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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第三十四章:芽生ちゃん、頑張ってる!

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1490/1536

1490:マニュアル作り

ダンジョンで潮干狩りを

Renta!等いろいろなサイトで発売中です。是非とも続刊のためにもご購入のほうよろしくお願いします。


 自分の席に戻ると、マニュアル作りの続きを始める。最初の十層ぐらいまでの手順は現在進行形でやっていることもあるので、形にするのはそこまで時間のかかる手間ではないです。


 むしろ、これから形にしていくものとしては、スキルの扱いやレベルアップ法、修行方法等や、モンスターマニュアルについてでしょう。これもまとめている部署が過去に存在したなら引き継ぎだけで終わって楽だったのでしょうが、そう言うわけではありませんでした。


 実際に調べてみると情報として画像や動画……これは過去に自分たちがダンジョン庁に引き渡したものも含め、ブツがあるだけでそれらに関する情報の取りまとめや攻撃方法や有効的な戦い方などのデータは存在していませんでした。


 戦うのがダンジョン庁の職員ではなく探索者だったから、という理由もありそうですが、これからはダンジョン庁の人間も戦いに赴くのですから、それぞれのモンスターの特徴や弱点、戦い方の注意点などはそれぞれ明記して、いつでも誰でも見られるようにモンスターリストを更新しておくことは必要でしょう。


 参考書類がないのかな……と探していると、気が付けばもう夜の六時。自分のパーティー以外の他のパーティーが戻ってくる時間になっていました。


「文月さんは今日一日ずっとデスクワークだったの? 」


 阿南さんがそう聞いてきたので、首を縦に二回振って答えておく。


「マニュアルの見直しと、後私がここにいる期間が二週間長くなりそうだ、という話を真中長官としてましたよ。彼らがCランクになってゴブリンキングを倒せるようになるまでは面倒を見てやってくれ、ということらしいです。まあ、予想の範囲内ではありますが」


「ということは後三週間ぐらいはこっちにいるのね。その後は? 」


「多分ですけど、真中長官から正式に辞令が下りると思うんですよね。それに従って行動することになります。多分同時に阿南さんにも何かしらの肩書が付くことになると思いますよ」


 入って一カ月で役職付きになる、というのも一般職としては異例なものになるかもしれないが、ここは実力主義のダンジョン庁。いきなり課長補佐にされた巽さんの例もあるし、肩書についてはそれほど考えなくていいような気がする、というのが素直な感想です。


 どちらかと言えば、私だけ単独行動をとらせるためだけにわざと肩書をつけて地方へ飛ばす、といったような形になるのかもしれませんねえ。まあ何にせよ、何処か知らない地方に飛ばされるわけではないというのは確定事項なのでそこは気にせずにいられるところでしょうかねえ。


「さて、みんなも帰ってきましたし私も帰りますかねえ。今日明日で作り上げなきゃいけないわけじゃないですし、明日は荷物の引き取りに半日潰さなきゃいけないのでエレベーター待ちしてる間に練り込んでしまうことにしますか」


「じゃあみんなお疲れ様。明日も頼むわね」


「お疲れー」


 それぞれ自分の家に帰っていく。私もホテルに戻って夕食を取ってお風呂でゆっくりして、明日に疲れを残さないようにしましょう。明日も午前中はマニュアル作り、午後からは荷物の引き取りに七層へエレベーターでお出かけ、という予定になっています。今頃は仮眠しているころでしょうか。連絡がないということは大丈夫な証拠として考えておいていいのでしょうねえ。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 翌日、出社してきてまたパソコンの前。体が鈍りそうですが、明日か明後日はまた六十三層に潜って一稼ぎするのでその分でカロリー消費は出来ていると考えましょう。


 とりあえずゴブリンキングを倒すところまでのロードマップの見直しは、実際に彼らがCランクになってからでも遅くはないはずです。なのでその先を少し書いて、二十一層辺りまでの戦い方やモンスターの特徴を記述していきましょう。


 特記するべきところはスケルトンとスケルトンネクロマンサーの倒し方とその残り時間の短さでしょうね。いわゆるネクロダッシュです、最近もやりましたが、あれに追いつけなくてスケルトンを召喚された時の面倒くささを考えると嫌になりますね。ただ、ドロップとしてはそこそこ美味しいので確実に倒したいところです。


