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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十九章:ダンジョン探索旅情編 ~旅先で色々と~

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1350/1389

1350:ご立派ァ

 十層は予定通り草原マップ。地図がなければ小西ダンジョンでは確実に迷子になるであろう所だが、熊本第二ダンジョンではそういうわけではないらしい。


 草原の癖に木々がそこそこ立っており、目印になるようなものが各所に見える。木だったり石だったり、小西ダンジョンでも目印にしていたものがいくつか存在する。そして、その草原の中に存在する馬面のモンスター。


 圓楽とでも名前を付けておきたいところだが、ホースマンということで通称が指定されている。馬面男の名前通り、顔が馬で身体も馬っぽい人間。そしてオスしかいないのか、正面から見るとご立派なものが見えている。アレに勝てる男は居ないだろうな。


「アレを斬りおとしたらドロップ確定とかなんでしょうか」


 芽生さんがタマヒュンするようなことを言ってくれている。止めてもらえないだろうか。


「あれでもちゃんとしたモンスターで、馬肉をドロップしてくれるらしいぞ」

「じゃあレッドカウも含めてここはお肉ゾーンという認識で間違いないんですかね」

「多分そういうことになっている。ご立派様はともかくとして、持っている斧も立派だぞ」


 ホースマンは斧で戦うらしい。こっちが重量で押し負ける可能性はあるので出来るだけ当たりたくない武器ではあるが、柄や圧切の切れ味ならあっさり斬りおとせたりしないだろうか。


「とりあえず初出のモンスターだ、戦ってから様子を見ようや」


 まずは雷撃から試してみる。全力雷撃を撃ちこむとさすがに過剰火力過ぎたらしく、一瞬で黒い粒子に変わった。


「うむ、強さはそれほどでもないな。やっぱりデカさより耐久力のほうが大事だな」

「ちょっと気にしてるんじゃないですか。まあ、私はほどほどのほうが痛くなくていいんですけど」


 芽生さんもそういうからにはほどほどのほうがいいらしい。俺のは……ほどほど、ということなんだろうな。まあ男のでかさを競い合うのは男だからこそであって、女性には女性の基準というものがあるんだろう。その辺はうまくいっているような気がするのでよし、だな。


「流石に初回でお肉、というわけにはいきませんでしたか」

「そうだな。でも後実質二階層分あるんだし、その間にカウ肉と馬肉を補充するつもりで進ませてもらおうじゃないの」


 草原の地図を開いて方向感覚を合わせると、地図に沿って真っ直ぐに目標物か目的のものに向かって進む。


 どうやら肉目当てでここに潜っている探索者がいるらしく、索敵範囲内にもパーティーの姿が見える。流石に肉眼で確実にとらえるというのは難しいが、最短距離で階段に向かっていないらしいことを考えると、モンスターを狙っているのだろう。


 こちらはこちらで階段までの最短ルートを進みながらモンスターと交互に戦っていく。どうやらレッドカウの強さは他のダンジョンのレッドカウと変わらないらしい。前の相談ではレッドカウの強さも調整する必要があるかもしれない、等と言っていた気がするが、そのまま出してきてくれたおかげでCランク以上じゃないと入ダンが許されない、という話になっているので却って都合が良いのかもな。


 ホースマンもレッドカウも、同じぐらいの確率でそれぞれカウ肉、馬肉をドロップし、馬肉はケルピー肉と同じカテゴリらしく、保管庫に入れたら合体した。ケルピーかホースマンかはともかくとして、俺が同じ馬肉だと考えている以上同じ馬肉らしい。大きさや重さが違うならはじき出されて違うカテゴリの物品として保管されるシステムのはずなので、ケルピーの肉とは違いがないらしい。


 こういうところで共通性を持たせてくれたのはガンテツの有り難い所だろう。共通規格のすばらしさを感じる一面でもある。またガンテツに話すことが一つ増えたな。


 十層の広さはまだ解らないが、階段である所の大岩はやはり他のダンジョンよりも大きく出来ているおかげか、遠くからでもよく見えるようになっている。この階層は意外と狭いのかもしれない。実際に歩いて十分ほどの時間で岩の先っぽがすでに見え始めているので、階段から階段は近い構造になっている、とみるのが自然だろう。


