第78話 あ、ごっめ〜ん。口滑らせちゃった(笑)
ふっふっふ~~~ん☆
ふっふっふ~~~ん☆
ふっふっふ~~~ん☆……。
一日の疲れを感じさせない軽やかなステップで帰路に就く花音ちゃん。
ではでは、そろそろここらで……今日も一日、お疲れっした!!!
いやー。今日も今日とて色々あったけど、よく頑張ったな私!
今日の私に金メダルあげちゃう!
…………え? なんでそんなにご機嫌なのかって?
いや? 別に何もないよ?
……本当に何もないよ?
ただ、よく分からない変なテンションになっちゃってるだけなんだ~。
ぶっ〇ろそ~☆
ぶっ〇ろそ~☆
ぶっ〇ろそ~☆……。
そして私は、そのよく分からないテンションのまま家の中へと入る。
当然ながら、世一にぃは先に帰ってきており、なぜか玄関先で仁王立ちしていた。
……まぁ、細かいことは別にどうでもいっか!
「たっだいまー!」
「おかえり、花音。今日は大分遅かったね。部活を、してたんだよね?」
「うん! そだよ~。とは言っても、だぁれも来なかったけどね!」
「そうだとしてもやることに意味があるんだよ。ちなみに、雅春君は最近どんな感じだい? 部活を通して変化とか特にないかい?」
「んー、知らないっ! だって、最近来てないもん!☆」
「…………今なんて?」
酷く冷めた声音で、世一にぃが私に問うてくる。
あれ? 私、ちゃんと言ったよね???
でも、相手に伝わってないってことはさ、私の話し方が良くなかったってことだよね。
……よし、今度は大丈夫!
相手に伝わるように、きちんと、ハッキリと、話をしよう!
「来てない来てない! もうずっっっと来てないよ!」
「…………学校に来てないってことじゃないよな?」
「違う違う! 学校には来てるけど、部活にはぜんっっっぜん顔出してないってこと☆」
「…………ちなみに、どのくらい顔出してないんだ?」
「分からん分からん! まあ、二週間ぐらいじゃん? 分からんけど!」
「…………何をしてるのか、花音は知ってるのかい?」
「全然全然! これっぽぉぉぉっちも知らないよ☆」
「…………そうか」
「でもねでもね! 今日私が部活終わって帰る時にはね、もうすでに帰ってたんだよ! 帰るなら帰るって一言欲しかったよね〜」
「…………そうかそうか。教えてくれてありがとう」
そう言って、満面の笑みを浮かべた世一にぃが私の頭をわしゃわしゃと撫でる。
かなり力が籠っていたから、髪がボサボサだ。
でも良かった〜。ちゃんと話が伝わって!
私の頭から手を離した世一にぃは、表情を変えないまま今度は私の肩に手を置く。
「明日、お兄ちゃんは雅春君に会ってくるよ」
「えー、なんでー? もしかして、マサくんに会いたくなっちゃった?」
「うん! 俺は雅春君を愛してるからね♡」
「うわー、めっちゃきもーい☆」
「「はっはっはっはっはっ!」」
私たちは、玄関先で高らかに声を上げた。
普通に近所迷惑だけど……まあ、今日ぐらいは別に良いだろう。
こういう日も、たまには必要だからね!
「というわけで、明日雅春君の足止めをお願いするよ」
「とりあえず、話はリビングでお願いしますよ。私はいつまで玄関に立たされなきゃいけないのさ」
「それもそうだ! ごめんごめん、オレンジジュース入れておくから、その間に着替えておいで」
「ほいほーい!」
軽い返事をしてから、私は弾むようなステップを踏んで自室へと向かう。
おっまつりだ~☆
おっまつりだ~☆
おっまつりだ~☆……。
愉快に鼻歌を口遊みながら、私は颯爽とTシャツと短パンに着替える。
それから部屋を出ようとして、ふと姿見鏡の前で足が止まった。
もちろん鏡の向こうには、すこぶるご機嫌な可愛い可愛い私が映っているわけだが……。
「……まあ、仕方ないよね!」
なぜか私は、鏡に映る私に声を掛けていた。
……まあ、今日ぐらいは別に良いだろう。
こういう日も、たまには必要だからね!
それから私は、姿見鏡から視線を外して世一にぃが待っているであろうリビングへと向かう。
……くっくっくっ。
明日、マサくんは後悔するだろう。
可愛い可愛い私をほったらかしにしたことをねっ!☆
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
今後とも、よろしくお願いいたします!




