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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第十一章:進歩する周囲

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737:延長戦 とれとれぴちぴち

 エレベーターのところまで戻ると、高橋さん達は休憩している最中だった。


「階段の位置調べてきましたよ。ちょうどエレベーターを挟んで反対側でした」

「お疲れ様でした。すいませんねお任せしちゃって。本来なら我々が先行して探索するべきでしたのに」

「エレベーターがどうやって作られていくか、見物したかったのではないかと思いましたので。それにこちらも早めに知っておきたいところでしたので各自役割分担ということで」


 ドローンで撮影した映像を繋ぎ合わせて一枚の地図を作り、階段とエレベーターの位置を確認する。それを書き写した物をスマホで撮影し、共有地図として記録。これで完成とは言わないが、迷わないだけの地図が出来上がった。


「さて、我々はエレベーターがちゃんと動くか確認して、その後四十三層の様子を窺ったり報告書をまとめたりしたら朝一で報告に上がるつもりです。お二人はどうされますか」


 高橋さん達はやはり報連相を大事にするらしい。ちゃんと意識して行うのは正しい教育の成果ということだな。


「私たちも似たようなもんですかね。せっかく仮眠から目覚めた事ですし今から寝直すことも出来ますがダンジョン開場までにはまだまだ時間がありますし、四十一層でカニ漁を楽しもうかと思います」

「なるほど、では一旦お別れですね。また朝、課長のところでお会いする事になるかもしれません」

「いつものエレベーターはここですよセットのほうの手配はこちらでやっておきますのでご心配なく」

「民間ダンジョンとはいえ、個人の財布から公共物への出費はあまりお勧めは出来ないんですけど、いいんですか。多分費用請求したらダンジョン庁が肩代わりしてくれますよ? 」


 財布事情を考えてくれるのは有り難いが、それ以上に金を集めているので問題はない。むしろD部隊のほうがよほど厳しいんじゃないかと思える。


「まぁそこは半分趣味みたいなものですからね。あまり気にしなくていいですよ。それではまた後で」

「はい、階段探索お疲れ様でした。ではまた」


 チームTWYSと別れると、また歩いて四十一層の階段まで戻る。今日は歩いてばっかりだな。もうちょっと稼いで帰りたいところなので四十一層をグルグル回りながらリザードマンとカニを相手に戦い続けて体を慣らすことにしよう。


「さてカニどのくらい倒せるかな。そんなに広くない島だし、一周回ってどのくらいの稼ぎになるかおおよその計算をしながら回ろうか」

「美味しいと良いですねえ、カニ。試食はいつしますか」

「休憩する時に一つ茹でて食べてみるか。腐らない新鮮なカニでしかも美味しければ流通に乗ることは間違いないからな」


 カニは身が詰まってて新鮮なものほど美味しいのは間違いないが、ダンジョン産の食品のいいところは常時新鮮であるという一点については他の追随を許さない所がある。これがどこのダンジョンでも手に入れられて流通経路に乗って、末端である食品会社や各御家庭の皿に並ぶまで鮮度が維持されるのが確実ならば、下手な漁場の美味しいカニを駆逐してしまう可能性だってあるのだ。そのへんを調査してもらうためにも、ダンジョン庁には多めのサンプルを提出する必要があるだろう。


 早速四十一層に上がってカニ漁の始まりである。カニ以外にもモンスターは居るが、四十一層ではカニのほうが数が多い。必勝パターンは今から構築するとして、まずは回数をこなして相手の動きのパターンを知っておくことが大事だな。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 一時間半ほどかけてゆっくり目に島を巡回した。そして確認できたことだが、島の中央部にはリザードマンが、海に近いほどカニが出やすい傾向があるというのが解った。それぞれのテリトリーみたいなものがあるらしく、カニとリザードマンが同時に存在する場所というのはかなり少ない。