 合計三十分ほどで階段までたどり着き、階段を下りて十一層に到着する。十一層も良い感じにマップにオブジェクトがあり、このオブジェクトをたどっていくと最短コースで階段まで行けるよ! 所要時間は四十分ぐらいだよ! と地図には書いてくれてある。どうやら十層と十一層は別の人が元図を書き起こしたらしい。十層のほうは時間までは書いてなかったのでそこは一つ優しい所だと考えておこう。


 そして、十層と十一層では同じモンスターしか出ないらしい。つまり牛と馬。ここが十九層二十層担当相ならばダンジョンハイエナの代わりになるようなモンスターが居る所だが、ここではそういうわけではないということが既存のデータから判明している。


 最近レッドカウ肉の補充をしてなくて在庫が怪しかったのでこの階層を巡れたことは非常にありがたい。モンスターは確定で赤魔結晶の一番小さめの奴、つまりエレベーター一階層分のドロップをくれるので帰り道に燃料が足りない心配をすることもない。


 十四層までは思ったよりも早く着けそうだな。十一層もホースマンとレッドカウの相手をしながら進むが……


「流石に飽きてきましたね。でも食料になるのは有り難い所ですか。在庫は大分回復しましたか? 」

「おかげさまでね。ただ、リヤカーが少し寂しそうにしているかな」


 八層九層でキノコと野菜を積んだ以降、リヤカーの中身は変わっていない。馬肉もカウ肉も保管庫にしまい込まれていて、魔結晶もまとめて放り込んでいるためだ。


「こんなことならリヤカーを置いてきてその分素早く移動した方がまだマシだったかもしれないな」

「何分初めてのことですからしょうがない所ですね。十五層以降はどう変化するかも気になりますし、最悪十四層でリヤカーを置いて二十一層まで歩きとおす、というほうがマシかもしれません」

「出るもの次第だな」


 一応ポーションは出ているのでその分だけ収入とすることはできるが、カウント開始時点のポーションの本数を書き留めて置かなかったため、何本ポーションでの収入があったかというのが解らなくなっている。


 適当にキュアポーションの在庫から何本か抜いて申請することにしよう。ほとんどがシャドウスライムからの供給品だが、ちょうど山のように在庫になっている商品でもあるし、賞味期限こそ気にしなくていいもののそのまま溜めこんでおくにはちょっともったいないなと思っていたものだ。しっかり渡して芽生さんにも今日の収入だよと喜んでもらえるようにしておこう。


 十一層は南北に大きく動くマップのようで、東西は割と短めのところでループしているらしい。斜めに向かって行軍していくのが稼ぐコツ、と紹介されている。地図を描いた人は中々に商売熱心な人らしい。


 向かって南から北に真っ直ぐ階段往復するだけで四十分かかる、というのがこのマップの特徴らしい。ちなみに北から南へ逆に歩くと二時間かかるらしいが、こっちは稼ぎたい人向けだとも書かれている。


 今回は稼ぎたいルートではなく階段へ最短距離で向かいたいので南から北へ向かって歩くことになる。その間ひたすら馬面と牛面の人型モンスターと戦うのだが、強さにあまり変わりがないのと、リヤカーを引いている都合上それほど素早く動けないために若干暇な時間として歩く時間がカウントされていく。キュアポーションのランク2がたまに出て嬉しい、ぐらいがここの感覚らしい。


 ふと先を見ると、逆に歩いてくるパーティーとすれ違う。もしかしたらひたすら南北に歩き続けることでこの階層で稼ごうというパーティーなのかもしれないな。積み荷を横目で見る感じ、魔結晶と肉をひたすら積み上げているように感じられた。肉専門の引き取り業者なのかもしれない。魔結晶のほうは燃料兼副収入といったところだろう。


 彼らのおかげでひたすら歩く時間というものが追加されたが、戦闘をしなくていい分歩く時間だけに集中することが出来たため、予定より少し早く到着することが出来た。


 十一層に別れを告げ、さっさと十二層にたどり着く。そろそろ昼を回る。予定よりちょっと早くはあるが、ここらで安全な所を見つけて昼ごはんにする、という手もある。


 廃墟マップは死角が多い。そのためモンスターも発生しやすいが、モンスターに見つかりにくくもあるため休める場所は何ヶ所かある、という話を事前に耳にしていた。とくに階段周りは安全であり、十二層の階段周りは建物の中でもあることからちょっと休憩するのに適しているらしい。


