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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第三十一章:年度末に向けて

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1406/1408

1406:ヘルハウンド君について

 七十五層についた。ここからはヘルハウンドも加わる上に、ボス部屋があってもモンスター密度がそれほど下がらない、という過密なエリアになっている。ボスが純粋な力勝負になっている分コストがかかってないとかそんな感じだろうか。


 どうやらボス部屋にたどり着くまでも含めて探索、ということらしい。七十六層までの階段の間の距離はそれほど変わらないところだが、モンスター密度的には少し七十四層よりも多めに戦わなければならない。


 何より、マップの新モンスターのヘルハウンドが集団行動がきちんとできていて、一匹だけぽつんと出現するということがないのが更に戦闘時のモンスター密度を上げてくれている。これで二匹ぐらいしか出てこない、とかならばまだここに残り続けて探索するという先ほどの選択肢も増えてくれるんだが、三匹以上で出てくる場合がほとんどだ。


 おまけに相当の魔法耐性を有しているか、雷魔法に耐性が高い。雷撃衝で吹き飛ばせはするものの、他の手段だともう一手何か必要になるぐらいの耐久度を誇ってくれている。やはり深層側で発生するだけのモンスター、一手間で片付けられる相手、とするには難しいところなんだろう。


 考えていると早速ヘルハウンド四匹が出てきた。芽生さんと交代に近い順番からスキルを当てて一発で倒していく。芽生さんの水魔法はヘルハウンドに効果的であり、一発撃ちこむだけでも簡単にヘルハウンドの背中の炎を消しながらスッパリと切断していっている。このマップは芽生さんに相性がいいモンスターが多い。


 マグマゴーレムは水魔法でバラバラにすることはできるし、フレイムサラマンダーはそもそもよく切れる。ヘルハウンドも水を嫌がるそぶりをすることから、水魔法が苦手かもしくは狂犬病ウィルスに感染しているかどちらかだろう。後者だと困るな、ここにはワクチンがない。


 せめて威力を上げるか範囲攻撃できないものかと雷撃衝の威力をイメージしたままヘルハウンドが向かってくる方向に向かって雷魔法を打ってみるが、成功率は低めだ。チェインライトニングの強化版みたいなものが必要になってくるだろう。


 今の状態で最大出力で撃ちこんでも、一番最初に突っ込んでくる一匹を倒すのがせいぜいで、残りはしびれが残るかスタンの状態にするのがせいぜい。三匹目以降はほぼダメージなしで突っ込んでくる。


 これは何か新しさが必要だな。また七重化とまではいかなくても、より強い自分を意識した雷魔法の出力制御が必要になるだろう。どこかで練習になるような良いモンスターが居ればいいんだが、もうこの階層のモンスターでもないと相手にならないぐらいまで出力強化されてしまっているので、ヘルハウンドを相手に模索していくしかないな。


 そのまま七十六層へまっすぐ向かい、ヘルハウンドには時間を取られるものの、それ以外のモンスターは最短時間最速攻略を目指したおかげで、いつもより合計二十分ほど早く七十六層へ到着することが出来た。


「時間は? 」

「充分。いつもより十分長く探し物が出来るし帰りも含めて考えたら二十分は楽しめる。今日こそ見つけ出すぞ」


 七十六層の階段を下りたところの掃除をすると、早速地図を広げてまだ巡っていない地域を指さす。


「この先西へ行った後の南から先は一切回ってないので可能性が高いのはこっち。というか残りはもうここだけだ。ここになかったら相当端っこにあるか、見落としを考え直してまた一から探し回るという具合になる。流石に二人で確認しながら移動してるから見落とす可能性は低いとは思うんだが……小部屋の中に階段とかもちゃんと探してたよな? 」

「そのはずですけどねえ。まあ、巡って見つからなかったときにまずは考えましょう。解ってないところがある以上、そっちにある可能性のほうが高いわけですからそっちに力を入れてそしてきっちりお金も回収していきましょう」


 そうだな、あるところにないはずの階段があることを恐れるより、ないところにあるはずのものを見つけるほうが階段は楽に見つかるんだ。今回も見落としはなく無事に地図が作れている、ということを胸を張って主張できるように頑張っていこう。


 七十六層の未踏破部分を念入りに調査する。流石に入ってすぐに階段……という可能性はないが、道の抜けや戦闘にかまけて小部屋を飛ばしたり、小部屋のモンスターだけを倒して階段があるかどうかを見落としたりしないよう念入りに隅々まで確認していく。その分芽生さんが少しだけ前を歩きながら進むが、戦闘になれば俺も鉛筆と手描きの地図を保管庫にサッとしまい込んで戦闘状態に戻る。