 つまりカニだけをひたすら倒し続けたいなら砂浜をずっと歩き続ければ良いということになる。こういう住み分けがされているマップは初めてだな。探索メモに記しておこう。


 しかし流石砂浜、踏ん張りがききにくいし靴に砂が入る。そこが難点だな。それを除けば美味しい食材が向こうからやってきてくれる。これ以上の幸せはそうそうないだろう。


 カニも大事だが、リザードマンの戦力評価も行った。芽生さん曰く、槍の段を取るにはまだまだ足りない性能だという。ただ振り回してるだけに近いので、私のほうがよっぽど槍に精通している、という自己評価だった。たしかに、打ち込んできそうなところに打ち込んでくるという意味ではフェイントも何もなく、ただリーチを生かして攻撃してくるだけ、という風に感じ取れはした。


 そして、この両者に共通する可能性があるのだが、キュアポーションを一時間半の間に二つも落としてくれた。どうやらドロップ設定がかなり甘いらしい。ここは稼げるマップだということがはっきりわかる。カニうま島なだけでなくポーションも美味い。


「しばらくカニには困りそうにないな。これから鍋の美味しい季節だし、ゆっくりカニを味わっていくというのも悪くないな」

「その間に高橋さん達に先を越されちゃうけどいいんですか? 」

「そこなんだが、この先の攻略は多分停滞すると思うんだよね。だって四十五層はボスエリアだし、どんなボスが出て来るかどうかも解らない」

「なるほど、ボスですか。そこにこだわって探索が進まない可能性もあると? 」

「十五層のボス部屋みたいな形ならまだいい。三十層みたいにうろついているだけでこちらから仕掛けなければ動かない、というのもまだいい。問題は、アクティブでその辺をうろつきまわっている場合だな。その時はボスを倒さなきゃ先に進めないだろうし、そうなった場合高橋さん達は何処かで強くなってからリトライという壁にぶち当たることになる。だからしばらくはここでゆっくりできるんじゃないかなと思ってる」


 四十三層のモンスター分布も気になる所だが、カニの身集めでここをグルグル回ってる間にもう二、三回ステータスブーストの段階が上がったりスキルが強化されていくことを考えると、焦る必要性は薄い。


「それに、自分達だけで対応不可能となったら多分声がかかる可能性がある。共同戦果ということでボスを倒しませんか? となるか、他のダンジョンから呼んできて応援を増やすか。どちらにせよ、焦って攻略する必要はないと思うね」

「ここでスキルアップですか。いっその事、お互いがソロで巡れるようになるまでここで戦い抜いてみます? 」


 カニうま島をソロ巡りか。無人島散策みたいな感じだな。一人で森探索も悪くなかったが、ここを散策するのも悪く無い気がしてきた。


「それも悪くはないな。寂しいけど」

「寂しいと言ってくれることがうれしいですね、やはり私が居ないと探索も張り合いがないということですか」

「そんな体にされてしまったかもしれん。芽生さんには責任を取ってもらわないと」

「それ、普通言うのは逆じゃないんですか」


 ケラケラと笑いながら芽生さんが返事を返してくれる。


 一人でトレントを巡って倒し続けるのも悪いとは言わないが、やはり相棒が居る時のほうが深く潜れて稼げるのは間違いないのだ。なら二人で潜れる方がよりベターである。


「さて、もう二周したらまた仮眠して朝食にしよう。朝食はパンに目玉焼きにカニだ」

「そこはご飯と行きたいところですが、あくまで味見ですよね。楽しみですねえ」


 ◇◆◇◆◇◆◇


 そのまま合計三周、常夏の島で冬の名物であるカニを存分に楽しみ……なんかおかしいが細かい事は良いだろう。ここはダンジョンなのだ。ダンジョンでは何が有っても不思議ではない。いいね?


 三周する間にキュアポーションが四本。これは中々の収入になった。後は当然まだドロップとしては査定に出せないカニの身とカニミソ。魔結晶は重さ換算だから査定に出せるな。


 カニに注力するだけでなく、リザードマンとも出会ったら戦いあう仲になった。リザードマンは見た目ほど精強ではなく、魔結晶の大きさから察する事も出来るが強さで言えばスノーベアのほうが厄介だった。魔力の出力を極太雷撃並みに上げた雷切でならスパスパっと簡単に斬って捨てられることも解った。そして、リザードマンは、魔結晶以外にもちゃんとドロップがあった。槍である。


