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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第三十四章:芽生ちゃん、頑張ってる!

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1505/1513

1505:見えない疲れに

 朝です。いつもより短い睡眠時間ですが、今日だけのことです。明日にはちゃんと眠りますが、一回の睡眠の無理を回復するには無理をさせた時間以上に必要だというデータもあったはずです。今日は一日あまり無理をすることなく、眠れる時には少し眠ってしまうぐらいの気持ちで行きましょう。


 シャワーとメイクを済ませると、今日は遅めの朝ご飯。いつもは早い時間に来るので提供される食事もふんだんにありますが、今日はいつもと違って残骸と形容してもいいような形でちらほらと残っているのみ。


 流石にご飯とトーストとお味噌汁、そしてコーンスープは潤沢に残っているようですが、それ以外のおかずはほとんどありません。まあ、起きるのが遅いのが悪いので仕方ないですね。


 残ったおかずの中で綺麗に浚えてしまえそうなものをおかずを選んでいきます。パスタが三本だけ残っているとか、そこまで減っているのは流石に無視です。


 欠片だけ残っていたコーンフレークとトースト、それに残りのパンをいくつかチョイスして、一つだけ残っていた半切りキウイと二本だけ残っていたオレンジ、それとオレンジジュースでビタミンをチャージ。


 ちょっと夜更かしした分だけビタミンは多く取っておくに限ります。本気でボディケアメンテナンスをするならホットアイマスクとパックとその他いろいろで体をいたわる所ですが、そこまでするのは土日まで待ちますか。


 お腹が満たされるだけの量はありましたのでそつなく食事を終えてしまいましょう。今日はのんびり味わっているほどの余裕もないのです。いくら完全裁量制とはいえ、昨日帰る前に世良さん達は全員が潜っている状況を確認しているはずですから、今日朝出勤してきて誰もいないから仕方なくいつも通り潜るか……となってる可能性は高いですねえ。


 さて、間に合うかどうかはわかりませんが、身支度を整えて出勤することにしましょう。もしかしたら誰も居なくて動揺している……という可能性もありますし、数分で出勤できるのは強みです……と、スマホにメールが届いていました。世良さんからです。


「誰も居ないんですがどうしてればいいですか? 待ってたらいいですかね? 」


 ふむ。これは急ぎで向かった方が良さそうですね。


「十分ほどで到着するので今日の探索の用意をしていてください」


 さて、急いで仕事の準備をしましょう。今日もいつも通りスーツに着替えて出勤です。


 メイク、ヨシ! ちょっとノリが悪かったけど睡眠不足のせいなのは解ってる!

 スマホ、ヨシ!

 スーツ、ヨシ!

 お財布、ヨシ! 中身もヨシ!

 でっかいバッグ、ヨシ!

 お弁当、ナシ! 今日は食堂の予定!

 コップ、ヨシ!

 装備、ナシ! 一式更衣室に置いてある!


 指さし確認をいつも通り行って、早速出勤です。途中でコンビニに寄る必要もないですし、真っ直ぐ行って皆の不安を解消しに行く方が大事でしょう。しかし、高野君ものんびり出勤とは思いませんでしたね。仮眠室に居るはずですが、熟睡しているようです。スマホもオフにして耳栓でもして寝てるのかもしれませんねえ。


 急いでダンジョン庁に到着すると、探索課には世良さん達のパーティーだけが居ました。高野君はまだ目覚めてはいないらしい。


「あ、来た来た。おはようございます」


「おはようございました。別に朝誰もいないからと言ってあたふたする必要はないんですよ? 予定は決まっているんですし、ダンジョンに先に入ったとしてもスマホで連絡が取れる階層の間はスマホで連絡を取ってもいいと思うのですが、流石に朝礼慣れしてしまったというところですかね」


「高野さんも居ないんですよね。それが不思議で。連絡も付かないですし」


 世良さんがコールしているが、電源が入っていないか電波の届かない所にいるらしい。


「高野君は多分仮眠室ですね。他の仮眠してる人を起こさないようにスマホの電源も切っているんでしょう。昨日は遅くまで私と二人で二十一層まで潜っていたので、その分睡眠時間を確保してるんじゃないかと思います」


