第25話M女とアホ貴公子の救助隊結成
「なぜこんな所に、だと?!それは一重にアヤが助けを求めているからだ。この僕に!」
「この男は寝ぼけてんのか?イリス〜!って泣きついてただろアヤは」
「それがアルベルトっつー男なんだよ、シュリ」
「貴様!エレミアだけでは飽き足らず幼女にまで手を伸ばすとは!アヤを助けたら僕が連れ帰るからな」
「あーあーそうしてよ。こっちからお願いしたいくらいだし」
ひょこり、アルベルトの背後から出てきたのは回復薬塗れの獣人族、フローレン。
「茶番はこれくらいにしておいて、イリス様。アヤ様に一体何が起こっているんですか?」
「茶番?!フローレン?!茶番と言ったかこの僕のアツい決意――」
「突然女集団に襲われたんだ。それで、アヤと記憶喪失のジャクリーンって女を逃がしたら二人とも攫われてしまった……今はクルートの足取りを追ってるんだけど、全然見つからなくて……」
「そうでしたか。クルートは気に入った女。特に緑色の瞳をした女に目がなく、連れ去っては精神を乗っ取り手駒とするそうです」
「噂とか都市伝説じゃ無かったんだな……だとしたら、アヤは今頃……」
「精神を乗っ取られ人形になっているかもしれません。アヤ様の瞳は綺麗なエメラルドグリーンでしたから」
「クソ……早く助けてやりたいな。居場所さえ分かれば……」
「ふふん。貴様の力不足だな?しかしこの僕が来たからにはアヤの居場所なんてすぐさま見つけてみせるがなぁ」
「どうやって?」
「我がキルシュタイン家の獣人族。フローレンの嗅覚を使えば造作もないことだ!」
「いやそれ、お前のおかげじゃねぇだろ……」
「フローレンは僕のもの。つまり僕のおかげ。よってアヤを僕に返せ」
「はい、茶番はそこまでにして。アヤ様の持ち物等ありまか?」
「二回目?!おぃ!茶番ってどういう」
「あぁ。荷物の中に確か……あった、アヤのハンカチ」
フローレンはハンカチの匂いを嗅ぐ。
「コチラです」
「おおっ凄いな獣は!アタシのペットにしたいぞ!」
「お断りです。なるならイリス様のペットがいいです」
「フローレン!!主を少しは立てろ!」
「はは……これまた一気にパーティが騒がしくなったな」
「あの、イリス様……もしもアヤさんを無事に助け出せたら、ご褒美をいただけませんか?」
頬を赤らめたエレミアに腕を引かれる。
「ご褒美?」
「……はい。正直ライバルを助けるのは気が引けます。私、アヤさんのことはイリス様のそばに居る資格がないと思ってますので」
「エレミアって結構ハッキリ言うよね。そりゃぁ友達でもなんでもないし普通にクズ女なんだけどさ、アイツは。で、ご褒美って?」
「……もし助け出せたら……く、首輪を。私に首輪をいただけませんか?」
「首輪……」
これまたドMなオネダリがきた。エレミアが俺の与えた首輪をつける……俺のものって証……悪くない
エレミアがありのままの姿で恥ずかしげもなくぶつかってくるせいだ。
俺のドS心は正直になってしまった。
「いいよ。可愛いの、選んであげる」
「っ……は、はい!」
◇◇◇
フローレンに案内され俺たちはクルートの根城を突き止めた。
「ン?いつもの箱の中の奴らに見せないのか?」
「配信なんてしたら俺たちの居場所バラすようなもんだからね。中では何が起こるか分からない……気を引き締めていこう」
「はい!」
「ふん!命令するな。クソイリス!」
「あの」
グイグイとフローレンに服の裾を引かれる。
「突き止めましたのでご褒美をください」
「えっ……」
「フローレンンンン!頼む相手が違うだろうが!!ほら!ボーロをやるからこっちへ来い!」
「私を犬扱いしていいのはイリス様だけですので」
「イリス様の犬兼メイドは私です!!」
「おおぅ!ボーロを寄越せ!そんでもってイリスもアタシのものだ!」
「……お前ら、緊張感をもってだなぁ……」
怒る気も失せる。M女プラスアホ貴公子を連れ、俺たちはクルートの根城、洞窟の中へと足を踏み入れた。




