1392:ボス戦 レッサーファイヤードラゴン 2
ダンジョンで潮干狩りを
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ドラゴンが悲鳴をあげる。しかし、逆鱗を攻撃された痛みに加えて顔と胴体を同時に攻撃されてどうしようもない状態になってしまっているようだ。ゴロゴロと転がるでもなく、あれだろうか、股間を強打して身動きが取れなくて硬直しているような体勢にあたるんだろうか。
こうなればもはや転がっているトカゲ。散々好き放題やらせてもらおう。翼を完全に根元から切断すると、翼の根元の切れ込みから圧切で切り開いて柄に持ち替え、雷切を差し込んで更に内部に雷撃を加える。
芽生さんはどうやら窒息させようとしているようで、大量の水を生み出してはドラゴンの喉奥に飲み込ませようとしている様子。ドラゴンはのどに刺さった骨ならぬのどに刺さったゴブリンソードが邪魔で飲み込むのを止められないらしく、常にドラゴンの中から蒸気が発生している。
エフッエフッと飲み込むのをこらえようとして、それでも飲み切れない水を流し続ける芽生さんのおかげで窒息しそうになっているドラゴン。うわーかわいそうとか思いながら俺もいろんなところを切っては切り口から雷切を押し込み全力で雷撃を流し続ける。
一分から二分の間水攻めと電撃攻めをひたすら喰らい続けたドラゴンの体温が徐々に下がってきたのか、鱗が黒ずみ始めた。このままもう一押しってところかな。
「洋一さん、ドライフルーツください」
「あいよ 」
芽生さんのほうに近づき芽生さんにドライフルーツを四枚手渡す。一気に口に入れてかみ砕いた芽生さんはそのまま水流撃を継続実行。水流撃の水の量が凄いことになっていて、ドラゴンの腹が膨らみ始める。
よし、一気に決めるか。芽生さんの水流に乗せて雷撃をドラゴンの体内に直接流し込む。ドラゴンは体内から雷撃によるダメージと水流による窒息でも間もなく倒れんとしているところらしい。もはや身動きを取る余裕もないらしく、ピクピクと体が動いているだけになった。
「もうちょっとかな」
「もうしばらく続けてみましょう」
そのまま芽生さんが水の勢いを落とすことなくドラゴンの体内に流し続ける。俺は水流に乗せて雷撃をドラゴンの体内に全力でかけ続ける。雷撃衝の垂れ流しだ。そのまま一分、二分、三分。ある程度まで進んだところで水分が逆流してきた。そして口の中から徐々に漏れ出す黒い粒子。
「どうやらお腹いっぱいみたいですねえ」
「後はどうすっかなあ」
とりあえず開きっぱなしの口にリニア射出でトライデントを三本撃ちこむと、そこに向かって雷撃。吸い込まれるように雷撃が通ると、大きくビクンビクンとドラゴンが震え、そして……動きを完全に止めた。
「これ、心臓を破壊しないと駄目な奴かもしれないですねえ。心臓ってどこにあるんでしょう」
「流石に体内に入って心臓を探す勇気はないからな。それらしいところを探して外から切り刻んでみよう」
もう動かないドラゴンの周囲を回り、心臓のありそうなところを腹側から圧切でグサグサと刺しては、黒い粒子と水が漏れだすのを確認する。どうやら相当胃が拡張しているらしい。
「胃袋がこの辺にあるということは……このあたりかな? 」
ザクっザクっと腹の脇の所を刺していくと、グッと力強い反応があった。おぉ、これが心臓の筋肉かな?