 もちろん、リザードマンが持っていたような槍ではない。先が三つに分かれた、いわゆるトライデントと呼べるような、表面が水色に彩られた立派な槍だった。拾って真っ先に芽生さんに渡してみたが、しばらく振り回して様子を見た後、体に合わないからパス、ということで倉庫の射出武器になることが決定した。見た目も良いし飾っておくだけでもそれなりに目を見張るものだとは思う。玄関にでも飾っておこうかな。


 早速四十二層に帰ってくると再び仮眠。四時間半ほぼぶっ続けで狩りに勤しんでいたため二人とも見えない疲労がたまっていてもおかしくはない。四十二層に下りたすぐのところで小さなテントを出し、二人そこに潜り込んで寝る。


「こうやって小さいテントに二人で寝るのはCランク試験以来ですかね」

「そうかも。今後はテントも大きい奴一つにしていくか? あっちならもっとゆったり二人で眠れるぞ」

「そうですね……いえ、色々理由はありますがプライベートスペースと共有スペースのメリハリは大事だと思いますのでいつも通り中くらいのと、このテントの二段重ねで行きましょう」

「わかった。じゃあ早速メモに取っておこう。いつものテント二種類と机とボールペンとノートと……このノートが活躍するようになるにはあと何年かかるんだろう? 」


 Bランク探索者が増えて、それぞれが深く潜りだして、それからしばらくしないとここまで潜ってくる探索者は増えないだろう。その頃にはノートも風化が始まってしまうかもしれないな。いっその事潮風よけにテントも見繕うか?テントの中に机と椅子設置。それで行ける気がしてきたな。テントをもう一つ追加と。


 背広を脱ぐと保管庫に収納。形が崩れると困るというので芽生さんの分も預かることにした。背広がなくても程よく温かいここの気候は若干合わない気がしてきたが、それでも快適では居られるのでスーツの万能感が少しだけ足されたような気がする。


「さて、眠ったらカニ茹で用の水よろしくね」

「任されました。じゃあおやすみなさい」


 ◇◆◇◆◇◆◇


 アラームが鳴る。時間は午前七時。普段起きる時間とそれほど大差ない。しかし、ダーククロウの羽根が無いと若干寝起きに不満が残るようになってしまった。正直言うともっと寝ていたいところだ。やはりダーククロウの価値は高いと改めて感じるところ大である。


 隣で寝る芽生さんを起こし、テントから出てぐにょーんと伸びをする。キャンプ的な体験で言えばここはセーフエリアの中で一番良い所だな。今のところ二番はサバンナマップだ。ここは潮風というほどでは無いが、ゆったりと風が流れている。これが強風だったりしたら考えものだった。


 芽生さんもテントから這い出てきて、伸びをする。机と椅子とコンロを出すと、大き目の鍋に水を張ってもらって加熱。ついでにその水からコーヒーを淹れた後で真空パックのままカニを投入。別のコンロでトーストと目玉焼きを作った。全体的に色が変わるまではじっと湯からあげずに鍋で茹でる時間としてしっかりとっておこう。


 腹を壊す心配こそないものの、ちゃんと茹でたカニを食べたいのでここはじっと我慢だ。我慢している間に朝食が冷めるので先にトーストと目玉焼きだけの栄養素を取っておく。


 しかし、カニの茹で方はこれで合ってるんだろうか? ちょっと疑問が湧いてきた。流石にダンジョンを探索するために予習してカニの茹で時間まで学んでくる必要があるとは思わなかったからな。とりあえず雑菌の心配がないのでこうやってほぼ真水で茹でているが、本当は塩水とか使ってきちんと茹でる必要があったのかもしれない。真空パックから剥して本身で茹でなければいけなかったかもしれない。まあ今日は試しだ、不味かったら不味かったで、美味しい食べ方というものを今後探していこう。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] ダンジョンさんなら生でもいけるから冷やして食べても夏だと新感覚で美味しそう
[良い点] 真空パックなら 半生でもいけそうな . . . (´ε` ) [気になる点] トライデント [一言] 女性は寝起き顔を 見られるのをイヤがる人もいますン (*´ω`*)
[気になる点] 真空パック直ゆで:火が通るかは次回かな 槍の素材:鋳潰して使えないかどうか 砂中:潮干狩り 海水及び海中:塩が取れるならダンジョン塩とか 日焼け潮焼け:水着回があると信じてる [一言]…
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