47 鹿児島中央ダンジョン その3
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なまえ:小野寺太郎丸おのでらたろうまる
とし:16
しゅ:ひと
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ついかこうげきりょく:866(+188)
ついかぼうぎょりょく:818(+169)
まなりょう:667(+150)
ついかいどうそくど:799(+171)
ついかまほうこうげきりょく:771(+171)
ついかまほうぼうぎょりょく:967(+189)
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ふれいるすいんぐ
すらむだうん
かうんたーばらんす
ついかこうげきりょく1.1ばい
ついかぼうぎょりょく1.1ばい
ついかいどうそくど+100
ついかまほうぼうぎょりょく1.2ばい
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あじゃすとうぉーく
わーどらんげーじ
すとろんぐあーむ
すてあさーち
ぽいずんれじすと
いれぎゅらーいぐじすと
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さいだいだんじょんれべる:11
だんじょんこうりゃくりれき:『かごしまちゅうおうだんじょん(11):13かい』
『おおほりこうえんだんじょん(10):11かい』
『おおたけだんじょん(9):11かい』
『させぼだんじょん(8):11かい』
『あしきただんじょん(7):9かい』
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自身のステータスカードをのぞき込み、新しく『いれぎゅらーいぐじすと』なる特殊スキルがかかれているkとを確認する。
「『いれぎゅらーいぐじすと』?うーん、名前だけだとよくわからない奴が来たなあ」
「『いれぎゅらーいぐじすと』かぁ。タイミング的にはちょうど良さそうだけど」
「ステア、何か知っているのか」
「うーん、そりゃあそうだけど。教えなくてもその子ならすぐに――」
「うっ!」
ステアの話を聞いていたその時、頭に鋭い痛みが起こる。何か細い針が突き刺されたような痛みに呻くも、すぐにその痛みは引いていく。一過性の頭痛かと思うも、その様子を見ていたステアが待ってましたと言わんばかりに声を上げる。
「あっ、来た来た」
「なんだ?ん?あれ?希少魔物がこのフロアにいるっていうことが分かるんだけど、何これ気持ち悪っ!」
そんなステアに疑問が浮かぶも、すぐにそれは別の事態によって上書きされる。頭の中になぜか『希少魔物がこの階層にいる』という情報が現れていたためだ。俺はそんなことを先ほどまで考えたこともなく、そもそも認識できるようなことでもないとわかっている。それなのに、頭の中では希少魔物がこのフロアのどこかにいると分かり、理解し、納得している。
本来希少魔物は10個のダンジョンを攻略して1匹遭遇できれば運がいいほうとまで言われているような存在だ。今のところどんな方法を用いてもその事実を突き止めることはできないはずだ。
「これが、『いれぎゅらーいぐじすと』の効果か?」
「そうだね。巷で希少魔物って呼ばれる類の魔物の出現を感知できるようになるよ。多少強引だけど、ね」
「なんか頭の中が変な感じなんだよな。まるでそうなることが当然かのようにその情報を知っているっていうか」
「そのうち慣れるよ、君ならきっとね」
そういうものなんだろうか。しかし現状として特殊スキル側の存在であるステアがそこまで言うのなら、そんなものかと受け入れることにする。それに結果として希少魔物が今の階層にいる情報を得られたのだとすると、為すべきことは1つだろう。
「じゃあ『いれぎゅらーいぐじすと』が本物かどうか確かめに行くか」
荷物をまとめ、セーフゾーンから出て次のフロアへとつながる階段とは反対方向に向かう。どのくらい時間がかかるか分からないが、フロア攻略中に偶然出会うような存在が今このフロアにいるのなら、是非お目通りかなえたい。願わくばそのまま討伐まで行きたい。
「希少魔物か。確かこのダンジョンの希少魔物は『跳ね回る鞘』だったよな。不意打ちもあり得るから十分注意しないと」
それからはただひたすらに13階層を駆けていく。
ついでにフロアを練り歩くならと、スマホでフロアのマッピングをしながら丁寧に未探索箇所をつぶしていく。
