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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第三十一章:年度末に向けて

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1400:七十二層巡り旅 1

 今日も目覚め、気持ちいい目覚め。昨日たくさん狩った分だけありがとうを伝えておく。さて、起きるか。今日は昨日と違っていつも通りの出勤だ。七十二層で思う存分モンスターを狩って普段の通りの収入を得る日としよう。


 いつもの朝食を食べて、昼食は……弁当を早く消化することを目的にしていこう。昨日の夕飯のギリギリ賞味期限みたいなことにならないよう、流石にそろそろ全部食べていかないと怪しくなってくる。適当に足の早そうな食材が使われている弁当から一つずつ食べていこう。


 ちゃんとレンジでチンして温めてから保管庫に入れなおす。三色弁当をしっかり温めて、ちんちこちんのまま保管庫に入れてこれを弁当とする。お腹が空いたときのことを考えて出かける時にコンビニでおにぎりでも追加で買っておくか。


 今日もニュースは……平和だな。新しいダンジョンの話はまだ来てないらしい。そろそろ来てもいい頃合いだとは思うんだけどな。まあ、ダンジョン庁には情報が入って現地で騒ぎだすのにはタイムラグがあるのだろう。しばらくは出かける前にニュースを確認して情報を仕入れながら行くことにしよう。


 柄、ヨシ!

 圧切、ヨシ!

 ヘルメット、ヨシ!

 スーツ、ヨシ!

 安全靴、ヨシ!

 手袋、ヨシ!

 籠手、ヨシ!

 飯の準備、ヨシ! でも追加はする!

 嗜好品、ヨシ! 渡すかどうかは……わからん!

 車、ヨシ!

 保管庫の中身……ヨシ!

 その他いろいろ、ヨシ!


 指さし確認は大事である。今日は軽めに流す感じで行こう。無理に金を稼ぐために動く必要はないし、明日は芽生さんと潜る日だから明日に疲れを残したくない。ストレスが溜まらない範囲で探索して、早めに上がる感じでいいだろう。さ、出かけるとするか。


 出かけるついでにコンビニでおにぎりを二つほど見繕っておく。満足感が足りなかった時用だ。銀シャリとツナマヨを選択し、会計。これで今度こそ準備ヨシ、だな。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 電車の中からバスに乗り換えてずっと考えていたが、昼食を作るよりも弁当を買ってきて弁当を温めて保管庫に入れてしまった方が時短になるしその分探索に時間を割ける。自分で作る趣味の料理も悪くないし芽生さんには楽しみにされているが、一人の時は弁当で良いんじゃないだろうかと思い始める。


 そのほうが家で料理する時間を短くすることが出来て、出勤時間も早く出来るしダンジョンにも早くたどり着けるしその分だけ多く収入を得ることができる。これは考えておくべき事項だな。


 それだけで最高で毎回一億ほど金額が動く可能性があると考えれば、またデパ地下に行って弁当を仕入れる……デパ地下でなくても、そのへんのスーパーでもいい。いくつか弁当をまとめて購入して数日分として確保しておく事が出来るだろう。


 スーパーなら頻繁にいくのでそのたびにいくつか弁当を買い込んで徐々に消費しつつ探索をする、という方向性でも良いだろう。考えておこう。


 ダンジョンについて入ダン手続き。いつも通りご安全にをお互いに確認してリヤカーを引き、七層へ。茂君は今日ももっさもさ。帰りももっさもさであることを願いつつ刈り取って戻り、七十層へ倍速で急ぐ。


 この倍速エレベーターも設置された当初は困惑されていたが、B+ランクによる倍速で料金多めに払った方が探索に費やす時間を考えれば経済的だという意見により、使う人もそこそこ居るらしい。


 たとえば四十二層まで移動するにしても、三十分かかっていた時間が十五分になり、その十五分で料金である所の三万円を確実に回収できるのならこれは黒字ということになり、エレベーターの中で暇つぶしに苦慮することも少なくなっていいという意見もあった。他のダンジョンでは設置されてないので羨ましいとの意見もあった。


 その代わり、俺個人の報酬としてのダンジョンマスターへの請求権を一つつぶした形なので自分自身にとってお得かどうかは別としておいて、みんなに還元するという意味ではうまくできた話にはなっただろう。それが味わえただけでも俺としては良かったんじゃないかと納得できている。


 一冊のクロスワードを解く時間が延びればその分新しいクロスワードを購入するまでの時間が長くなる。百均に行くタイミングが減ることにはなるが、それはそれで人生の一手間が減って楽が出来るということになるだろう。


