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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第三十四章:芽生ちゃん、頑張ってる!

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1495:安村式トレーニングと各スキルの情報

 しばらく阿南さんによる火魔法による火力投射は続く。中々長時間持ちますね。持久力は中々のものではないでしょうか。


 三分間ほど発射し続けた後、阿南さんが膝から崩れ落ちる。どうやら限界が来たらしいですねえ。さあここから楽しいあつさむ時間の始まりです。精々楽しんでもらうことにしましょう。


 一枚ドライフルーツを阿南さんの口に差し込み、阿南さんがかみ砕く。阿南さんがブルリと体を震わせ、そして暑そうな顔をした後すぐに涼しくなり、冷水を浴びせられたかのように震える。


「これ、毎回味わうの? 」


「はい、後三十回ほど我慢してくださいね」


「えー」


「えーじゃないです、強くなるために必要なことです。一日に三十回スキルを打ち切る作業を短時間で確実に獲得する方法としては優秀ですし、トレントの実のドライフルーツは自主製作の結構品質のいいものですから他からドライフルーツを持ち込んでもそこまでの性能は得られませんよ? 我慢すれば何とかなります。高野君も世良さんも体験済みですし、阿南さんが途中で心折れては示しがつきませんよ? 」


 言葉で少しずつ阿南さんを追い詰めていく。しばらくした後、決意したような顔で阿南さんが立ち上がった。やる気は充分にあるらしいので一安心ですね。一枚目で折れる可能性もあったのかとも思うところだが、ここで自分がくじけて他の人は耐えた、ということを考えるとくじけるわけにはいかないらしい。


「よし、次やりましょう。今日は威力のほうを上げていきたいのよね。ここからまだ上がるかしら? 」


 どうやら持久力よりも威力のほうが気になるらしい。うーん、威力かあ……


「威力のほうは充分高いと思いますよ。これ以上の威力を求めるなら多重化させるほうが手っ取り早いとは思います。お金はかかりますけど、確実に向上を見込めますよ」


「そうね……今いくらぐらいするのかしら? 」


 火魔法の相場か。洋一さんがいれば探索・オブ・ザ・イヤーを保管庫から出してその場で確認はできるんでしょうが、流石に雑誌を持ち歩いて……という気分にはなりませんし、そこまで予想はしてなかったので持ち込んではいません。一冊買って部署に置いておくのも悪くないかもしれませんね。


「ダンジョン庁に戻ればすぐ確認できるでしょうし、そのままオファーを出すこともできるんじゃないでしょうか」


「とりあえずせっかく来たのだし、五百円が惜しいわ。使えるだけ使ってみて、本当に威力が上がらないかどうかだけ確認してからでも遅くはないわよね? 」


「そうですね、限界が見えるまで打ちこんでみて、それでも上達が見込めなかったら限界ってことになると思います。それを見定めてからでも遅くはないと思いますねえ」


「せっかくなので持久力のほうも伸ばしておきたいから、稼働限界まで撃ち切って食べるのを半分、残りは最大火力を出そうとして撃ちきって食べるのを半分、で試そうと思うわ」


 ご自由にどうぞ。私はその間スライムの相手をしつつ、邪魔が入ったり他の探索者が巻き込まれないように監視していますよっと。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 三十枚のドライフルーツの消費が終わり、くたくたになった阿南さんを支えつつ、入口へ戻る。


「さすがに疲れるわね、三十枚は」


「阿南さん、時々強いのか弱いのかわからなくなるところがありますね。そんなに疲れましたか」


「昔、冷凍倉庫のアルバイトをしたことがあるんだけどそれを思い出したわ」


 そんなバイトをしていたようには見えないんだけど、それなりに頑張ってきたことだけは伝わりました。こんな美人を冷凍倉庫のアルバイトに使うよりも、もっとモデルとかそういう方面で稼いだ方がお金になったような気がしないでもないです。


