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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十九章:ダンジョン探索旅情編 ~旅先で色々と~

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1351:廃墟とセーフエリア

 ダストマンしかいないし魔結晶とポーションしか出ないという若干正統派ダンジョンに戻りつつあるこの新熊本第二ダンジョンの十二層。近接攻撃か過剰な火力のスキル攻撃なら倒せるダストマンを出来るだけ楽に倒す方法に頭を巡らせながら地図通りに進む。


 相変わらずのガタガタ道にリヤカーを引く足も少しゆっくりになり、その分時間がかかってしまう。スタックする心配こそないものの、やはり歩きづらいのは仕方がない所。


「代わりましょうか? 」

「いや、代わってもらっても進捗に違いは無さそうだからな。俺が地図を見ながら芽生さんが先導しつつ、ダストマンが出たら対処してくれる方がありがたい」

「そうですか。疲れたらいつでも代わりますからね」


 気にかけてくれる芽生さんのやさしさが少し染みる。


 それはそれとて廃墟マップ。相変わらずどこに何があるのかわからないのと、大きな道を進むならまだしも幅の狭い道に差し掛かると途端に歩きづらくなるのはお約束。しかし、この道が最短コースでここを通らないと結構な遠回りになるらしい。


 歩き抜いて地図を作ってくれた先行探索者に感謝だな。そういう意味では俺はあまりいい先行探索者とは言えないのかもしれない。地図を作ったのも二十一層までだし、その後の更新をかけた覚えはないので自力で歩んでくれ、とやってしまったような覚えがある。


「そういえば、ダストマンと名前は付いてるけどダストレディは居るのかな? 」

「またしょうもないこと考えてますね。居たとしても攻撃するところが変わる訳じゃないのでどっちでもいいのでは? 」


 喋って少し気を紛らわせる。もうちょっとタイヤの空気が抜けた感じの太い奴ならここも抜けるのはずいぶん楽だったんだろうが、今引いてるリヤカーはタイヤが細く、空気のしっかり入ったやつなので段差には少々弱い。


 次のダストマンが現れた。二匹出てきたのでリヤカーを下ろし、柄を握って駆け寄る。芽生さんのほうは神速一筋そのまま心臓にある核を貫いて瞬殺。こっちも柄で雷切を発動させつつ、核を焼き切る。


「ふぅ、ちょっとすっきりした。後二階層分これを続けるのは中々に骨だな」

「早く落ち着きたいものですね。ガンテツさんに商品説明する時間も必要になるでしょうから今日は帰れないことも覚悟しておかないといけないですかね」

「その時は車出すことにするか。タクシーの運ちゃんがまた張ってれば話は別なんだろうけど」


 そもそもこっちは十七層までしか地図を持っていない。十八層以降はたどり着けるかどうかもわからないので迷うことになる。良い具合に奥まで歩き抜ける探索者がいてくれればいいものの、上手いこと潜り込む余裕があるかどうかはわからない。


 まあ何とかなるだろうし、疲れてたら途中で休むぐらいのことは出来るだろう。強行軍だが、強いモンスター相手にして戦っていない分だけ魔力的にも体力的にも余裕はある。後は空腹だが、それはさっき落ち着けた。後は時間との勝負ってところか。


 十二層をそのまま細い道太い道織り交ぜながら進み、ようやく十三層の階段が見えはじめる。考えればモンスターが一種類しかいない、というのは珍しい所だな。他のダンジョンも含めて考えれば一層のスライムぐらいか。人型とはいえ、どんなモンスターを出すのか色々考えたんだろうな。


「本当にダストマンでなければいけない理由か何かがあったんだろうか? 」

「例えばどんな感じですか? 具体例を挙げてみてもいいとは思いますが」


 芽生さんが会話に乗りながらダストマンを掃除してくれている。


「ゾンビとかグールとか、そういう感じのモンスターを出してもいいとは思ったんだろうけど、腐液をまき散らしそうな奴が食品ダンジョンに居るというのは衛生面で問題があると考えて、廃墟に似合うモンスターを色々考えていたんだろうな、という苦心は感じる所がある」