 これを繰り返すこと十五分。小部屋が多めのこの南西方向は道は入り組んでないからいいものの、細かい道が多い。一つ一つ巡っては階段の可能性を潰していく。


「そろそろ一服しますか。体の調子は問題ないものの、もしかしたら気が付かないうちに水分不足になっていたりするかもしれません」


 芽生さんがそういうので、十分ほど休憩をとるために小部屋に入る。小部屋の中には窮屈そうにしているマグマゴーレムが二体居たのでさっさと楽にしてあげることにした。


 芽生さんに経口補水液を渡してこちらも同じものを飲むと、壁に階段が設置されているのを確認できた。


「芽生さんナイスタイミングだ。今一服って言わなかったら見落としていたかもしれない」

「……あ、ほんとだ。これで第一目標は達成ですね」

「念のために階段を下りてから休憩するか。ミルコにお菓子も渡してないし、済ませてしまおう」


 階段を下りて灼熱の洞窟マップを後にする。少しだけひんやりする空気が体にまとわりつき、その後すぐに熱変動耐性が体の表面をヴェールのようなもので覆いこんでしまい、ダンジョンコアルームのひんやりさをどこかへやってしまう。


 階段を下りると、ダンジョンコアルームは確かにここにあった。いつも通りもう見慣れたダンジョンコアが浮かんでいる台座とそれ以外には何もない部屋。ここが小西ダンジョンの現状終着点。


「久しぶりのダンジョンコアルームですねえ。前来た時は涼しさとかほんのりとした温かさでほっとしましたが、【熱変動耐性】のおかげでその感覚がなくなってしまったのは、もしかしたら風情と言うものを無くしてしまったのかもしれませんねえ」

「この風景に風情も何もないとは思うが……そういえばここ電波通じるのかな……通じるな。よし、芽生さん寄って」


 芽生さんとダンジョンコアルームを背景にパシャリ。そのまま坂野ギルマスに送り「後でお話があるんで帰り次第そちらに行きます」と追加文面を送っておく。


 休憩中にギルマスから返答があり「今日中に来てくれるならそれでいいよ」とのこと。今日のところは地図を埋めきらずにそのまま帰って早めに仕事を済ませてしまうか。


「ギルマスの予約取れたから今日はもう帰ろうか……っと、その前に」


 机を出してコーラとポテチ、ミントタブレットを供えてパンパン。シュッと消えるおやつ。これで到着したことは伝わっただろう。ギルマスに送ったものと同じ画像を真中長官にも念のため送信しておく。「七十六層最深層、ダンジョンコアルームまで到着しました」と明記しておく。返事はまあ忙しいだろうから期待しないしスマホを壊したくないので保管庫に入れておくことにしよう。


「さて、戻るか。このペースならいつもの十九時戻りで帰れるはずだ。ギルマスから若返りのポーション納品した分のレシートをせしめないといけないし、出来るならまとめて全部出荷してしまいたい。一枚のレシートの金額としては過去最高を更新したいところだな」

「ポーションざっと六十本でしたっけ、それだけで百億ですし、後から潜ってきたパーティーが居たとしてもそれ以上にまとめて持ち帰って査定、なんていう面倒くさいことはしないでしょうからこの記録はしばらく抜かれることはなさそうですね」


 しっかり休んだところで階段を上り、マグマゴーレムがしっかり湧きなおしていることを確認したので、また楽にしてさしあげる。今度はもっと広いところで湧くようにしたほうが良いぞー。


 帰り道のフレイムサラマンダーで、またスキルオーブがポロッと落ちた。最近多いな、スキルオーブ。それだけ多くの数と戦っているんだろうけど、それにしてもよく落ちる。月面マップでも落ちたし、ここでも四つ目。月面マップに入る前はどうだったかな……稀によくドロップするって奴かな。


 スキルオーブを拾い上げて確認する。


「【熱変動耐性】を習得しますか? Y/N 残り二千八百七十九」


「また熱変動耐性らしい。これも結衣さん達か、高橋さん達行きだな。保管庫に放り込んでしばらく熟成させておこう。今すぐ渡してあらかじめ予防させておくのと、一回体験してもらってこれがあれば楽になれるよ、と渡すのではありがたみと効果が変わってくるからな」