「昨日の帰り際にマグネットがダンジョンになってたのはそういう訳でしたか。文月さんは体調大丈夫なんですか? 高野君がぐっすり眠りこけているのを考えるとそれなりに昨日はお疲れだったのでは? 」


 世良さん達が大丈夫なのかこの人? という感じで私を見てくる。失礼な、しっかり睡眠は取れましたし、朝ご飯もちゃんと取ってきましたよ。ただ、朝のニュースを見てくる暇がなかったのが気になる点ですかね。


「とりあえず、世良さん達はいつも通り潜って帰ってきてください。Dランクになるまでもう少し時間はかかるでしょうが、それが終わり次第皆さんもキャンプ組と一緒に潜っていく手はずになると思いますのでそれまではひたすら四層で特訓しててください。できるだけ身体強化が伸ばせるようにしておくと、七層に潜って一晩過ごすようになるような場合、肉体的負担を減らすことができるので比較的気楽にストレスなく過ごせるようになるはずです。時間的には……今ごろ最後の一周をしている時間かもしれませんね。それが終わり次第仮眠をとって、帰り道すがらこっちに連絡をよこして荷物の回収に行く手はずになっていますので、自分達の時になっても同じようにできるよう覚えておいてください。では、それぞれ仕事しましょう」


私は昨日の実体験をマニュアルに盛り込む作業と、荷物の引き取りを待つ時間があるのでその間はここで待機です。私から伝えることはそのぐらいですかねえ。


後、朝来て誰もいなければそのまま仕事に向かって構いませんのでそこは柔軟性を持っていきましょう。月曜日の朝礼だけは全員参加する、ということだけ守っていてくれれば問題ありませんし、基本的に出払っている方が仕事をしているとみられる部署だということを覚えておきましょう。


 自分の席に座って早速マニュアルの続きを書き始めた。みんなも納得したようで、ご安全にと言いながら探索課から出勤していった。今日もいつも通りならば一万円分ほどのギルド税を稼いで帰ってくることでしょうし、Dランクになるのも時間の問題でしょう。良いペースですね。


 しっかり朝ご飯を取ったおかげで朝から頭がしっかり回っています。途中で眠くなることがあるかもしれませんが、そのときはアラームをかけて休憩時間、ということで素直に寝ることにしましょう。


 コンディションのいい仕事をするためにはちょっとした休憩ぐらいは許されると思いますし、その間の仕事でいくら分の効率化ができるか……と問われる部署でもありません。効率で言われたら私一人がひたすらダンジョンに潜ってればいいわけですから、課題は解決されることになります。


 私を量産するためのマニュアル策定なのですから、この一カ月ほどの間をデスクワークをメインで過ごすのは投資のようなものです。まあ、ダンジョン庁探索課自体がダンジョンの未来に対する投資のようなものなのでしょう。これからどんどん進んでいくぞ、という気概の見えるマニュアルにしなければなりませんね。


 さて、昨日の実体験と得た情報を基にすると、十九層で探索を行った方が二十層よりも数多く相手をすることが出来そうなのでそこは記しておくべきでしょう。


 数カ月も経てば大きく情勢が変化する、という可能性はありますが、【索敵】の絶対数が増えることは考えにくいので今後も十九層二十層が混み続けるのは間違いないでしょう。


 お金をためて買い付けるという方法もありますが、なんとかして【索敵】を入手する方法を見つけてあげたいところですね。何かいい手はないでしょうかねえ。


 うーん……ダンジョンマスターに出会って【索敵】をもらうという方法は基本的に使えないでしょうから、十九層二十層をふらつくか、【索敵】を持った人物に先導してもらって二十五層から二十七層を巡り【索敵】が出るなり歩き抜けるまでBランクになったころまでに入手する、ということになるのでしょうねえ。


 何か月後になるかわかりませんが、その頃には一度戻って全員を二十八層に連れていくという仕事を仰せつかるかもしれませんね。出来れば土竜(どりゅう)の誰かに頼むとか、方法は色々あるでしょうからこれを機に探索者同士仲良くしてもらうのもありですねえ。


 さて……十九層二十層の混み具合を書き込んで、その他の階層については問題なく探索が出来ることを明記しておいてもいいでしょう。昼間に専業探索者が散らばるのは仕方がないとして、夜は快適に探索が出来たことを記します。


