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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第三十四章:芽生ちゃん、頑張ってる!

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1510/1519

1510:最後の試験 2

ダンジョンで潮干狩りを

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 アラームが鳴っています。起きないと……と、どうやら他のテントでも動きがあったようで、索敵で少しうごめいてる影が……五つ。どうやら余計な誰かを起こしてしまったようですね。密集しすぎるのも考え物ですか。まあ、今後はお互い少し距離を離してテントを立てるってことで納得してもらいましょう。そのあたりは実用する人たちに任せます。


 アラームを止めて伸びをして、顔を軽く水魔法で洗ってサッパリすると、そのままテントから出ます。軽くストレッチをして体の調子を確認。いつも通り地面に手が付くことを確認すると、体のぎこちなさはないことを確認しました。これで十五層まで問題なく戦えますね。


 他のパーティーメンバーもごそごそと動き出して外で伸びをしています。仮眠中にそれなりに汗をかいたらしく、少し暑そうにしているので全員にウォッシュをかけて汗も埃も綺麗にした後、水を一杯飲んで飲んだ分だけ補充。


「おはよう、そっちのアラームで起きてしまったわ。でも気にしないで、探索中はちょっと敏感になってるだけだから」


 阿南さんが首だけテントから出してこっちを見る。起こしてしまったのは阿南さんでしたか。頭を下げておくと、手を振って首は中に戻っていった。


「さて、ここから先十一層までは連れて行ってもらう側ですね。戦闘は変わらず参加しますが、十二層が混んでなければそこでオーク肉を人数分拾っていきましょう。売るもよし食べてもよしの美味しさなのでそれぞれ好きにしましょう。十二層でちょっと戯れたらそのまま十三層へ向かって……十三層も中々入り組んでいますね。道を逸れないようにだけ注意していきましょう」


「ゴブリンキングの順番待ちは大丈夫ですかね? 待つだけで数時間かかったりしませんかね? 」


「前に行った時は木曜の深夜でしたが、三連続でゴブリンキングを狩らせてもらいましたし、そこまで切羽詰まってゴブリンキング待ちがいるわけではなさそうですからね。待っても二時間か四時間ですし、その間仮眠に当てれば良いだけです。安心して潜りに行きましょう。最悪水曜日の朝までに戻ればいいんですし、その場合私がご飯だけ取りに戻ってその間待ち続けるという選択も取れます。多分大丈夫でしょう」


 ゴブリンキングとの対面でもあるし初めてのボス戦、ということで少し気合が入りすぎているパーティーメンバーの一同にうまく気楽さを与える方法はないでしょうかねえ。


「まあ、とにかくまずは十二層まで真っ直ぐ行きましょう。そこでオーク肉をどれだけ手に入れられるか、それを考えてからでも遅くはないでしょう」


「そうですね。ボス討伐とはいえ文月さんが居てくれますし、目標は二段階あって一段階目にまずは取り掛かりますか」


 今泉君が落ち着きを取り戻したところで他のメンバーもまずはオーク肉、という意識に頭を移しつつあるらしいです。十二層まで行くのが難しい、という可能性は私がいる限りないので安心していきましょう。


 八層に下り、全部叩き落としたいなあ……洋一さんなら喜んで叩き落としに行くだろうなあ……と思いながら茂君が四本もある八層の光景を見守りながら九層に下ります。ちょっと久しぶりな感じがしますが、他の階層に比べればまだ最近来た方なので気にしないでおきましょう。


 九層での戦いぶりを拝見しますが、酸を飛ばしそうなジャイアントアントは今泉君が【雷魔法】で優先的に倒し、残りのモンスターも順番に倒されていきます。安定していますね。私が手を出す必要はないかもしれませんし、もしかしたらポーションも要らなかったかもしれませんね。


 そのままぐるりと九層を回り、キュアポーションも手に入れながらの十層。ここもさっき歩いてきた九層の森寄りのルートとそれほど湧きの量が変わらないので、安心して戦うことができますね。


 同じく十層も危なげなく通過。ここまで連携しながら戦えてるのは流石に自分たちで鍛えただけのことはあるってことでしょうね。良いことです。酸を飛ばしそうなジャイアントアントだけをきっちり処理して今泉君は他の三人に前衛を任せる形に収まっているようです。


