表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第三十章:新年

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1389/1392

1389:二週間後

 あれから二週間で合計四回。七十三層から七十五層に向けて通い続けて、【熱変動耐性】獲得に向けて頑張った。芽生さんがいないときはソロで潜ったのでそれも含めると合計十回の探索を行った。


 流石に一週間ではまだスキルオーブは出なかったが、それなりの稼ぎにはなった。やはり、七十三層以降の収入の少なさは納得が出来ない所だが、これもすべては若返りらしいポーションの値段が確定するまでの話。一気にポーションを流し込むことで全ダンジョンでの一回の査定最高記録を打ち立てることは間違いないだろう。


 さて、今日も芽生さんと七十五層に向かう。七十五層で戦う理由は一つ、一番モンスターと出会う回数が多いのでスキルオーブのドロップの可能性が高いところ。あとは、【熱変動耐性】を拾ったタイミングで体調が良ければそのままボスに挑めそうな点だ。二つだった。


 今日も朝食を食べて、昼食のパスタを茹でているところ。ガッツリ二人半前を茹でると二人分用のソースを絡めて焼いて、それぞれの皿に盛って保管庫へ。これで昼食はヨシ。後一品何かつけるかな……と悩んでいつものサラダを追加。それ以上の野菜成分が欲しければトマトジュースで我慢してもらうことになった。


 今日も寝起きは快調、お腹も快調、昨日の疲れも残ってない。体調は万全だ。流れてくる汗にもだいぶ慣れてきた。経口補水液の在庫も充分、飯は今できた。服装をスーツに着替えれば出かける準備はできたことになる。忘れ物はないよな? それを確認するのは今からだ。


 柄、ヨシ!

 圧切、ヨシ!

 ヘルメット、ヨシ!

 スーツ、ヨシ!

 安全靴、ヨシ!

 手袋、ヨシ!

 籠手、ヨシ!

 飯の準備、ヨシ!

 嗜好品、ヨシ!

 車、ヨシ!

 保管庫の中身……ヨシ!

 その他いろいろ、ヨシ!


 指さし確認は大事である。これがあるから忘れ物をしない、というわけではないが、少なくともいつも持ち歩いている物についてはこれでほぼ網羅されている。


 網羅してないものは普段絶対保管庫に入れている札束と財布、スマホ、それからメモ帳と各階層の地図ぐらいだ。これは絶対に保管庫に保存しておくものなので保管庫の中身に分類されている。


 うっかりここで家で地図を広げて分析なんかをして、そのまま家に忘れていったことなどを考えると最悪なパターンに陥る。せっかくここまで作り上げた地図をまた書きなおす羽目になるのだ。そうならないための指さし確認だ。今は七十層から七十五層までの地図が入っていればいいということになる。細かいところだが、一応全階層分の地図は保管庫に入っているので迷う心配はない。


 さて、今日も出かけるとしよう。今日こそは……おっと、早速物欲センサーが回り始めたぞ。今日は七十五層の地図を完成させて七十六層の階段を探すのを目的にしておこう。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 いつもの時間にダンジョンに到着して、芽生さんは寒い中入ダン手続き前で立ちつくしながらスマホで何かを見ていた。


「寒くないのは良いところだな」

「おはようございます。スキルのおかげで体感お昼寝タイム温度ですね。非常に便利です」


【熱変動耐性】があればいつでもポカポカ陽気に感じるらしい。俺も早く味わいたい。


「今日こそは何か出る予感がしますね。いい加減洋一さんもスキルオーブを拾って早く一緒に汗だくではない気持ちいい環境で探索したいですからね」

「それは出ないフラグだと思うんだが……まあ現地へ行ってから考えるか。とりあえずさっさと潜ってしまって午後のお仕事の準備を始めるか。まずは茂君ダッシュからだな」


 入ダン手続きとリヤカーを手に入れ……またリヤカー増えたな。俺専用がいたずらされずいつも空いてくれているのは素直に嬉しいが、他の探索者からリヤカーを増やしてほしいという要望があったんだろう。


 いつも通りダッシュして帰ってきて七十層をポチ。そして昨日手に入れた探索・オブ・ザ・イヤー最新号では、聖蹟桜ヶ丘ダンジョン体験の話がもうあがってきている。潜った筆者は宝箱にありつくことが出来たらしい。出たものは浅いところなのでヒールポーションのランク1だったようだが、何もしなくても収入があるのが嬉しい、ということだったようだ。