「なるほど、たしかにそうですね。でも、腐液もモンスターの一部なら倒したら消えることになりませんか? 」

「ジャイアントアントの酸は消えなかっただろ? 多分あれと同じ仕組みだと思うんだ。だからここにはこういう感じのモンスターしか出せなかった、と考えることが出来る」

「そういう感じで煮詰めた結果、出来上がったのがダストマンだと? 」


 魔結晶をこちらに放り投げてきたので空中で受け取ってバッグに収納、バッグから保管庫へ。ダストマンの魔結晶の数だけ倒したことになるので戦闘のカウントがしやすいな。


「流れとしては不思議じゃないだろ? 」

「そうですねえ。人型にこだわった結果そうなってしまったのかもしれません。ですが、ドロップがないというのはこれはこれで気になります」

「ゴミから生まれたドロップ品、というのが生理的に受け付けなかったか、作ってる最中でさすがにこれはな……となったのかもしれない。ただ、スケルトンがキノコを落とすことを考えるともしかしたら実装ギリギリになって急遽作り上げたのかもしれない。だから俺らにも相談がなかったのかも」


 締め切りギリギリになって修正が入ってマニュアルや公式ホームページに記載がないままや、取引先に伝えるのを忘れたまま発売するような感じだ。時々世の中にはそういうことが存在するらしい。それと似たような物ではないだろうか。


「ま、どっちにせよそれなりにお金にはなる割に素直に倒れてくれるので楽ではありますね。荷物も重くなりませんし、魔結晶だけを純粋に稼ぐならここは良いポイントかもしれません。そういうことなら、きっと十三層に入ったら探索者が結構いるんじゃないですかね。十四層到着組の金稼ぎポイントとしては中々のものだと思いますよ」


 そういう考え方も有りだな。ポーションも落ちるようだし、収入という面で言えばここは食品ダンジョンであることを忘れられるなら割と効率のいい所なのかもしれないな。


 十二層から十三層へ下り、セーフエリアまであと一歩、という段階まできて、索敵に映り始める探索者の姿。


「ほら、やっぱり」


 芽生さんの言った通り、そこそこの数の探索者があっちへこっちへしている様が索敵から見え隠れしている。どうやら十三層はそこそこ稼ぎどころのようだ。今までの階層の中では一番多い人通りではないだろうか。人が多すぎてモンスターが倒せない、というほどではないにしろ、結構な賑わいだ。


 十四層の周辺としては一番稼げるのが多分この階層なんだろう。この様子だと、十五層十六層も同じく探索者であふれているんだろうな、というのを感じ取ることができる。Cランクでちょうどいい感じの探索場所がこの辺りなのかもしれん。


 おかげで楽をして通り抜けることができるのは嬉しい所。今日は稼ぎに来ている訳ではないので一旦十四層まで下りて、エレベーターで上がりたい我々としては道が歩きにくい以外は楽が出来ている。


 十三層から十四層までの距離は時間にして四十分ほどと記されているが、探索者の多さとそれに伴うモンスターリポップの減少によって三十分ほどでたどり着けるだろうという予想が出来ている。


 実際はドローンを飛ばして距離を測るのが適切なんだろうが、ダストマンが一応遠距離攻撃もできることを考えると迂闊に飛ばすべきではない、と意識のどこかでNGを告げている。そういう時は本能に従うべきだろう。


 十三層を歩き抜けて、かなり楽をしたまま十四層にたどり着くことが出来た。階段を下りた十四層は七層とほぼ変わらない位置と仕組み、そしてエレベーターの位置も統一されている様子。今何層か確認するためにはエレベーターの中に入って燃料を入れてみないとわからない所だろう。


「とりあえず第一目的場所にはたどり着いたわけですが……」


 人がそれなりに居る。人の目が多いということは、それだけ密談するにも不都合だということになる。


「ここでガンテツと会うのはさすがになあ。やはり二十一層まで潜るしかないか」

「そうなりますよね。とりあえずお昼にしませんか」

「そうだな。昼食って、腹を落ち着かせてる間にエレベーターで一層に上がって一旦査定してもらって、それから帰ってくるか」

「でも、地面に直座りというのもちょっとあれですね。とりあえず査定終わらせてから考えませんか。休憩室みたいなものがギルドにあったはずです、そこでお昼にしましょう」


 確かに、この人の多さとテントの張り具合からすれば、テントを取り出してその中で食べるか、地上に戻って地上で食べるかの二択になるだろう。


「よし、地上に戻ったらリヤカーを返して、カバンの中にドロップ品を入れていくことにしよう。そのほうが移動が早くて済みそうだ」

「そうですねえ。次のマップはおそらく森と川でしょうし、水中から何かが上がってくる可能性もありますが、森の中をリヤカーで歩くのはあまりお勧めされないかもしれません」