 おそらくオークとの戦いは、今泉君が感電させて痺れさせ、その間に三人で止めを刺しつつ残りのオークをけん制する、という形で動いている可能性が高いですね。行ってみないとわかりませんがそんな気がします。


 そのままさっくりと何事もなく進んで十一層へ到着。ここからは私は未確認の階層なのでしっかり見させてもらいましょう。場合によっては手も槍も出します。


 しばらく歩いて早速出てきたオーク四匹。私が一匹を水魔法でサクッと縦に切り裂くと、今泉君が一匹を感電させ動けなくさせる。その間に残り二匹を三人で上手く一対二の構図を作って順番に撃破し、最後は三人で取り囲んで二匹を倒し終えました。その間に感電しているオークに今泉君がトドメを刺す。流れるような動作に感心します。そして、早速オーク肉のドロップ。幸先良いですね。


「後四つ、ですか」


「三つで良いですよ。私は結構食べ慣れましたので」


「では、十二層へ到着するまでに集め終わるかもしれませんね」


 今泉君がほっとしている。何故だろう?


「ちなみにですが、Cランク試験の時は何個要求されたんですか? 」


「八個でしたね。なので結構時間がかかりました」


 オーク肉八個か……かなり強欲に取られましたね。三十体ほど相手にさせられた、ということになりますし、ジャイアントアントとの出現率を考えたらかなり負荷をかけられたんじゃないかと考えられます。


 逆に言えばそれだけの間戦い続ける力があるということでもあるので、十二層でも問題なく戦えるでしょう。十二層はちょっとオークの比率が増す程度なので、彼らなら問題なく排除できるし荷物のほうも……荷物は、ちょっと考えないといけないかな。


 できるだけ黒魔結晶を背負えるように荷物を配分していきます。戦闘になってもわざわざ大きく移動する必要のある階層ではないのでまだ問題はないですが、ネクロマンサーダッシュの時に間に合うだけの荷物の軽さでいられるかどうかは問題ですね。


 オークを必要数だけ倒し切ったらさっさと十三層に向かって十四層で休憩する必要があるでしょう。十四層でどれだけお預けを喰らうかも大事ですが、少なくとも食事休憩ぐらいは取る時間的余裕はあるでしょうし、エアマットもテントもなくて休憩には難があるでしょうがそれでもゆっくり体を休める時間は取れるはずです。


 そのまま問題なく十一層を歩き抜け、十二層に到着した。十二層は十三層までの道は結構近め。その分モンスター密度は濃いかもしれませんが問題なく戦えることでしょう。


 同時に同じ方向へ向かうパーティーはいないため、周辺のモンスターはすべてこちらへ来るものだと考えていいだろう。どうやら食肉業者さんは今の時間はいないのか、それともマップの反対側をグルグル回っているのかもしれない。どちらにせよ好都合ではあるのでさっさと行きましょう。


「階段までにオーク肉の必要数は出そうですね」


「ええ、おかげで焼肉を楽しむことが出来そうです」


 オーク肉一枚二百グラムよりちょいあるとして、焼いて天使の取り分を取り除かれたところで百六十グラムぐらい。まあ、一枚肉としては少し小さめではあるが自分の取れ高が美味しく頂けると思えばこそですね。自分の成果を胃袋で確認するのは大事です。


 そのまま十三層の階段に行くまでにしっかりオークを倒し、余分な肉を手に入れたところで十三層に到着。私も初めての十三層なので、全員で地図を確認しながら最短経路を探します。十三層でわざわざ探索をしているのは黒魔結晶集めか骨集め、もしくは真珠に魅せられてこの階層で探索している、というい可能性があります。


 そんなに多くはいないとは思いますが、十二層への通り道と考えれば最短経路にはそれなりに探索者がいるんじゃないかと予想することはできるので、ひたすら戦い続けて十四層までたどり着く、という可能性は低いでしょう。


 他の探索者の頑張りっぷりに期待しつつ、自分達の探索を始めましょう。初めての十三層とはいえ地図はあるので見失わない限りは十四層へはたどり着ける広さです。この辺は小西ダンジョンよりも少し広い、ぐらいで済みそうなあたりが助かる所ですね。階段間もそれほど遠くはない様子です。


 歩きはじめると早速出くわしたスケルトン。みんなマニュアルは読んでおいてくれていたのでしょうか、スケルトンの盾をはじくと胸の核をきっちりと狙って倒していきます。スキルダメージは効果がないことも伝わっているのか、今泉君も【雷魔法】ではなく肉弾戦で勝負を挑んでいますね。