 たしかに、戦わなくてもお金になるものが手に入る、というのは不労所得として嬉しいところなんだろう。これが階層が深くなるほどより良いものが出始めるようになると考えるとどんどん深くに潜っていきたくなる感覚を楽しめると好印象のようだ。


 今までに比べればただ決まったルートを巡るだけではなく、もしかしたらこっちに宝箱があるかもしれない、という期待感により、探索者の密度の分散化に成功している。これは今まで階段と階段の間しか移動しなかった探索者の導線処理をうまく行うことでモンスターのリポップの平均化にも一役買っており、普通に移動して下層へ行くだけでもモンスターに出会うことができるようになっていた。


 これで新しい宝箱専用のドロップ品があるならばより面白いことになるだろうが、専用のドロップ品が出たとして、それが何であるか、ということをどのように解決していくのかが今後の課題ではなかろうか、という言葉で締めている。


 つまり現状で【鑑定】担当の巽君が相手をするような内容のドロップ品はまだ世の中に知られてないか、ドロップされていないかという所になる。その点ではまだまだ広告戦略が足りないのか、それとも該当のドロップ品が出た時に個室でもって対応しているから広まっていないかどちらかだろう。


 後一カ月ぐらいかかるのかな? と長い目でみつつ、その間に巽君にはひたすら訓練をしてもらって【鑑定】スキルの伸ばし方についての知識の蓄積やどの様に【鑑定】のスキルがアップしていくのかなどがダンジョン庁にもたらされる実績として積み重なっていくのかな。


 コラムとコラムの間にある広告を見ると、ワイバーン素材の胸当てや籠手なんかが増えてきた気がしている。これもB+ランクの開放の影響だろう。日本全体的に見てワイバーンが多く狩られ、素材も流通して値段も落ち着き、そこそこ買える値段で製作元が購入して製作して売りに出す、という循環が機能し始めたように見える。


 この調子だとスノーオウルの羽根も潤沢に……という風にはいかないだろうな。三十八層が三十七層か四十層にあればもっと出回る価値はあっただろうがスノーオウルの羽根が一番とりやすい三十八層はどちらからもちょいと遠目であり、更に嵩がある。


 もしも俺以外の探索者がスノーオウルの羽根だけ目当てに三十八層に潜るにはちょっとだけ根性が必要だろうな。そうなると、もうしばらく俺のスノーオウルの寡占納品は続くことになる。ただ、価格改定で値段が安くなる可能性は各所で充分に指摘されているので、また値下がりとなると山本さんとの値段交渉が必要になるだろう。


 十分儲けさせてもらっていることだし、細やかな割引はほどほどにしたいところではあるが、向こうも向こうで荒稼ぎをしてるだろうし、仲良くお互いが儲かる価格で……という所を突き詰めていきたいところだな。具体的には値下げ分だけ値下げる、という感じで、俺への利幅はある程度確保したい。


 そうでなければわざわざ一日八キログラムほどしか取れない三十八層のスノーオウル狩りで一日四千万円ほどしか稼げない階層に行く意味がなくなってしまう。その分は七十一層で補ってはいるものの、やはり収入の差は歴然としている。


 社会貢献のためとはいえ、中々に厳しいところではあるな。まあ、物があふれ始めて値下がりするのは見えていたことでもある。とりあえず価格改定の結果を見てから考えよう。


「ふむ……この様子だと今のトップ層は五十層辺りで毒の洗礼を受けてるころかな。【毒耐性】の需要が突然増えてくるのはこの後ぐらいだろうな」

「あー、じゃあこの先【毒耐性】はガバっと値上がりしそうな感じですか。早めに結衣さん達も確保しておいてよかったですねえ」

「この先も【毒耐性】が必要かどうかはわからないが、もし多重化しないとまずいようなモンスターが出てきた場合は札束で顔をはたいて入手するしかないな。というかそれが絶対早いな」


 今後一部のスキル以外については金で買ってモノにしていくという方向性で一致した。なにせ、税理士さんが試算してくれた内容によると今なら【物理耐性】を百個競り落としてもまだ手元に現金が残るぐらいなのだ。芽生さんはそこまで多くないにしても、やはり数十個は買えるだけの資産があるはず。