「うむ、よし。カバンの中を空っぽにしたつもりになって進むとするか。その間に出てきたドロップ品はいつもの手荷物バッグ携帯で対処することにしよう」

「また指が死にそうになる奴ですねえ。いくつかはお土産に残しておくとして、持てる分だけのものを持っておいて後で他のダンジョンで査定にかけるか、入口まで来た時にリヤカーを借りて搬入することにしましょうかね」

「そのほうが楽でいい。というか昔の小西ダンジョンでのリヤカーの使い方に戻すわけだな。退化した気がしないでもないが、移動の楽さと天秤にかけるとそのあたりで折り合いをつけたほうが良さそうだ」

「さあ、予定が決まれば早速行動しましょう。まずはエレベーターで上に戻って査定を受けるんです」


 芽生さんが元気にエレベーターに乗り込んでいくので後をついてリヤカーを引いてエレベーターに乗り込み、燃料を入れてボタンを押す。ついでにエコバッグに手持ちの魔結晶を燃料分だけ残して放り込んでしまってこれも査定に出すことにする。


 十分ほどかかってエレベーターは一層に到着した。やはりここのエレベーターも一つ分は五分で到着するらしい。スピードを共用にしているのは多分何となくで決めたんだろな。後で倍速ボタンをつけたことを考えてもそういうことになるんだろう。


 退ダン手続きを一旦終えて、リヤカーごと査定カウンターに突入する。中途半端な時間だからか、カウンターは混んでおらずスムーズに受け渡しが可能になっていた。


「二分割でよろしいですか? 」

「はい、二分割でお願いします」


 エコバッグに色ごとに仕分けられた魔結晶を確認した査定嬢はそのまま計量し、計量結果をカタカタとパソコンに打ち込んでいる。それを二度。その後、色々なキノコの選定と数を数え始め、それぞれをまたパソコンに記入。キノコはどんな種類でも同額かと思いきや、種類で値段もちゃんと違うらしい。


 それぞれ細かく記入していった後で最後にポーションを鑑定して数を入力し終えてレシートが出て来る。前半部分の金額、六十八万七千六百三十五円。やはり魔結晶とポーションが大きく値段を押し上げているらしかった。適当に混ぜ込んだキュアポーションが良い感じに値段になってくれたらしい。芽生さんにレシートを渡すと、疑問が返ってくる。


「こんなに仕事しましたっけ? 」

「以前シャドウスライムからもらったポーションが混ざり込んだかも。流石に本数数えてなかったから適当に出したので多分大分割り増しされてると思う」

「そうですか……まあ、洋一さんがこれでいいならこれで受け取りましょう」


 今回の旅行金額分はもう稼いだな、と言わんばかりの収入なので安心して振り込みを選択。俺もリヤカーを返却してから振り込みを終えると、休憩室で椅子に座り込んで食事を始める。現在時刻は午後一時半。予想よりは一時間ほど早く探索を切り上げることが出来た。ここから食事をして入ダンしてエレベーターで十四層まで下りて……と時間を逆算していくと、午後二時半までには探索を再開できる。


 休憩室に熱湯と電子レンジが置いてあったので、弁当を温めさせてもらう。ここで温める施設を使えるのは小西ダンジョンより環境が良いな。かつてはカップラーメン片手にうろうろする探索者も居たのだろうか。


 温めたところで食事開始。やはり温かい食事は良い。冬だからというのもあるが、胃袋を温めることで身体も温まるし、活力も湧きだしてこようというもの。飲み物はさすがに温めることはできないが、それでも飯が温かいだけでもうれしい所だ。保管庫に入れてあったとは言え、コンビニで一旦温めて少し冷めたやつをもう一度温めることで更に食欲は増す。


「やっぱり温かいご飯が一番ですねえ」

「そうだな。これで午後……というには少し遅いが、後半戦も頑張れそうだな」

「今日中に何としても終わらせましょう。それが終われば後はゆっくり観光して帰りましょうね」

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
> ダストマンしかいない」 ポストアポカリプス的食糧群がドロップしたっていい > 代わりましょうか?」 腰がピキッとするおじさん > 攻撃するところが変わる」 弱点部位を攻撃されるダストマン >…
色々と後発ダンジョンならではの利便性向上点が見られますねえ 帰ったら小西のギルマスに提案してもいいかもですな
ポットと電子レンジ位は、小西の休憩室にも置いたら良いと思うが…。 もしかして配電盤が手一杯で電気設備工事が必要とかかな。
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