「とりあえず、付き合ってくれてありがとう。スキルのほうは個人的に考えて色々こなしてみるとするわ。一応貯金もそれなりにあるしね」


「まあ、無理に貯蓄を崩さないことが大事ですよ。いくらBランクで公務員という固定収入があるとはいえ、スキルは高い買い物ですから」


 私ぐらい貯金があれば気軽に買ってみた! ってできるんですけど、Bランクのころを思い出すとそんなに稼いでなかった気がしますねえ。


「そうね……まあ、自分の持久力と火力の限界がわかっただけでも儲けものだわ。それに訓練した分だけ強くなったのは間違いないはずよね? 」


「そうですねえ。その内二人で潜れるところまで潜りましょうか。その時試してみればいいと思います」


「じゃあ楽しみにしてるわ。今日はありがとう」


 阿南さんはダンジョン内のパーティーに連絡をして、そのまま合流してまた訓練役を務めに戻るらしい。お弁当は持ち歩いていたってことですね。さすがに私はお弁当は持ってきてないので戻って食堂でご飯、ですね。


 ダンジョンを出て更衣室に装備を預けると、部署に戻る。すると、部署では引っ越し作業が始まっていました。巽さんもいます。パソコンやらモニタやらも一緒に運ばれてきています。


「やあ文月君。ようやく僕も探索課に引っ越しすることになったよ」


「これで部署内で仕事ができるってことになるわけですか。お疲れ様です」


「これで一つ課長補佐らしくなったし、何か相談事を受ける時にせよ身近に居られるようになったね」


 なんだかんだ始動してから三週間目でようやく課長補佐が合流、ってところですかね。これで普段寂しい探索課に少しだけ華やかさが……というより、一人でカタカタキーボードをたたいている時間が一人ではなく二人になった、というところですかねえ。


 さて、マニュアル作りに戻りましょう。そろそろスキルの扱いについて色々と作り始める必要があるでしょう。【火魔法】【水魔法】【風魔法】【土魔法】【魔法矢】の各属性魔法については身近に使ってる人がいたので言語化するのは結構簡単だ。


 それ以外に【生活魔法】【物理耐性】【魔法耐性】【索敵】【隠蔽】【毒耐性】についても問題はない。【爆破】【硬化】もありですね。特に【硬化】については鑑定してもらったところを真横で見ていたのでここまでは記述をすることは可能でしょう。


 ただ、【糸】や【木魔法】についてはまだ見たことも聞いたことがないのでマニュアルの作り様がないので空白として開けておくことにしましょう。後【採掘】もですね。


 それと【鑑定】についてはついさきほどサンプルが届いたので手が空いた時に意見を聞いて、どのような効果が発揮されるのか、というのをしっかり聞きこんでおくことが必要でしょうね。


 それ以外のレアスキルである【採掘】【保管庫】についても記述が必要なのでしょうが……【保管庫】についてはネットで調べた結果の内容だけを記入していくことにしましょう。でないと、何故詳細に内容を記したマニュアルが存在するか、という部分から大勢の人に【保管庫】の国内での存在がバレてしまうことになります。


 たしか【採掘】に関してはダンジョン庁職員の中にいるはずですから、機会があれば話を聞くか、ダンジョン庁のデータベースのどこかに情報が残ってるかもしれませんし、それを探して情報としてまとめることにしましょうかねえ。


 さて、各属性魔法から順番に肉付けをしていくことにしましょう。まず、スキルというのは頭の中に浮かんだイメージをいかに具現化させるかで威力も持久力も大きく変わります。せっかくスキルを覚えても、頭の中のイメージと自分が放てる威力に差異が大きすぎた場合うまく発動できない可能性があるでしょう。


 スキルは使い込めば使い込んだだけ威力や持久力の上昇が見込まれ、その際にはダンジョン内では自分周辺に漂っている魔素と体内に備蓄されている残留魔素によって発動持久力や発動威力が決まります。


 ほとんどの探索者はスキルオーブを手にした段階か、身体強化を学んだ段階で魔素を溜めこんでおく内臓のようなものが出来ている可能性がありますが、レントゲンやCTに写る……というわけではありませんのでここは不思議要素ですが、とにかくそういうものが出来ている、という解釈にしておきますか。


 体内の魔素が切れると眩暈が発生し、眩暈を無視してスキルの行使を続けると最終的に気絶します。地上のほうがその体感はより明確に出るでしょう。しかし、この眩暈状態まで枯渇させることで、体内魔素の上限量を増やすことができるのも確認されています。みんなも頻繁に眩暈を起こして自分を強化していこうね!