「その分収入には……これいくらで出すつもりなんですか? 場合によっては【索敵】や【物理耐性】みたいに必須スキルになると思うんですが」

「うーん……ありがたみもあるし普段の生活に使えるからといってそれほど高い値段をつけるつもりはないんだよな。そうだ、ギルマスに会うことだしついでに相談しておくか。ギルドでもそういう新しいスキルがある、と実物を見せて確認させておくことは大事だろう。それが出来るのも【保管庫】のおかげということで」


 そのまま足早に七十五層への階段を上がり、急いで帰る。達成するべきことは達成したのだからダラダラとギリギリの時間まで粘るよりも、目標を達成したらすぐに帰る。一流探索者とはそういうものだということにしておけば少しだけ自分がかっこよく見えるな。


 相変わらずヘルハウンドにはてこずらされるものの、大きな問題も新しいドロップもなく、ポーションが落ちたこと以外は何事もなく七十四層へたどり着く。七十四層では何と二本もポーションのドロップをくれた。今日はいいことづくめだな。


 毎回こうだと探索が捗って懐も潤って何も言うことはないんだが……そうはいかないだろうな。今日はラッキーデーだったということにしておこう。こんなに出ないのが普通、ということにしておこう。


 続く七十三層でも一本のポーションを獲得。もう今日が最高ってことで良いんじゃないかな。だんだん語彙がなくなってきたが、収入が増えることに文句をつける人はそうそういないはずだ。


 芽生さんもポーションが出るたびに一億……とつぶやいているし、今日の収入は相当多いものになるだろう。もうマンションごと全部買えそうな雰囲気だ。いや、さすがにそこまではいかないか。


 これまでこのマップで出たスキルオーブは四つ、それぞれ七十四層と七十五層で一つずつ、七十六層で二つ。モンスターの種類や倒してきた数を考えると、七十三層でもう一つぐらい出てもいいペースだが、流石にそれは望み過ぎだろうと被りを振って考え直す。


 今から余った時間を使ってぐるっと回ればもしかするとぽろぽろと出る可能性は確かにあるが、それは他のパーティーか、後日の自分たちに回してやろうと思う。スキルオーブの先着サービスはあと六回は素直に出てくれる可能性がまだ眠っている。まだまだ皆にもチャンスはあるんだということを残して去るのもまた一流探索者の証なのかもしれん。ここは望まずに行こう。


 七十二層に戻ってすぐのグリフォンを倒して、またポーションがごろり。今日のドロップ率はどうなっているんだか。


「今日はドロップ率のいい日ですね。もしかしたら一晩潜っていたらもう一つぐらいスキルオーブが出ていたかもしれませんね」

「まあ、キリの良いところで引き上げようとしていたからこのドロップ率になってくれているのかもしれん。ここは欲にまみれずに素直に帰ることにしよう。ギルマスも待たせてることだしな」

「そういえばそうでした。未来の上司かもしれませんし、ちゃんとしないといけませんねえ」


 七十二層、七十一層をそのまま横断。流石にもう一本の若返りのポーションの入手とはいかなかったが、キュアポーションのランク5は二本出た。ここはまあ織り込み済み。二本で一億だが、今日の収入が合計いくらになるかは俺もちょっと把握しきれていない。査定がより一層楽しみになってきたな。


 七十層に戻って車を出すと、また芽生さんが運転したいとせがむので好きに運転させてみる。俺は助手席に座ってスマホに返事があるかどうかを確認しながら芽生さんの運転っぷりを調査。今のところ……というか障害物もないところで問題が起こるような運転方法では困るからな。ただ、教習所の車と運転感覚が違うはずなのでそこは戸惑うかもしれないな。


 ギルマスから中途半端な時間に「何時ごろになりそう? 」という返事が来ていたので「後四十分以内には到着する予定です」と返しておく。


 真中長官からは「ご苦労様、引き続きミルコ君には続きを作ってもらえるよう頼んでおいてね。あと、世界最深層おめでとう」と。どうやら世界最深層なのは確定らしい。世界の最先端をこんな田舎ダンジョンが誇っているのは良いのか悪いのか悩むところだが、とりあえず一番乗りであることは違いないらしい。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
真の意味で最深層ダンジョンになったかw 何時か公表される日が来るんでしょうか?
熱変動耐性、ポロポロ落ちてくれますが譲る場合はいくら位にするのがいいんだろなー 現状で必須レベルなマップは少ないですがいつでもどこでも便利な代物だしなあ
さぁていくらになるかなw
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