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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第三十四章:芽生ちゃん、頑張ってる!

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1501:探検私のダンジョン庁

 マニュアルを一応の形で書き終えたところでお昼です。今日のお昼は何でしょうかねえ。食堂に行くと、今日のワンコインランチは豚丼らしいです。五百円で味噌汁と漬物と豚をメインにした卵とじの豚の切り落としをたっぷりしょうゆベースで煮込んだ具材がまた食欲をそそります。


 今日はあまり動いてないので少々カロリーオーバーになる気がしますが……まあ、いいでしょう。もしかしたら午後から何か体を動かすことになるかもしれませんし、その時に考えればオーケーです。


 タマネギの炒め具合がちょうどいいですね。ほとんど炒めおわっているものの、所々に見られる少し生のところがアクセントになって美味しいです。後しょうゆベースのたれもしっかりご飯に味をつけていてグッドです。


 ダンジョン探索組は弁当大盛で汁をしっかり吸い切った米を食べているのだと思うと少し羨ましくもありますね。こっちはまだお米とタレが馴染んでいなくて口の中で調味する感じになっています。これはこれで良いのですが、個人的にはしっかりお米が味を吸っている方が好みです。


 ですが、美味しいことに変わりはないのできっちり食べて味噌汁も一滴残さず飲み、最後に漬物をポリポリと食べ、口の中をサッパリさせたところで食事終了。中々に満足できる食事でした。明日が楽しみですねえ。次はどんな食事を提供してくれるんでしょう。これがワンコインなのだから、探索者の血と汗で出来ていることを考えると自分で栄養補給している気がしますが、まあ細かいことは良いでしょう。


 午後からはのんびりと誤字つぶしや修正点の洗い出しをしよう……


「ちょっとそこのお嬢さん、今手が空いていますか? 」


 おばちゃん従業員から突然話しかけられる。なんでしょう。


「空いていると言えば空いていますが、何かご用事ですか? 」


「資材課に荷物を運ばなきゃいけないんだけど、少し手伝ってもらえるかしら? 一人では何往復すればいいか困ってたのよ」


 資材課はさっき行ったところだし場所もちゃんと覚えているので問題ない。腹ごなしの運動にはちょうどいいので手伝うことにしましょう。同じ庁の職員同士、気心知れてお互いに手伝える環境を作りに向かうのも大事でしょう。


「わかりました、お手伝いしますよ」


「助かるわ。丁度部署の面々がお昼で外に出ちゃってて。昼一で必要な書類とか物品やらを整理するのに時間がかかっちゃっててタイミングの悪いことにみんないなくなっちゃったのよ……そういえば、あなたは何処の所属? ネームプレートも制服も着てないようだけど」


 今更気づいたらしい。


「探索課の文月と言います。今年入った新人です」


「探索課……真中長官の肝いりのところね。今日はダンジョンじゃないの? 」


 どうやら探索課は常にダンジョンに潜っているものだと認識されているらしい。実際にそうなんだけれど、たまにはこうやってダンジョン庁全体を知ることも必要でしょうねえ。実際このように勘違いされてますし。


「今日は私はお留守番ですね。一人夕方ぐらいに帰ってくるはずなのでその人次第ですが、今日はダンジョンに潜らなくてもいい日っぽいです」


「そう……あ、これこれ。これを運んでほしいのよ」


 段ボール箱に入った色んな書類と物品を資材課に預けるものらしい。書類をちらりと見るとどうやら、前々回あたりに価格改定で使った書類やサンプル品が入っているらしい。部署のプレートを見ると営業局第一営業課になっているので、営業用のサンプルを保管しに戻る、というところでしょうか。


 第一営業課の中を覗く。電話をかけたりかかってきたり、書類に追われたりと中々に忙しい部署のようだ。確かに現在進行形で仕事をしてる人を引き抜いて作業させるのは気が引けるんだろう。


「とりあえず、この書類とサンプルのドロップ品を資材課まで届ければいいんだけど、資材課の場所はわかる? 」


「向かう場所は問題ないですが、どこにどれをしまうかは指示してくださると助かります」


「わかったわ。とりあえず持てるだけ持って向かいましょう」


 食後の運動が営業局の手伝いになりましたが、何もせずボーっとしてるよりははるかに世の中のためになっているので喜んで手伝うことにします。


 第一営業課から資材課の倉庫まではそこそこ距離があり、たしかにこれを何往復かするのは面倒くさいな、と感じた。荷物のほうが予想よりも少なかったため、二人で数往復してとにかく数をこなす。仕舞ったり置いたり、書類を纏めて置いておく場所は細やかに指示を受けたおかげで結構綺麗に整頓することが出来た。


