティー二本に果汁系のグミを三種類。妹の火乃叶の大好物である。
それと合わせて、大っ嫌いな野菜たっぷりのサラダパスタも買ってきた。
これで文句の一つでも言いに部屋から出てきてくれれば……というささやかな願いを込めて買ってきたというわけだ。
火乃叶の部屋の前にやってきて、軽く三回ノックする。
「火乃叶。コンビニ行って大好物とか色々買ってきたぞ~」
「……」
「……渡したいからさ、一瞬でもいいから扉を開けてくれないか?」
「……」
部屋の向こうからの返事は一切ない。
本当に居るのか疑問に思うほど、部屋の向こうからは物音一つしなかった。
まあ、皿に盛りつけてあった昼食が綺麗になくなって部屋の前に置いてあるから、部屋にいるのは間違いないんだけどね……。
こうなることは最初から分かっていたけど、本当に、この先どうしたらいいのだろうか。
今日、久山が「自分の望みに協力してくれたら、今度は僕の望みにも協力する」と言ってくれたけど、正直何かが変わるとは思えなかった。
だって、そもそも、当人である火乃叶自身が心の扉を閉ざしてしまっているのだから。
……でも、そうだとしても、この状態のままにしておいていい理由にはならない。
だけど、僕には手に負えない。
もう、どうしていいのか分からない。
これから、何をしたらいいのか分からない。
だからこそ、結果はどうであれ彼の言葉に縋るしかなかったのだ。
「……ここに置いておくから、きちんと食べてな」
そう言って僕は、部屋の前にコンビニ袋を置いてその場から立ち去る。
そして翌朝、火乃叶の部屋の前に置いたコンビニ袋がなくなっているのを確認してから、僕は足早に学校へと向かった。
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