「お、当たったかも」
切り口を見つけると、圧切から柄に持ち替えて雷切を発動させてそのまま傷口へ差し込み、最大限の電流を放つ。電気ショックで復活したりしないか心配だったが、どうやらその心配はなかったらしい。
ドラゴンの全身が黒い粒子に一気に変わり、ドラゴンの中に溜めこまれていた水が一気に流れ出てきて体を濡らす。後で乾燥させよう。
身体強化もレベルアップを果たした。どうやら二回分ぐらい一気に上がったらしく、いつもよりさらに体感が変わる。芽生さんのほうを眺めてみたが、あちらは三回分ぐらい上がっているらしい。俺よりさらに心ぴょんぴょんしている。
ドラゴンの消えた後を見ると、ドロップ品がちゃんと残されていた。魔結晶とポーション二本と……牙だ。そういえばあいつ、噛みつき攻撃はしてこなかったな。噛みつくだけの価値がないと判断したのか、それとも噛みつく暇を与えなかったのか。どちらにしろ立派なもんだ。
保管庫に入れるとそれぞれ、レッサーファイヤードラゴンの魔結晶、レッサーファイヤードラゴンの牙、そして若返りのポーション? と判定された。ポーション自体はいつもの物と変わらないらしい。二本くれたのは二人分と解釈していいのかな。
「何とかなりましたね」
「楽に勝てた……のかな。確かにダメージは受けたが」
「そういえばブレス喰らってましたよね。大丈夫なんですか」
「【熱変動耐性】のおかげかダメージを受けたかどうかすらわからん。ちょっと脱いでみるか」
ダメージを受けたらしい上半身をメインにして半裸になって確認するが、ちょっと肌の色が赤くなっている。ここが火傷の後らしい。痛みがほとんどないのは【物理耐性】のおかげなのかな。
「うん、しっかりダメージ受けてるな。ヒールポーションを飲んでおこう」
「ランク3ぐらいで良いと思います。にしても、それだけの火傷を受けておいて平気そうなのが逆に不安ですね」
ヒールポーションの蓋を開けて少し飲み、バニラバーを胃に流し込む。ポーションを飲んだ後のカロリー調整は万全だ。ついでに瓶に残った分を薄く肌に塗っておこう。内部と外部と両方から回復させることでちょっとでも早く回復していくのを期待して、だ。
しばらくすると、肌の色が元に戻っていく。どうやらランク3で無事に回復する程度の傷だったらしい。
「しかし、ランク3で回復する程の傷を負うのは久しぶりだな。エルダートレント以来か。さて、服を着直して……と。さて、紫の魔結晶が出たってことは、その内この色の魔結晶が搬出されるようになるってことだろうな」
そういえばヒールポーションのランク4以上を飲む機会は今のところないな。予備で取ってあるとはいえ、いつかは飲まなきゃいけないシーンも出てくるんだろうな。その前に何とかしたいところだ。
「とりあえずドロップ品ですが、今のところポーションも含めてどれも査定できないのが辛いところですが、ボスは無事に退治できましたね。これでボス撃破報酬も手に入る……はずだよね? ミルコ君」
ミルコは見ているはず、という予測をしながら虚空に向かって問いかける。
「お疲れ様、二人とも。ちょっと予想外の展開ではあったけど無事で何よりだよ」
ミルコが転移してきた。ということはここから団らんタイムだな。
「また初挑戦で初撃破とはね。せっかく作ったのにすぐに達成されると立つ瀬がないね」
「まあ、その点は普段から色々と準備してるのと、今回も保管庫のおかげでかなり楽をさせてもらったところはあるからな。その分を差し引いたらもうちょっと苦戦してたと思うぞ……と、そうだ。トライデント回収しなきゃ」
急いでドラゴンと一緒に消滅しなかったトライデントを回収する。ゴブ剣も潰れて使い物にならなくなってしまっていないものは回収。トライデントは全弾、ゴブ剣はのどと腹に刺さっていたものは無事に回収できたし保管庫でも同一のものと判断された。
「ちなみになんだけど、君らがリッチと呼んでいた六十層のボスとここのボスはドロップ品がいくつかあるからね。暇になったらまたチャレンジしてみてよ。その間に僕も次の階層を作る暇が出来るからさ」
「ドロップが複数ある……つまりあれか、リッチで言えばマント以外にも戦利品があって……例えば王冠とか持ってた杖とかがランダムにドロップするってことは確実なんだな」
「うん、集めたら何かがある、というわけではないけどね。まあこっちで言うお遊びみたいなものかな。ボスも挑戦者が居ないと暇だろうからたまには付き合ってあげてよ」