 七十層にたどり着いて、車で七十一層側まで移動して一息。まずは先にミルコにお供え物を渡しておこう。机にコーラとお菓子を出してパンパン。シュッと消え去るのを確認すると机を片付けて探索の準備。


 そういえば、二十一層の祭壇のほうはちゃんと活躍してくれているんだろうか。ミルコがどれだけお布施を吸い上げてコーラにお菓子生活を続けているのかは解らないが、とりあえずあそこにお供え物をしておけばダンジョンマスターがお菓子を回収してその分何らかの便宜を図ってくれるかもしれない、という噂はまことしやかに広がっているらしい。


 単純にたまたま起きたラッキーな出来事をミルコのおかげとして報告している可能性は非常に高いが、それでも御利益があるのかないのかで言えばあるかもしれない、と伝わればそれだけでも設置した価値はあろうというもの。


 探索者とダンジョンマスターの薄いつながりではあるが、目の前でお菓子が消えて確実にダンジョンマスターが見守ってくれている、という実感が湧くならばやはり設置した意味はあったのかな。


 さて、探索を開始するか。今日は一日七十二層をゆっくり回る予定だ。今日は稼ぐ日だが、稼ぎに執着することなく、明日へのペース配分を忘れることなくほどほどのところで切り上げていこうと思う。


 早速七十一層に入り、いつもの雷撃のアッパーカットをサメに喰らわせると戦闘開始だ。そのまま真っ直ぐ七十二層まで歩くルートに入る。やはり一人では寂しいものがあるが、これも稼ぎのためだと自分を納得させて戦闘に集中する。


 そういえばしばらく七十一層や七十二層でスキルオーブのドロップを見てないな。そろそろ出てもおかしくはないころだとは思うが、最近【熱変動耐性】を三個ほどほぼ連続で手に入れていることもあり、階層はともかくドロップ回数としてはなかなかの回数を誇ってはいる。


 そろそろ新しいの出ろ、とは思わないが、グリフォンあたりがどんなドロップをくれるのかはちょっと興味がある。空を飛ぶとは言わなくても、空中を歩けるようになるスキルあたりが出ても不思議ではない。


 それはそれで地上で使った場合にマジックショーで一稼ぎできるかもしれないな。しかし、今更空中に移動できるようになったとしてもそれが果たして役に立つかどうかはわからない。やっぱり既存の普通のスキルオーブが出るほうがありがたみはあるかな。


 考え事の間に七十一層を歩き抜け、本番の七十二層。モンスター密度が上がり、グリフォンも二匹連れで訪れる現状で三番目ぐらいに危険なゾーンだ。一番危険なのは集団でヘルハウンドが現れる七十六層と七十五層。


 あっちは手数で対応しきれないので一人で潜るには難易度が高いと言える。その点七十二層はモンスター一匹当たりの危険度が上とはいえ、二匹までしか出てこないことを考えると気は楽だ。


 まずは階段までゆっくり行くか。そこでいつも通り昼食にして……そうだな、安全面を考えれば階段を下りて七十三層で昼食をとるほうが良いだろう。それから午後になってゆったり七十二層を再び回り続ける。そんなスケジュールで良いんじゃないだろうか。


 七十二層に下りてすぐにでてくるサメとグリフォンを順番に倒すと、早速七十二層を七十三層方面に向けて歩き始める。今回は急ぎで行く必要はないのでクレーターの間の道に沿って素直に歩き始める。こっちのほうがゆっくり目に移動できるので楽さは上。その分収入は減ってしまうがまあ、ここに来てる時点で充分すぎる収入を得ることは可能だ。


 一日仮に三億ずつ稼ぐとしても、毎日通えば千億。既に一カ月過ぎているのでその目標額は達成できそうにないが、若返りのポーションの値段によっては達成することも難しくはないかも? とは考えている。まあ、今年の目標額として掲げておくにはキリのいい数字ではある。また銀行口座の桁が一つ増えてしまうことになるな。


 あんまり稼ぎすぎても、予定納税とかいう制度のおかげで中間で納付しなければならない税金もあることだし、稼ぎすぎないことも重要か。まあ、気楽に行こう気楽に。まだ焦る時間じゃないし焦るような買い物をする予定もない。マンションだって十億二十億するような物件でもないはずだ。一日の稼ぎで買える程度の値段だと考えておこう。


 グリフォン二匹が飛来するが、近づかれる前に雷撃衝で叩き落す。肉と爪をそれぞれが落としてくれた。これも今日からはその日にドロップした分はその日の分として査定申告できるので、今までよりちょっとだけ多く収入を得ることができる。ちりも積もれば……という奴だ。