 スケルトンアーチャーが出てこない十三層、十五層では肉弾戦が基本になりますので、しっかりとここで地力をつけて行ってもらうことにしましょう。しばらく戦っていると、森崎君の身体強化が上がりました。ボス戦に向けていい調子で挑めることになりますから良いことですねえ。


 その次十五分後ぐらいに石川君が身体強化が上がり、二人の動きが明らかに良くなったのがわかります。身体強化も長いとはいえ、一つ上がるかどうかで明確に違いが出てくる間は身体強化が上がっていくのは楽しいでしょうねえ。強くなってるという実感が感じられるのはいいことです。


 そしてネクロダッシュですが、初回は失敗しました。ネクロマンサーが四匹のうち一匹が召喚に成功し、スケルトン一匹と余分に戦う羽目になりました。これは次回ダッシュ距離を考えていかないといけませんね。私が優先的に攻撃を仕掛けてもよかったのですが、私抜きで出来るだけ戦うようにしてもらっています。


 次回は私はいませんし、手を出すメインはボス戦ですので出来るだけ十三層は自力で突破してもらいたいところ。私は地図を片手に時々気晴らしがてらネクロダッシュに参加する程度ですが、それでもここで戦うには現状では問題ない戦力である、と言えるかもしれません。


 十三層をうろうろ、時々地図を確認しながら現在地を確定させつつ、少しずつですがゴールである十四層の階段に近づいていきます。


「スケルトン、種さえわかってしまえば攻撃されない限りは問題ないですね」


「まあ、最初に出会った時に明らかに持ってる剣と盾におびえないなら攻撃も単調ですし、しっかり見極めれば瞬間的に近寄って一気に核を叩き割ることもできるようになります。もうちょっと慣れが必要みたいですが、いい感じで進んでいることは間違いないですね」


 そのまま良い感じで進みつつ、十四層の階段にたどり着くことが出来ました。とりあえず、ここまでは問題なしですね。今後も十三層で活動をするには問題はないと判断できます。さて、休憩する前にボス待ちの時間を確認するとしましょう。同時に下りてきた探索者はほとんどいないため、ゴブリンキング目当てで順番待ちをしているパーティーは少ないと考えますが……と、番号札を確認すると、次の順番らしいですね。空いててラッキーです。


「次の番号なので、最短で二時間後、最長でも三時間後ぐらいでしょう。その間に食事をとって休憩をしっかりしておきましょう。そこまで念入りに準備して戦う相手でもないですが、とりあえず空腹で戦うのはダメです、何処かしょうもないミスを犯すことになります。そんなわけで、椅子も机もありませんがここでご飯休憩にしましょう。椅子や机、仮眠用のテントなどが必要な場合は今後は一時間ほどでここまで持ってこれるようになりますから、便利なのは間違いないです。今日のところは我慢ですが就業環境を良くしていくのは皆さんですから、各自欲しいものや必要なものを移動させたりするのは今後の課題としておいてください」


 全員に話を付けた後、地面に座り込んで食事を始める。ランチマットぐらいは用意してもよかったかもしれませんね。まあ、埃がたつような場所でもないですし、隅っこに座って集団でご飯を食べるぐらいなら他の探索者にも迷惑はかからないでしょう。


 昼と同じ食事を味わい終わると、槍にもたれかかって軽く休憩を取ります。時間を待つだけですので、一時間ほど仮眠をとってボス前まで行ってちょこちょこと確認しつつ、ボスが出たら即刻ゴブリンシャーマンを倒せば後はごちゃごちゃ乱闘戦が始まります。乱闘には後ろに回り込まれないように対応しつつ、みんなの力を見せてもらうことにしましょう。


 さて、ちょっとの間お休みです。私も胃袋の中身を消化させるための休憩が必要です。急いでいるわけではないのでゆっくりできるはずです。その間ぐらいは意識を手放しましょう。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
> ウォッシュ」 プルプルするメンバー > 二時間か四時間」 大丈夫、数時間待つと言う芽生さん > ポーションも要らなかった」 ハードルを上げる芽生さん > 三人に前衛を任せる形」 ファンネルを…
おー、ボス戦前に身体強化が上がるとはいいタイミングですねえ このメンバーでどれくらい戦えるのか楽しみだなあ
( ◠‿◠ )
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