 そういえばスケルトンネクロマンサーの真珠は何に使われているんでしょうねえ。使い道のほうが気になってきました。後で調べてみますか。どういう会社に卸されているのかがわかれば使っている方向性も解るはずです。こういう時に内部情報を閲覧できるのは便利ですねえ。


 取引記録を参照させてもらい、取引した会社や商社を探し、そこの取引相手を更に探してみると、医薬品メーカーとの取引がある所までたどることが出来ました。


 なるほど、漢方薬系の会社に色々と流している訳ですか。どうやら漢方薬方面での取り扱いが多いようです。ということは、あの真珠は成分が一定しているので宝飾品よりもそのほうが効力が偏らずに安定した工業製品としての漢方薬に効果がある、ということなのでしょう。


 脱線はしましたがスケルトンネクロマンサーとスケルトンの対処方法は胸元の核を確実に狙うことと、可能ならば盾を弾き飛ばして懐をがら空きにさせることでしょうかねえ。そしてスケルトンネクロマンサーは召喚が終わるまでにダッシュで駆けよって倒すこと。これが出来れば十三層十五層は安全に行き来できるでしょう。


 後は十六層のスケルトンアーチャーですが、貴重な【魔法矢】のスキルオーブのドロップ相手ですし、倒し方もスケルトンと変わりがなく、打ち出してくる魔法の矢もそれほど強さはないので矢が撃たれたら避けるか剣先や槍先を当てて方向を逸らせばいい、という風に解釈できる文面にしておきましょう。


 ゴブリンキング戦は……特に注意なのがゴブリンシャーマンであることと、人数が出てくるのと、モンスター側はフレンドリーファイアにもかかわらず火魔法を打ってくるのでそっちに当たらないことを念頭に入れておかなければならないのが大事でしょう。


 この辺の文章は濁しておいて、実際に今泉君達に体験してもらった感想を追記しておくのが一番いいでしょうね。私の目線から語るゴブリンキングの気軽な倒し方は今では誰の参考にもならないでしょうし。


 後はモンスターの名前と特徴、倒し方、気を付ける部分、それからドロップについて次々に記述していきます。多少うろ覚えな所もありますが、二十一層以降はかなり気楽に書き込むことができるのがいいところですね。ここから先はドロップ率を考えなくていいのですから、倒したら倒しただけ収入になるボーナスゾーンのようなものです。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 三十五層までのモンスターの情報を取りまとめたところで早めの昼食を取りに食堂へ行きます。いつ連絡がかかってきても良いようにしておくのがベターですね。早めに到着して連絡が来ることもあるかもしれませんし、その間に入力する内容をスマホにメモっておいて……これで時間を潰す用意はできました。さあ今日のお昼は何ですかねえ。


 お昼ご飯はカニクリームコロッケ定食でした。追加でコロッケをもう一つとおにぎりを足すと、余分にお金を払ってきっちり食べます。これから暇な時間を潰す間にお腹が空くのは避けたいですからね。しっかりと食べて満腹で動けないぐらいがちょうどいいかもしれません。


 今ではこれも、ゴブリンキングを倒すまでの試練みたいなものでしょう。それさえ乗り越えれば後はかなり自由度の高い探索が出来るようになります。私が毎回エレベーター前で並んで暇つぶしにスマホを見ながら時間が来たら優先して載せてもらう、という活動をする必要もなくなってくるわけです。


 それにそこまでやってようやく一人前の探索者を育て上げた、と言えるのですし、そこまでは面倒見てやってくれという真中長官の命令もあります。これもお仕事と割り切って作業にかかるとしましょう。


 外はサクッと中はトロっとしっかり仕上がっているコロッケを二つ頂き、付け合わせのキャベツと香の物、それからご飯を食べ終わると、最後のおにぎりを頂く。今日の中身は明太子だった。口の中でプチプチと弾けるのが中々良いですねえ。


 食事が終わると部屋に戻り、マニュアル作りの続きを始めます。しばらくして着信があったので出ると、七層に帰ってきて仮眠も終わったのでよろしくお願いします、という内容の話だった。


 荷物はいつも通り私のテントに放り込んであるので、回収をよろしく頼みます、自分達は一足先に進んで出来るだけ足並みをそろえて一層で合流できるように調節する、ということになった。