 金で買えてクリアできるなら金で解決したら良いという状態に今なっているのは非常に気楽な話であると言えるだろう。金で買える幸せがあるではなく、面倒ごとを金で解決できるならそれでいい、という奴だ。


 その点でずば抜けて面倒ごとを金で解決できる二人なのだから、この先【熱変動耐性】は結衣さん達に取っておくとしても、まず自分の分を確保しなければならないのは確か。他人の分よりまず自分の体調を整えられるようになってからスキルオーブには出てきてもらおう。


 七十層に着き、いつも通りリヤカーを置くと車で七十一層側まで飛ばし、車を降りて収納するとそのまま七十一層へ。いつものサメに雷撃による昇竜拳を喰らわせてアイテムを拾って午前の部開始だ。


 午前の部でしっかり稼いでおかないと収入にならないのは二人ともわかっているので、モンスターは発見したら手あたり次第に倒してドロップを回収していく。ここでキュアポーションのランク5が出ると出ないではまるでお話が変わってくる。


 行きに二本、帰りに二本出れば充分な収入として計算することができるが、大体のパターンだと七十一層で一本、七十二層で行き帰りで一本ずつの計三本というのが今のところの平均的な収入だ。それに七十三層以降で手に入る魔結晶の査定価格がそこそこ入っている。


 今のところそこまで収入難、というほどにはなっていないが、やはり七十二層よりも収入効率が落ちるのはいただけない。その為には早くポーションの査定が可能になってほしいところだが……さて、こっちはダンジョン庁ではなく治験をしているおそらく医薬品関係であろうメーカーがどこまで進捗を進めてくれるかによる。


 実際に若返るってどういう感覚なんだろうな、と不安にも陥るが、若返りが形としてはっきり見せられる状態になるためにはもっとサンプルが必要になってくるんだろう。しかし、七十三層以降でそこそこ入手しているおかげでまだサンプルとしてばらまく用意はある。


 いずれは収入になるんだから今は溜めておけばいいと気楽に考えて進んでいると、早速七十一層でポーションを一本手に入れた。これで行きの収入はヨシだな。


 そのまま七十二層に入り、例によってクレーターを無視して七十三層への階段へ直行する。このほうがモンスター遭遇数が多いので、午前の収入がきっちり得られるのは良いことである。そして歩き始めて十分で早速ポーションにありつけた。今日はなんだか調子が良いな。


 この調子ならスキルオーブも出てくれるかもしれない。こういう調子が良いことは稀によくあるからな。このままの今日の運勢で上手く進捗があればきっと……と、物欲センサーが反応し始めた。あまりよくないな。物欲は抑えて、運ではなく数で対抗するのがスマートな戦い方だ。今日も七十五層で出来るだけ戦っていってスキルオーブが落ちるまで粘るとしよう。


 そのまま真っ直ぐ七十三層への階段へ進み、最後のグリフォン二匹を仕留めたところで周囲を掃除。片付いてモンスターがリポップする前にさっさと食事を済ませてしまうことにしよう。


「ご飯ーご飯ー♪」


 何やらゴキゲンの芽生さんはさておき、いつものパスタとサラダのセットをお出しして、つるつるっとパスタを胃袋に納めていく。午後からはまたサウナタイムだ。


 しっかりと汗をかくことについてはもうあきらめムードな俺だ。せめてサウナ効果で美肌と我が腹筋の割れ具合を観察していくことにしよう。今日あたり、くっきり割れそうな気がする。腹筋が割れるほど脂肪を削って探索するのはあまり身体によくないということはわかっている。


 身体強化でどのぐらいのカロリーを使うかで決まってくるので、最悪筋肉を維持したままダンジョン内で餓死、という可能性もある。そうならないように今日のパスタはちょっと多めに盛ってきた。バニラバーもあるしマヨもある。緊急時の栄養補給はできるが、出来るだけそれに頼らない形で頑張れたらいいなぐらいで思っておこう。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
安村さんは保管庫でいつでもカロリーも水分も摂取できますけど一般探索者となると活動時間短くなりそうよねーここのマップ
①やはり収入の差は愕然と→やはり収入の差は歴然と ②金で帰る幸せ→金で買える幸せ
いずれは収入になるんだから今は溜めておけ倍糸気楽に考えて進んでいると、 →溜めておけばいいと?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