48 鹿児島中央ダンジョン その4
モニター壊れて文字が見にくいです。
誤字脱字がいつも以上に多いかもしれませんが悪しからず。
「はあ、はあ、はあ……。タフすぎるだろ……」
『跳ね回る鞘』との戦いはすでに30分を過ぎようとしていた。相手の動きを切り替える俊敏さは徐々に鈍っているのだが、厄介な性質のせいで攻撃の威力自体は全く衰えない。そんな中、神経を削りながら回避を成功させ続け、攻撃を当て続けるというのは容易いものではない。
「ギャ……!」
「いい加減、倒れろよおおおお!」
はじめは1か所に盛り上がるように積まれていた石もダンジョンの通路の至るところに遍在するようになっていた。跳ね回る鞘の攻撃を避け、移動し、手に取った石を投げる。精度も威力も落ちていないが、これだけ武器が散り散りになると、攻撃頻度が大きく減ってしまう。
「いや、ここまで来たらいっそのことアイアンバンブージャベリオンに武器の戻すか?」
わずかな逡巡の後、俺は地面に置いていたアイアンバンブージャベリオンを拾い、襲い掛かってくる跳ね回る鞘を得物の柄で弾く。すると物理法則通りに吹っ飛ばされていき、簡単に距離を取ることができる。
「ギャッ」
「あら?お前も疲れてるんだろ。今の攻撃、これまでなら弾かれた先は真上の天井じゃなかったか?」
おそらくここが正念場だろう。相手は自身の性質すら咄嗟には使えなくなっている。俺の攻撃に対する受け方の精彩を欠いているのがいい証拠だ。今度はこちらから近接の攻撃に転じる。
アイアンバンブージャベリオンを細かく突き、鞘の口の部分を狙う。1発でも直撃すれば大ダメージは免れないだろう。
「ギャギャギャ!」
「クソっ!しぶとい!!」
されど、疲れた状態の俺の槍術では、わずかに攻めが足りなかった。当たる寸前でひらりと躱され、反対に体を大きく振るってくる跳ね回る鞘に対処しなければならなくなる。何とかそれをアイアンバンブージャベリオンで防ぐも、体は後ろへと弾かれ、距離を取らされる。
それから何度か攻撃を繰り出すも同じ結果が何度か続く。アイアンバンブージャベリオンに持ち替えたときは押し切れると思ったが、どうやら見当違いだったようだ。徐々に押され、アイアンバンブージャベリオンに重さを感じるようになっていく。
「だあああああ!こうなりゃ一か八かだ!」
「ギャッ!?」
このまま膠着状態が続けば、間違いなく俺は負けるだろう。残り少ない体力では近接戦で勝てません、じゃあどうしようもない。また石を投げ続ける作戦に戻すのも、石がすでに散らばりすぎて、連射性が失われている点から却下だ。となると、取れる手段は限られる。
残り体力を気にせず、全力で得意なスタイルを貫き通す。
「ぶっ飛べ!アイアンバンブージャベリオン!!」
初手はアイアンバンブージャベリオンの全力投擲から始まった。すでに攻略者としては中級者並みの攻撃力を発揮できる今の俺から、目視すら困難な速度でアイアンバンブージャベリオンを矢のごとく放たっれる。
それは見事に跳ね回る鞘の不意を突いた。辛うじて口から口刺しになることはなかったが、鞘の中腹に刺さるアイアンバンブージャベリオンによって、体を真っ二つに折られてしまう。
「ギャアアアァァ!!!」
「よっしゃああああ!木が金属に勝てるかこの野郎!!1」
跳ね回る鞘の失った半身は地面へと転がり、てんで動かない。動いているのは口のついている方の鞘だけであり、歯を食いしばって痛みに耐えているように見える。最善とまではいかないが、ほとんど勝負の決まる一手となった。
しかし、そんな戦況になったということは、
「あっ!くそ、逃げるな馬鹿野郎!!」
希少魔物は逃げに徹するということだ。不安定ながらも自身の性質を頼り、少しずつ加速して俺から離れようとする。瀕死の状態とは思えない底力に感服したいところだが、ここまで来て逃がすわけにはいかない。
ここで仕留める。
そんな強い意志を持ち、すぐそばの石を拾い、体を大きくしならせる。疲れた体が悲鳴を上げ、体中からミチミチと嫌な音が鳴るのも無視し、そのまま残りの体力を消費して渾身の投石を打ち出した。
「だあああ!倒れろおおおお!!」
力が尽き果て、その場に倒れこむも、当たると確信した石の行く末を叫ぶ。その直後、ガチャッと何かがはじけるような音が聞こえる。