 と、資材の中にフレイムサラマンダーの革を発見。ここに来ていましたか。小西ダンジョンから遠くまでご苦労様です。


「どうしたの? 革を見つめて」


「自分が採ってきたものがここに並んでいるのがわかったのでなんだかちょっと親近感がわきまして」


「ふうん。結構優秀なのねあなた。流石は探索課ってところかしら」


「まあ、複雑な事情はありますが自分の仕事がちゃんと巡り巡っていることを目視できたのでそれに関しては一つ勉強になったというところですね」


 鈴木さんは一息つくと、少し休憩を始めた。どうやら今から昼休み、ということらしい。


「文月さん、手伝ってくれてありがとう。まだ昼休み中だと思うけど悪かったわね」


「いえ、食後のいい運動になったので。それでは失礼しますね」


 鈴木さんに一言断って探索課に戻る。さて、しばらく暇ですね。食休み明けを待たずに軽い運動をしたので少しお腹に来ています。ゆっくり休んでから、また何かしましょう。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 一休みが終わったので、そういえば全部を回ったことはなかったな、と思い立ち、ダンジョン庁の中を探検することにしました。営業局には先ほど行ったので、他の部署を見て回りましょう。


 入庁する時に全部の部署を回ったわけではないのですが、ざっくりまとめるとこんな感じの組織になっています。


・営業局

・・第一営業課--対外交渉メインの部署。ドロップ品の卸しや商社との折衝を行います。

・・第二営業課--内部で書類を回す係。第二営業課がないと第一営業課は立ち回らないそうです。陰の立役者、ということでしょうか。

・・第三営業課--査定カウンターや支払いカウンター、その他ギルドの実務を扱うのがここです。ここが回らないと買い取りも査定も何もかもが回らない重要部署でもあります。


・管理局

・・探索者情報管理課--探索者に関する情報を一まとめに管理している。探索者のランクについてもここからの情報を基にしてランク更新基準を管理しているそうです。

・・情報管理二課--各ドロップ品や魔結晶の価格を決めているのもここ。八月と二月は戦場になるのは入庁前訪問で見ましたね。

・・資材課--ダンジョン庁の資材、内部備品などを一手に担っている。倉庫とも言う。ここに発注することでダンジョン庁の資材は回っている。さっきはお世話になりました。荷物類・サンプルドロップ品が保管されているのもここの倉庫になっています。

・・総務課--人材周りの相談や組織内部の調停、人事異動など細かい内部調整を行ってくれる部署、らしいです。そんなに人数はいないそうで、今年は新入庁者からは一人も取らなかったとか。

・・会計課--ダンジョン庁の財布。ダンジョン庁全体の資金の出入りを監視しています。毎月ギルドマスター会議で計算される収入支出の元データはここが握っているらしいです。

・・ダンジョン会計課--各ダンジョンの会計監査を行っている。不正支出や不安定な収入がある場合などに各ギルドマスターに注意を飛ばす係になっているらしいですが、今のところでは問題が起きたダンジョンはないらしいです。


・探索課--ダンジョン庁長官直下の組織。ダンジョンに潜る一般公務員探索者を抱えている。私が所属するのもここですね。一番新しい部署でもあります。


 ざっくり分けるとこんな感じで、その上に副長官と長官がいて、全体を束ねる係をしています。副長官はまだ出会ったことがないんですよねえ。こっちにいる間にお会いする余裕はあるんでしょうか。


 話によると副長官は営業局寄りの人間で外部折衝を主に行っているということで、自分の席も長官室や長官室の隣にあったりはせず、営業局に自分の机があるそうです。実質的に営業局長を兼ねている、というところでしょう。


 そして、長官室には秘書である多田野さんの席と真中長官の机と椅子があります。真中長官は主にあがってくる議題や企画案、その他色々においての判子付きと判断がお仕事のようで、基本的に忙しいことに変わりはないようです。今日も部屋に居る様子です。きっと、多田野さんにおしりをたたかれつつもワイワイ仕事を楽しんでいることでしょう。


