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なぜか近づいてきたコイツの本性を暴いてやる!  作者: うちよう
第三章 榊火乃叶の本性を暴いてやる!
77/81

第77話 一人振り返り

ブックマーク・評価ポイントありがとうございます!

更新の励みになります!!

 ソファーに寝っ転がって、家の天井をジッと見つめながら、俺は今日一日あった出来事を思い返していた。

 結論から言うと、花音かのん絡みの噂やイジメ、俺と水瀬みなせの盗撮写真をSNSにアップした疑わしき人物——————我部香凜がべ かりんは、疑いの余地もなく潔白だった。

 その本性は、ただ周囲に認められたかっただけの〝承認欲求〟だったのだ。

 美彩みさが調べてくれた情報も、今日の我部の反応も、その結論を裏付けていた。


 ……さて、彼女の本性が暴かれたところで問おう。


 周囲に認められたい人間が、周囲からの不評を買うようなことを果たしてするだろうか。

 断言しよう……しない。するはずがない。

 我部がよほどのアホでない限りは、そんな目に見えて不評を買うような真似をするはずがないのだ。

 まともに言葉を交わした今日だけでも分かる。

 我部は、決してアホではない。

 自分が嫌われると分かり切っている方法を選ぶほど、ヤツは愚かじゃない。

 だから今回の事件とは全くの無関係だと、俺の口からハッキリ言えるわけだが……。


 「これで白紙。振り出しに戻った、か……」

 

 正直な話、犯人は俺たちにやたらと突っ掛かってくる我部だと思っていたから、今回のこの結果は少し痛い。

 何が痛いかっていうと、犯人の線が追えなくなってしまったということだ。

 こうなってしまうと、虱潰しらみつぶしで探していくしかない。

 

 ……いや、違う。

 そうじゃないだろ、久山雅春ひさやま まさはる

 

 俺というお前は、捜査線上から意図的に消していた。見ないようにしていた。考えないようにしていた。

 その最悪の結末だけは、花音にとっても、俺にとっても、何が何でも避けたい結末だから。

 だからといって、不安要素をそのまま放置して良い理由にはならない。


 ふと、脳裏に彼女の姿が過る。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()の姿が——————

 

 「——————だが、もしそうだとしたら少し妙だ」

 

 アイツは、俺の機微を見抜く練習とか言って『自分で本性を暴く練習しない?』と花音と仲直りしたあの日に提案してきた。

 その奇抜な提案について、別の何かを企んでいる可能性しか考えられないわけだが、それが花音の件と俺の件に関わっているとは考えにくい。

 なら、アイツに一体何のメリットが……もしかして、周りから不評を買いたい被虐性欲人マゾヒストなのか?

 

 「いや、その結論はいくら何でもアホ過ぎんだろ」

 

 俺の身勝手な暴論は、頭を振ってその辺りに適当に捨てておく。

 まあ、どんな理由があるにせよ、アイツの潔白を確かめるためにも情報を集めないといけない。

 たとえ、それがどんな結末を迎えることになったとしても……。

 

 「問題はどう情報を集めていくか、だよな……」

 

 なんせ、アイツは無駄に勘が鋭い。

 下手な探りの入れ方をすれば、きっと気づかれるだろう。

 だから今回、榊をアイツに当てるのはなしだ。

 関係値の薄い人間が、急に接近するような真似をすれば警戒されかねない。

 だとすれば、関係値の濃い人間を当てるのが得策だが……。

 

 「…………なしだな」

 

 ふと考えて、すぐに止めた。

 状況が状況なだけに、今回は流石にアイツを巻き込めない。

 だとするとやはり、俺が動くしかない……か。

 正直に言うと、不安しかない。

 俺の内心を見通してきた相手に、今度は俺の方から見通しに近づくのだ。

 上手くやれるとは到底考えにくいが……まあ、状況が状況なだけにやるしか道は残されてないんだけど。


 「とりあえず、直接のコンタクトは最小限にしつつ、周りから情報を収集していくのが無難か。もしそれで進めていくなら、花音の立ち回りが厄介になって……」


 そう言いかけて、言葉を止める。

 考えるまでもなく、結論は最初から出ていた。


 ——————コントロールできる。


 そうだ、俺は我部との一件で花音にお願いをしたのだ。


 何でも五回言うこと聞く、と。


 花音の言うことさえ聞いていれば、必然的に一定期間は彼女の行動を誘導できるというわけだ。

 だから、花音の件に関しては問題ない。

 となると…………俺は、情報収集しつつ花音の相手をしなきゃいけないのか?

 うん、無理。

 できるできないの問題じゃなくて、キャパシティの問題だ。

 花音の相手は俺がするとして、情報収集に適任なヤツが俺の他にいるかどうか……。


 「………………フッ、終わってんな」

 

 鼻を鳴らして、ソファーから起き上がる。


 それから俺は、紙とペンを取りに自室へと向かった。




最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

今後とも、よろしくお願いいたします!

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