 まだわからない昼間の混み具合によっては階層を柔軟に変えつつBランクへの課題であるヒールポーションのランク3の回収とBランクへのランクアップ分のギルド税の納付にチャレンジしていくべきである、としている。


 後は……後は……もうこのぐらいでしょうかねえ。だんだん頭の中がこんがらがってきました。休憩を入れましょう。食堂でコーヒーを飲んで少しゆっくりして、必要なら仮眠をとってその後でもう一回整理することにしますか。睡眠不足で頭が回ってない可能性もありますし、疲労が蓄積しているかもしれません。


 目に見えない疲労について洋一さんが常々語っていたことを思い出します。それが溜まってる、という可能性は考えておいてもいいでしょう。思えばこの三週間ほどゴブリンキングを夜間に潰しに行ったり昨日もぶっ続けで二十一層まで行ったりと、色々動き回っています。


 長時間のパソコンワークもそうですが、小休止こそとっていたものの根本的な疲労対策というものはやってないような気がします。これは何か起こる前に対処する必要があるでしょうね。地元に戻ってしばらくグダグダする可能性だってあるわけですから、その前にリラックスできる環境に身を置くのも大事かもしれません。


 食堂の自販機でペットボトルのコーヒーを買って、ゆっくり飲みながら椅子に座って休んでいると、やはりちょっと疲れのようなものが出始めている気がします。少し休みを取っておくべきでしょう。仕事中に寝てると言われても仕方ないかもしれませんが、昨日の調査の分だけ疲れていることですし、大人しくちょっと眠りますか。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 食堂で三十分ほど仮眠をとって帰ってくると、高野君が出かける準備をしています。


「おはようございます。お出かけですか? 」


「おはよう。昨日はお疲れ様。文月さんに連絡がつかないから代わりに七層まで荷物を取りに来てくれと言われたもんでね。どうしよう? 俺が行くって言っちゃったけど文月さんが代わりに行く? 」


 寝てる間に連絡が……入ってましたね。これは迂闊でした。


「いえ、そのまま高野君が行っちゃってください。どうやら見えない疲れがたまっていたみたいで、食堂で爆睡していました。このままの調子で行くと多分、何処かでまた眠りこけるかもしれないのでどうぞお願いします」


「わかった。こっちはしっかり仮眠室で眠らせてもらったおかげで安全にいけそうだよ。食堂で飯食ったら七層で阿南さんと合流して、そのまま二人で一層まで上がってくる予定になってる。二パーティー同時に戻ってくるから荷物もまとめて持ち上げる形になるけど、それぞれ区別ができるようにはなってるらしいから心配はしなくていいらしい。じゃあ、行ってくる」


 そのまま見送ると、さて、しゃっきりした頭を持ち直して引き続きマニュアル作りに精を出すことにしますか。みんなが帰ってきたら……Cランク試験が受けられるのかどうか問い合わせする必要がありそうですね。その準備もしておきましょう。


 さて、マニュアル作りも一段落済みましたし……暇ですから掃除でもして待ってましょうかね。普段いないから所々埃のようなものが見受けられますし、多分買ってきたテントやらエアマットやらの細かいゴミくずが見受けられます。いくら普段誰もいないからと言って、放置しておくのは問題でしょう。


 適当にゴミくずをかき集めるとウォッシュで……綺麗に……ふぅ、なんとかできましたね。流石に地上では難しいかと思われましたが、片手一杯分ぐらいのゴミなら黒い粒子に変換してしまえるようです。後は部屋全体にウォッシュをかけて……これでよし、きれいになりました。


 みんなを出迎えるまで、外国のサイトを漁ってマニュアルの参考にできそうなところがあれば探していきましょう。暇つぶしとも言います。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
> 残骸」 ホテルの朝食の残骸を食べる芽生さん > 大丈夫なのかこの人?」 という目で見られる芽生さん > 失礼な」 憤慨する芽生さん > 仕事をしているとみられる」 (仕事をしているとは言って…
なんだっけ、赤外線スコープでカメレオン見えるとか前見たような。 それでカメレオン狩りで探索集めた方が良さそう。
やっぱ肉体労働な職場ですし仮眠室にダーククロウ枕を備品として入れるのもありかもなあ
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