そうして1時間半ほど経った頃だろうか。途中でゾンビやファイブストーンズを倒しつつ、そろそろフロアの全体を確認できそうなくらいマッピングが進んだところで、ついにその存在と出会う。
「おおおおおぉおぉ!あ、あれが希少魔物『跳ね回る鞘』!!」
岩陰に隠れ、初めて生で見るその魔物を観察する。黒い木目の表面には傷1つない艶やかさがあり、本来刀身を収めるはずの口には獣のような牙が並んでいる。時折カチカチと牙を鳴らす音を出しながら、地面、壁、天井を跳ね返るように飛び回っている。その速度は瞬き1つで見失ってもおかしくなく、遠くから観察するだけでも一苦労だ。
「それじゃあ張り切って行きましょう、かっ!!」
不意打ち上等、腰のナイフを抜き、ちょうど空中にいる跳ね回る鞘を狙って放る。それは見事に跳ね回る鞘の体にあたり、一線の傷跡を残す。
「ギャッ!」
「よっしゃ来いやあ!!」
俺の存在に気づいた跳ね回る鞘は天井を跳ね返ってこちらに向かい、速度を落とさず迫ってくる。こちらに牙付きの口を向け、首元へ噛みつこうとしている。
「なめんな、おらあああ!」
歯が俺の首にあたる直前、アイアンバンブージャベリオンを間に挟むことで何とか牙が首に刺さるのを防ぐ。そしてそのまま強く押し返し、距離を取らせる。
「あの速度についていくのは至難の業だな。何とかして機動力をそぎたいが、それは厳しいだろうな」
少し離れたところで再び通路全体を上下関係なく跳ね回り始める跳ね回る鞘。今までいろいろなタイプの魔物を見てきたが、ここまで縦横無尽に動き回る魔物は初めてだ。明らかに物理法則が機能していないことが一目でわかる。
この魔物のこの物理的にあり得ない動きを可能にしているのは、ひとえにこの魔物の持つ性質による。その性質とは『ベクトル可変能力』と呼ばれ、自身の移動における速度と向きをある程度物理法則を無視して行えるというものだ。
ある程度等ところが肝であり、空中でいきなり真反対に移動し始めるようなことはできないが、壁などによって移動のベクトルが変わる際に速度の低下無視や数十°くらいの方向変換などができる。つまり、それを戦闘に適用させると予測不能ともいえる動きを可能にしてしまう。
「ギギャッ!!」
「ぐっ!があっ!」
目の前の通路で跳ね回っていた跳ね回る鞘が突然跳ねる方向を変え、俺へ鞘の先端を向けながら迫ってきた。何とか鞘を真上から叩き落としたが、跳ね回る鞘が地面に当たると同時に、まるでスーパーボールが跳ね返ったように速度を落とさず俺の腹部に鞘が叩きつけられる。
もちろん希少魔物という特別な存在の攻撃力が低いはずもあるまい。俺はその衝撃を受け止めきれず、そのまま後ろへ吹き飛ばされる。
「クソっ!」
跳ね回る鞘は物理法則を概ね無視できる。それすなわち次の一手へと移る速さが段違いだということだ。俺が距離を撮ろうと必死に下がるも、文字通り最短距離かつ最高速度で俺に追撃を加えてくる。何とかアイアンバンブージャベリオンで弾いても、次の瞬間には次の攻撃が放たれている。
「まずいな!いったん距離を取らせてもらう!『かうんたーばらんす』!」
アイアンバンブージャベリオンを横に持ち、跳ね回る鞘の突きを完璧に相殺する。一瞬だけ動きのベクトルが0になった跳ね回る鞘の胴を掴み、できるだけコンパクトに押し出すような挙動で遠くへと放る。
「今だ!!」
戦闘に空白の時間が生まれ、俺はその隙にマジックバッグを逆さにし、中のアイテムを地面へとばらまく。今までマジックバッグの中に詰まっていた主要なアイテムである『河原で拾った石』がごとごと音を出しながら散らばっていく。
「一旦長物は封印だ。果たしてお前に高速で飛んでくる石を避け続ける力はあるのかな?おらあああ!」
辺り一面俺の武器が散乱する中、こちらに飛んでくる跳ね回る鞘。それに対し、手当たり次第に石を投げつける。まっすぐ飛んでくるだけならばもちろん狙いを外すことはなく、俺の放つ石はすべて跳ね回る鞘にあたっていく。
跳ね回る鞘の性質によって勢いそのものにはまるで影響していないが、ダメージは蓄積しているはずだ。
「ほっ!狙いが甘くなってるんじゃねえか?」
長物の武器を手放したことで、俺の機動性は格段に上がった。それに加え、ちゃんとダメージを負っているようで、跳ね回る鞘の攻撃を寸前で避けることができる。
ここまで準備が整えばあとは耐久戦だ。こちらの攻撃は全部当て、あちらの攻撃は全部避ける。それでこの勝負は俺のものだ。長期戦になることを覚悟し、石を踏んづけて転ばないようにだけ注意し、俺は石を投げ続けるのだった。