 流石に全部の部屋を回ってそれぞれ暇そうかどうかを確かめに行って、各所で仕事を押し付けまわされるのは勘弁してほしいので、大人しく探索課の席に戻ることにしましょう。


 自分の席に戻ってコーヒー片手にマニュアルの再確認をします。モンスターリストは六十四層まで、マップ構成も六十四層までは作り上げています。ここから先は現状マニュアルとしての情報はありませんが、私と洋一さんでサンプルで渡した動画や画像のデータがあるはずなので、見つけ次第追加する、という感じにしましょう。どこにあるんでしょうかねえ。


 しばらく共有されている情報と格闘していると、高野君が戻ってきました。


「ただいま。無事に設営が終わったから帰ってきたよ」


「お疲れ様です。水タンクの中身はちゃんとまだありましたか? 」


 七層で水分切れを起こすようなら問題なので、潜って荷物を受け取るたびに美味しくはないけれどきちんと水分補給できるように水魔法で水分を足して帰ってはいるのですが、人数が増えたことで必要量が増えるかもしれません。


「とりあえず今の所は大丈夫そうだったかな。明日また潜るんだし、その時に補充すれば充分だと思うよ。悪いね、スキル頼りになっちゃって」


「まあ、そこまでがアフターサービスということで。私がいなくなったら水魔法使いを探してお金払ってお願いするなりしないといけませんからね。最悪でも行きに水を運んで帰りは置いてくる、という形になるとは思いますのでそれまでの辛抱ということで一つよろしくお願いします」


 高野君もエレベーター待ちと荷物下ろしと設営でそれなりに気を使った、というところでしょう。自分の席に座って少し目を閉じて体力を回復させているようです。


「文月さん、この後空いてるかな? 」


「空いてますが、ダンジョンに関係あることですか? 」


 ふと問われたので仕事の話かどうかだけは確認しておきます。


「半分は仕事だけど半分は私用かな。もし今日明日で予定が空いていたらだけど、俺を二十一層まで連れて行ってくれないだろうか? 」


 そういえば高野君はエレベーターは使えるけど二十一層はまだ行ったことがないんでしたね。ふむ……これからを考えると二十一層までたどり着けている人数は多いほうが得ですが……いまからですか。中途半端な時間に戻ることになりそうですがそれは大丈夫なんですかねえ。


「とりあえず空いているし大丈夫だとは答えておきますが……急いで行かなきゃいけない話ですかね? 」


「急ぎではない、けど、最近自分の探索が出来てないからそっちを少し進めたいなあというのは贅沢かな? 一言ではっきり言ってしまえば、ちょっとガス抜きをしたい」


 なるほど、ガス抜きですか。確かに必要かもしれませんね。それに、十五層から先の混雑状況を確かめる必要があるとは前から思ってましたのでちょうどいいタイミングだと言えるかもしれません。


「いいですよ、お付き合いしましょう。今からだと……ちょっと睡眠リズム的に問題があるかもしれませんので、少し仮眠をとってから向かうことにしましょう。それならば私もお付き合いします」


「それはありがたいかな。じゃあ、少し仮眠をとってから出かけよう。悪いね付き合わせて」


「いえ、マニュアル作りの参考に、今高輪ゲートウェイ官民総合利用ダンジョンでどのぐらいの人口密度になっているか一度調査に行かなくてはならないと思ってましたのでちょうどいいです。明日の昼頃までに戻って来ればいいわけですし、時間的には明日の始発までに戻って来ればいいと考えれば安いものです。さっさと眠って起きて、みんなが帰ってくるかどうかの怪しいラインで夕方探索組と一緒に潜ってしまいましょう」

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
二十一層からは廃墟マップだから二十二層からは蜘蛛とゴキ階層ですよね しばきまくってストレス解消に⋯なるかなぁw
> 五百円で」 大盛りですらない…だと > 少し羨ましく」 主にボリュームに対して > お手伝いします」 最深層探索者のパワーを見せつけてしまう芽生さん > 多田野さんにおしりをたたかれ」 る真…
まだまだお披露目されてない映像とかいっぱいでしょうからねえ どこまでをまとめておくんだろなー
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