そういえば結衣さん達は杖を手に入れていたな。後は王冠も揃えれば何かがあるというわけではないが、一品物ドロップの可能性はあるわけか。杖のほうは鑑定に回したら何かわかるようになるのかもしれない。自分でドロップしたら是非調べてみよう。
「それで? 二人の討伐報酬だけど今回は何かあるかな? とりあえず安村も無事に【熱変動耐性】も取得したようだし、今のところこれが欲しい、というものは僕は思いつかないけど」
「そうですねえ。今のところはないですねえ。貸し一ってことで良いですか? 」
「俺のほうもだな。貸し一にしておく。何かダンジョンに不具合があった時とか、妙なことが起きた場合のために俺のほうからも対応ができるようにしておきたい」
前のエレベーター倍速みたいに三倍速にしたいとか、瞬間移動がしたいとか、今回の【熱変動耐性】みたいにそろえて挑まないと厳しい環境なんかが出てきた場合に二人そろって貸し一を利用する形になるだろうからその時のためにとっておこう。何より、ダンジョンマスターに貸しがある、という話は中々に面白い。
「わかったよ。じゃあまた二人そろって貸し一ってことで。さて、七十六層の探索はいつ頃になるのかな? 早く来いとは言わないけど、是非マップを楽しんでいってくれるとうれしいね」
「出来るだけ隅々まで楽しんでいくことにする。流石に七十二層みたいなループしているかもしれないマップを巡るのは面倒だが、このぐらいのマップならちゃんと巡るようにすることにするよ」
ふむ、七十六層は隅々まで回ることになりそうだ。これはこれで手間だが、今の【熱変動耐性】がある状態なら問題なく回れることだろう。時間はかかるがマップを隅々まで巡ってその間にポーションと革と魔結晶を集める作業に費やすとしようか。
「さて、じゃあ僕は仕事の続きに戻ろうかな。二人は頑張って地上まで戻ってね。途中で力尽きることがないように願ってるよ」
「不吉なお願いだが……まあ多分大丈夫だろう。ここの階層で手間取ることはもうなさそうだ」
「そのようだね。様子はしっかり見させてもらうよ。じゃあまた次は何か用事があったら、貸しを早めに消費してくれるでも構わないからその時にでも呼んでおくれ」
ミルコは転移していって、静かになった。広い空間にいるのは俺と芽生さんだけ。そもそも俺と芽生さんだけだが、モンスターがいない空間でゆっくり休みを取ることができる。
「とりあえずスーツはもう一着だな。いや、今後を考えて二着作るか。一着も二着もそう変わらんだろうし」
「そうですねえ、今日のところはそのボロボロのスーツのままで地上に戻れば、あのおじさんがどれだけの死闘をしてきたのかと話題になることでしょうねえ」
「それはそれでネタを提供できるから悪くないな。一体どれだけ強いモンスターがいるのかと話が盛り上がりそうだ」
さて、他人の話の種になるかどうかはおいといて、今から七十層まで上がっていかなければならない。体力的には持ちそうではあるけど……今はとりあえずゆっくり休憩して、帰りの分の体力を復活させていこう。
こういう時にバニラバー以外の駄菓子なんかも入れておくのも悪くないと思ったが、保管庫に今朝入っていた分は全部ミルコに渡してしまったんだった。ミルコに渡す分も今後は考慮しておくべきか。こういう時に腹に溜まらなくても味変して楽しめるおやつというのも必要だよな。
次回は……いや、今後は自分たち専用のおやつで満足度の高いものを用意しておく事にしよう。なんでもミルコに渡せばいいってもんじゃないということはわかった。
「少し休憩してから帰るか。流石にそのまま戦い続けるのは厳しそうだ」
「そうですねえ。まずはゆっくりしましょうか。ドライフルーツとバニラバーをもらって座って休憩しますか」
椅子を出して座り込んで休憩。机まで出すと机にもたれ込んで眠ってしまう可能性があるので、椅子に座って背もたれに体を預けてだらーんとしている。ドライフルーツとバニラバーを追加で齧ってカロリーと魔力の補充。さっきの一戦でどれだけ使ったかわからないからな。いざ途中でエネルギー切れを起こしても困るし、休める時には休む。大事なことだ。
芽生さんも背もたれに体をもたれかからせてお休みのポーズ。流石に水流を流し続けた分の疲れはあったらしい。普段の芽生さんの消耗具合がどのぐらいなのかはわからないが、明らかにきつめの戦い方をしていたし、ドライフルーツも普段に比べれば多めに消費した。しっかり休んでおいてもらおう。
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