 今日はしないが、そろそろこの七十二層でもダッシュ狩りが出来るような気がする。こんな深くて収入が多い階層でダッシュ狩りをしたら一体どれだけ強く、そしてどれだけの収入が得られるのか。気になるのでその内やってみよう。だが今日じゃないな。明日芽生さんと潜って一日休んで、その次ぐらいを目標にしておくか。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 七十三層側の階段に着き、そこで待ち構えているグリフォン二匹を消し飛ばして階段を下りる。下りた先には二匹のフレイムサラマンダー。きっちり雷撃で倒して索敵で周囲確認。近寄る存在がいないことを確認すると、索敵を気にしたまま階段に腰を下ろしてお弁当タイムと行こう。


 今日のお弁当は三色丼風の弁当だ。念のためにコンビニでおにぎりも買ってきたが、やはりここで普段食べている物と比べると少しばかり量が少ない。おにぎりを買ってきて正解だったかもしれない。


 そぼろ風の鶏肉と炒り卵、そこに更にうなぎが乗っているという贅沢な三色だ。どっちかというと二色だけど、三種類のおかずが乗っているので三色、ということらしい。箸休めもちゃんと和風にしっかり赤く染められた漬物が入っている。うなぎは肉厚で噛み応えも抜群。確か三千円ぐらいしたと記憶しているが、やはり国産うなぎということでお高めの値段設定なんだろうか。


 うなぎだけを先に食べきってしまわないように、ちゃんとそこまで覗いて炒り卵部分も味わう。うなぎのたれのおかげで少々卵の味が分かり辛いが、出汁入りの卵を炒り卵にしたようで、味付けもちゃんとされている。細かいところまで気合が込められている気がするな。箸休めもきっちり味わっていく。どうやら生姜と大根の漬物らしい。


 うまい、うまい、と食事に集中していると目の前で索敵網にフレイムサラマンダーが湧いた。流石に放置しておくわけにもいかないので雷撃で瞬時に倒しておく。階段にお弁当を一時置き、魔結晶と革の回収に入る。この革もまだ値段付いてないんだよな。これも結構な数がしまい込まれているから早めに結果を出してもらえるとありがたいところ。


 さて、食事に戻ろう。鶏そぼろはしっかり肉の味を感じられ、一緒に混ぜ込まれたゴマの風味が鼻を通り抜けていい感じにアクセントになっている。しかし、うなぎのほうが主張が強いのでこれは実質うなぎ弁当と言ってしまってもいい気がする。そう言えばこれを買ったのはうなぎ専門店だったような覚えがある。


 弁当を買いに走った時は店を気にせずにとにかくある弁当をかたっぱしから買ってきたからな。次回は店もちゃんと覚えて俺の舌が覚えている美味しい弁当を買うにとどめよう。そのほうが無駄がなくて楽しみも増える。


 いっその事保管庫がさらに成長して、時間停止まで進んでくれるか、更に時間の遅滞時間が増えればもっと色々と詰め込むものも増えて楽しいことになるとは思うんだが、最近成長してねえな。また一つ分ずつパチンコ玉を出しては入れながら寝る、という作業で少しずつ保管庫の使い方を鍛えていくようにするかな。


 弁当を食べきり、まだ胃袋にかなり余裕があるのでおにぎりを二個とも食す。おにぎりをただ握っただけの銀シャリと、ここ三十年ぐらいで急激に勢力を伸ばし始めたツナマヨ。どちらも美味しくてヨシ。ただ、海苔が薄くなったし心なしかおにぎりも小さくなってきている気がする。


 そう言えば値段も徐々にだが上がりつつあるな。これが良いインフレならいいんだが、悪いインフレだと世の中は苦労するので経済を回していくには……やはり金を使っていくのが一番か。もっと金の使い方についてよく学ぶ必要がありそうだな。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
普段の安村さんですとお金使うタイミングがこういうお食事関係しかないですからねー 無駄に使えとは言わんけども大きい額を動かすのに慣れないと貯め込む一方ですわなあ
もうケチる必要も無いし雑魚戦でもパチンコレールガンで倒せるか検証して行けそうなら両方のスキルを鍛えられるような気もするなぁ なんならパチンコじゃなくてそこそこの大きさの鉄球を大量に仕入れて経費に出来…
あれ? スモークサーモン弁当はどこ行った(゜Д゜≡゜Д゜)?
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