「……ギャァァァ……」
「どうだ……?ステータスオープン」
その後、跳ね回る鞘らしき悲鳴が微かに聞こえたが、倒れこんだ場所からは通路の岩に阻まれ、その結果を見ることはできない。もし倒せていなければもう遠くまで逃げられているだろう。もう追いかけるような力も残ってないので、ゆっくり体を起こし、どうか倒せていますようにと願いながら自分のステータスカードを呼び出す。
もし倒せていたのならば、俺のステータスはとんでもないことになっているはずだ。ちらりと跳ね回る鞘の逃げた方向に目を向けるも、遠くにはすでに何もいない通路が広がっているだけだ。逃げたのか倒せたのか、それはすべてステータスを見ればはっきりする。薄目でそこに書かれている数値を確認する。
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なまえ:小野寺太郎丸おのでらたろうまる
とし:16
しゅ:ひと
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ついかこうげきりょく:1265(+399)
ついかぼうぎょりょく:1223(+405)
まなりょう:920(+353)
ついかいどうそくど:1188(+389)
ついかまほうこうげきりょく:1164(+393)
ついかまほうぼうぎょりょく:1399(+432)
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ふれいるすいんぐ
すらむだうん
かうんたーばらんす
ついかこうげきりょく1.1ばい
ついかぼうぎょりょく1.1ばい
ついかいどうそくど+100
ついかまほうぼうぎょりょく1.2ばい
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あじゃすとうぉーく
わーどらんげーじ
すとろんぐあーむ
すてあさーち
ぽいずんれじすと
いれぎゅらーいぐじすと
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さいだいだんじょんれべる:11
だんじょんこうりゃくりれき:『かごしまちゅうおうだんじょん(11):13かい』
『おおほりこうえんだんじょん(10):11かい』
『おおたけだんじょん(9):11かい』
『させぼだんじょん(8):11かい』
『あしきただんじょん(7):9かい』
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「お、おおおおおおお!!!来た来たきゃああああ!!!」
「うるさい」
「ステア!見ろよこれ!ステータスほぼ1.5倍!!ああああ、脳が溶けるううう!!」
「うるさい!落ち着けって!」
「いやっふうう!ああ~『いれぎゅらーいぐじすと』様様だあ~」
「……ふーん、そういうこと言うんだ」
「え、ちょ、なんですか?だって偶然を必然にしちゃう奇跡のような効果を持ってるし……」
間違いなく希少魔物を倒し、最高たる結果に寄ろこうんでいるとステアが話しかけてくる。なぜか恐ろしく冷ややかな目線を向けられているような気がするが、ステアには目なんてないので幻覚だろう。ただなぜか背筋が凍りかけているので、ちょっとこれ以降は黙った方がいいかもしれない。
口を結んでいそいそと後片付けを始めることにする。アイアンバンブージャベリオンにナイフに数多の石、回収するだけでも十数分はかかるだろう。何でステアはそんなに不機嫌になってしまったのかと考えながら特に心当たることもなく、淡々とマジックバッグに物を詰めていく。
「僕だって、そんな奇跡を起こしてると思うんだけどなぁ」
「ん?なんか言った?」
「別にぃ。口動かさずさっさと手を動かして片付けたらぁ?」
「は、はい。そうさせていただきます」
ステアの冷たい声はしばらく元には戻らないなと思いつつ、片づけを続ける。何個かの石が砕けてもう武器とし使えないと判断したもの以外は片付け終わると、尾長から大きな音が鳴る。さすがに魔石摂取から何も食べておらず、想像以上に体力がなくなっていたことに気づいた俺は、一旦13階層のセーフゾーンに戻るのだった。