 さて、各スキルの説明に入りましょう。まずはやはり【水魔法】からですね……水魔法で生み出される水は飲むこともできるが味はない。一見純水にみえるが、明確に魔素を含んだ水であり、魔素を通した雷魔法による感電効果も期待することができるので両方使うと相互作用でより便利に使うことも可能。四十一層から四十四層に広がる海の水も、おそらくは同じ水であるとみられる。


 水魔法スキルの応用として、加湿したり水分を蒸発させたりすることは可能だが、熱を持たせたり逆に冷やして氷のように扱うことは現状の水魔法スキルではできないとされている(現時点)。ガンテツさんが使っていた物体を冷やす魔法、あれがスキルオーブとして登場すれば話は変わるかもしれませんが現時点ではそれらしきスキルは登場していないのでその情報はパスですね。


 後は、乾燥行為が出来るからと言って人に向けてやると気化熱で風邪を引く可能性が高くなるのでやらないようにすることは明記しておくべきでしょうか。実例があってその指摘を入れておくのは大事でしょう。


 後は思いついたら随時書き足していくことにしましょう。次は【火魔法】ですね。文字通り火が起こせる魔法で飛ばしたり丸めて投げつけたり、火炎の波のようにまき散らすこともできる、オーソドックスなスキルで、おそらく攻撃される側としては最初に受けるスキルではないでしょうか。


 ゴブリンキングを無視して十六層に挑む場合その限りではありませんが、ゴブリンキングのお供に出てくるゴブリンシャーマンからの火魔法攻撃がおそらく最初にモンスター側から受ける攻撃スキルであると現状では考えられます。きっちり燃やしてくるので、燃えやすい素材の装備や火傷には充分注意して挑むべきでしょう。


 火魔法は小さくすればタバコに火をつけることも出来ますし、その気になればIHを使うことなく直接フライパンを熱して目玉焼きを作ることも出来ますし、あまり多く鍋を振らなくても直火焼きでチャーハンをパラパラにすることもできるんじゃないでしょうか。


 洋一さんはあんまりチャーハンを作らないのでそっちには意識がいってないのかもしれませんが、上からの直火あてによるコメのパラパラ化に成功するならより美味しいチャーハンが出来上がる可能性がありますね。……っと、横道に逸れだしましたね。本道に戻らないと。


 火魔法についてはライターのように小さな火からファイアボールと区別される炎の弾を打ちこんでくる以外にも頭の中で想像できる限りは色々な形で応用が効くし、ダンジョンの中ではうっかりバーナーを忘れたりガスが切れても火魔法で直火焼きにすることができるので、【水魔法】ほどではないにしろ色々と使い所があるのではないでしょうか。


 次は【風魔法】。目に見えない風の刃を打ち出すこともできるし微風を吹かせることで多少涼しくなったり、先に挙げた二つの魔法ほどではないにしても攻撃手段としては充分な威力を持たせることは可能です。対人戦に使うわけではないですが、目に見えないということはモンスター側にとってもどこから攻撃が来ているかわからない、と油断させるにも充分な効果を発揮するのではないでしょうか。


 次は自分でも覚えている【土魔法】の項目ですが、正直自分は【水魔法】の補助として使っているのがメインの使い方になるので、単体で扱ったことがないんですよね。


 なので水魔法とのミックスにより、細かい土成分の粒子を水魔法に混ぜ込むことにより研磨や切断の手助けをしている……ぐらいにとどめておきましょう。もっと専門で使っている人が出て来るまでこの項目は下手にいじったり想像だけで書くのはあまりよろしくないと感じます。


 属性魔法の最後に【雷魔法】。洋一さんのメインスキルですね。これは横から散々みたから説明も簡単です。雷を指先というか全身から発することによって感電ないしモンスターを爆破することができる。また、先に述べたように水魔法との相乗効果で水の行き渡る範囲全てに感電させることも可能、と。


 また、自分を雷の膜で覆うことでバリアのように使用することも可能である、というところでしょうか。それ以上は多重化させていかないと難しい話になりそうなので簡潔にとどめておきましょう……と、そろそろお昼の時間ですね。食堂に行きますか。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
> えー」 無課金クレーマーの阿南 > 心折れて」 分からせられる阿南 > 確認してから」 墓穴を掘る阿南 > くたくたになった」 ロードローラーに轢かれたような阿南 > その内二人で」 結局…
ここのダンジョンの1~7層ならスマホで確認すれば値段はすぐに分かると思うけど割と忘れがちな要素ですよね。 【熱変動耐性】については記述しないのでしょうか? 最深部が公式に更新されないと入手階層につい…
温度変化は何のスキルなんですかねぇ⋯水と風の混合とか?
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