 今泉君もだんだん私の扱い方を覚えてきたようですね。これはかなり高得点です。このままリーダーとして任せていけるでしょう。


 他のメンバーも問題なく活動できているようですし、安心して任せていけるのは進歩でしょう。むしろ三週間でこれだけ慣れてくれたことがスペックの高さというやつでしょうか。


 連絡があったので早速出かけます。ダンジョンにマグネットを移動させると、高輪ゲートウェイ官民総合利用ダンジョンの前に向かい、ダンジョン庁用の専用リヤカーを借りていきます。真っ白に塗装し直してもらったダンジョン庁専用のものを引くと、エレベーターの列に並びます。


 今日は大分少ないですね、三十分ほどあればエレベーターを使えそうな雰囲気です。朝一や夕方になると一時間かかることもしばしばですが、昼過ぎぐらいが割と空いてる時間帯のようで、丁度いい時間で暇つぶしをすることもなく、三十分並んでエレベーターに乗り、燃料を入れて七層ボタンをポチ。そのまま五分待って七層に到着すると、リヤカーを引いて自分のテントの前まで来ました。


 今日の戦果は……今日も上々ですね。この調子なら本当に二週間あればゴブリンキングに挑むのも難しくないかもしれません。楽しみですねえ。


 テントの中身を全部回収すると、いつも通り七層のエレベーター前で待機。顔を合わせる人もこっちの普段の仕事を見慣れたらしく「先行くよー」と一声かけてエレベーターに乗っていきます。その間にスマホに文章を書き写してのマニュアルの下書きを始めます。


 はたから見ればいつも通りスマホをいじりながらダンジョン情報を色々とみているということになっているらしいです。以前掲示板でそんな書き込みを目にしました。ちょっとずつではありますが知名度は上がっているようです。


 一応現段階では機密でも何でもないので、マニュアルの下書きをすること自体に問題はないと考えての下書きですが、一々スマホで何を調べているか、なんてことは周りも気にしないでしょう。


 さて……今泉君の連絡が来るまでにどれだけ下書きが出来るか、時間勝負というわけではありませんが、記憶との勝負にはなるかもしれません。スノーベアとスノーオウルの戦い方からドロップ品のドロップ率やドロップするポーション、それからマップの大まかな説明を入れていきます。


 それが終われば通称カニうま島の説明ですね。リザードマンとドウラク……カニが出る。カニの身がまた美味しいんだが、ドロップとしては重量があるため、他の探索者にはあまり好まれないドロップ品ではあるらしいです。たしかに、ドロップしても邪魔だからと言って食べ物をそのまま放置するのは日本人としては許せない所なんでしょう。


 洋一さんみたいに無限に収納できるならカニうまダッシュなんて言い方をして全力で走り回りつつドウラクの身を集めることは簡単なのでしょうが……やはり、ダンジョンマスター達にはマジックバッグの類を開発してもらって、どんなに重くても一定量までは荷物の持ち運びができるようにしてもらうのがダンジョンのためでもあるのかもしれません。


 四十五層から四十八層の花園マップについて記述を始める所で今泉君から通話。無事についたそうなのでエレベーターを使わせてもらい、また十分かけてエレベーターで上る。やはりこの時間は混むんですねえ。降りる順番待ちで五分余計に消耗した後、エレベーターを降りて今泉君達の姿を探……いた。


「今日も無事に探索できたようですね。何よりです」


「お疲れ様です。毎度すいません」


「それは言いっこなしですよ。さあ、昨日と今日の成果を査定してもらってきてください。後、リヤカーの返却もお願いしますね」


 そのまま全てを今泉君に委任した状態で、一足先に探索課の部屋に戻ると、スマホからパソコンにメールを送って文章をそのままコピーしてペー。これで数時間分の仕事がまとめて片付いた。さて、出来てる部分をみんなに確認してもらって、そこでOKが出たならここまでは出来上がった、ということにしますか。


作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
真珠は製薬ってより化粧品に多く使われてるイメージだけど……ダンジョン産は何か特別な効果ありそう。
> モンスターリスト」 肩に黄色のネズミを乗せる芽生さん > ここは実力主義のダンジョン庁」 肩で風を切る芽生さん > 面倒くささ」 (お金にならないので) > ドロップとしては」 なん…だと …
あー、確かに製薬とか研究するって点だとダンジョンから出る物質が同一の物が出るってのは凄いやりやすいんだなあ
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