「ちょっと休憩するか? それともここで腹を減らしておいて後でまとめて食べるか? 」

「そうですねえ。お腹は確かに空いてきてはいますが緊急で食べないと倒れる、というほどではないです。バニラバーでも充分お腹は満足すると思います。持ってますよね? 」


 そういうので水分補給とバニラバー補給の短い休憩を取る。さすがに数時間歩きっぱなしで俺もリヤカーを引いたままだったので少々腰に来ている。そこら辺の非破壊オブジェクトにもたれかかると、コーラを飲んでバニラバーを胃に詰め込む。


「そういえばガンテツさんは私たちがここまで下りてきてるの、認識してるんですかねえ? 」

「どうだろうな。認識してたら次の十四層でこっそり会えるだろうしな。向こうから呼びつけておいて奥まで来い、というのもちょっと狡いというか、面倒くさいというかそういうものはある。最悪一層の隅っこのほうでスライムが来ないようにしてもらってそこで取引、という形にしてもらってもよかったわけだし……案外本気で気づいてないのかもしれないな」

「それは困りましたね。十四層で受け渡しが出来れば一番楽でしょうに」

「こっちの都合までは考えてくれないらしいな。面倒くさいが少なくとも後二層、最悪後九層か、下りるしかないな」


 補給と休憩を終えて建物から出る。そして地図の通りに廃墟マップを回る。ここは凹凸があるのでリヤカーが多少動かしにくい。草原マップもそこそこ凹凸があったが、ガレキや石などをよける必要はほとんどなかったが、このマップではまた別の話。


 ここは細かくガタガタと揺れるので非常にリヤカーで歩きづらい。後二階層もこのマップを乗り越えていかなければならないのかと考えると既にもうリヤカーを保管庫に放り込んでしまいたい衝動に駆られるが、俺たち以外にも探索者が出始めた十二層では厳しい話。他の探索者の目もあるし、七層から追いかけてきた可能性のある探索者も居ることだし、贅沢を言わずに苦労をするしかないだろう。


 そして、このマップではたった一種類のモンスターしか出ない。ダストマンと呼ばれたガレキで出来たモンスターだ。


 マップ上に転がっている石やら瓦のような物やら壁の集合体が襲ってくる。もちろん索敵には引っかかるし見た目で風景と同化していることはないので明らかにモンスターとわかる見た目をしている。


 弱点は胸のあたりにある核らしい。頭を吹き飛ばしても両手両足を撃破しても倒したことにはならず、放っておくと周辺のガレキや吹き飛ばされた手足をもう一度体にくっつけ直して再生するらしい。そこまで確認するつもりはないので、出てきた時点でまず両手を切り飛ばして核を突き、完全破壊に持ち込む。


 雷切はここでもまだ出番があるようだ。圧切を使うかどうか悩んだが、硬すぎるものを切って圧切が曲がったりかけたりしても困るので雷切で対応したがそれで十分らしい。


「二体までなら問題なく対処できそうですが、三体出てくると厄介かもしれません」

「個体によっては自ら両手足を吹き飛ばして攻撃してくる奴もいるらしいからな。出来るだけ短時間で勝負を決めたいところだ」


 ちなみにこのダストマン、スキル攻撃との相性は悪いらしい。試しに全力雷撃を撃ちこんでみたが、そこまでの火力があれば焼き切れることが分かった。雷撃衝まで行かなくても白雷ぐらいなら倒せる。ただ、金銭効率で言うとそれほど良くはないな。自分を鍛える意味ではありかもしれないが今日はそういう目的では来ていないから、その時一番楽な手段で対応していくことにしよう。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
高難易度ダンジョンですねぇ 修行には良さそうですがw
>>個体によっては自ら両手足を吹き飛ばして攻撃してくる マジンガーZタイプなのか鋼鉄ジーグタイプなのか…
> ご立派ァ」 ダンジョン松茸の事じゃ無かった > ご立派なものが見え」 ちゃってるモンスターが配信可能ダンジョンで出現 > 見ようや」 せやなと返す芽生さん > 全力雷撃」 を思わず撃っちゃう…
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