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25 【インタビュー抜粋】 ダンジョンイベント『博多ダンジョン攻略計画』及びダンジョンに関する諸々について

鹿井『本日進行を務めさせていただきます。鹿井(しかい)(すすむ)と申します。本日は日本ダンジョン委員会の委員長を務めております、佐藤(さとう)美咲(みさき)さん主導のもと、『博多ダンジョン攻略計画』を紹介していただくイベントとなっております。佐藤さん、本日は貴重なイベントを開催していただき、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。』


佐藤『皆様、ご機嫌麗しゅうございます。わたくし、JPDC委員長の佐藤美咲と申します。鹿井様、こちらこそ、よろしくお願いいたしますわ。』


鹿井『それではさっそく、今月4/1に幕を開けた『博多ダンジョン攻略計画』について、伺っていきましょう。佐藤さん、まず『博多ダンジョン攻略計画』を行うに至った経緯についてお聞きしたいです。どのような背景があり、始動に至ったのか、ぜひお聞かせください。』


佐藤『まず前提として、ダンジョンレベル30という大きな壁について説明させていただきますわ。国際的な取り組みとして、『国際ダンジョン当局』——通称GDAはダンジョンの攻略を推奨しています。それは主にダンジョンに出現する魔物を倒すことで得られる様々なドロップ品を拾得することを目的としていますの。例えば、皆様のご家庭にお届けしている電気はすでに50%以上は、ドロップ品の一つである魔石から作られたものですの。こうしたドロップ品の質や量はレベルが高いダンジョンほど良く多くなりますわ。ですから、わたくしたち攻略者は互いに切磋琢磨し、よりレベルの高いダンジョンを攻略していますの。ですが、ダンジョンは時に恐ろしい牙を攻略者に向けてまいります。ダンジョンレベル30はそうした牙の中でも最も恐ろしいものを持っていると、GDAをはじめとしたさまざまな機関が警鐘を鳴らしているのです。』


鹿井『ダンジョンレベル30はダンジョンに罠が出現するようになるレベルですよね。より高いレベルのダンジョンを目指している攻略者にとって、その罠が非常に恐ろしい牙として認識されているということでしょうか。』


佐藤『そうですわ。罠と言っても千差万別。片足が埋もれる程度の小さな落とし穴のこともあれば、底の見えない深い穴が辺り一面に出現することもあります。中には魔物を引き寄せたり、人1人が突如消えてしまうような未だ現象の解明ができていない罠もあります。ダンジョンを攻略し続ける攻略者に与えられた命は一つ。高レベルのダンジョンに入ることができる攻略者の数も多くないことを考えると、ダンジョンレベル30が1つの大きな壁になることが分かると思いますわ。』


鹿井『はい、とても分かりやすくご説明いただき、ありがとうございます。ダンジョンレベル30はそれ以下のダンジョンと比べ、難易度も脅威も高くなっているというところでしょうか。』


佐藤『ええ、ですので今回ダンジョンレベル30の『博多ダンジョン』に挑むということは、1つの国として戦い抜く必要があるということです。わたくしはJPDC委員長として、他国の攻略作戦を調査し、政府の方へ根気強く提案を行い、日本という国が次なるステップを進めるために、この計画を立てたのです。』


鹿井『佐藤さんの強い想いが伝わってきました。確かにダンジョンレベル30を攻略している国は現時点で、世界でも数えるほどしかありません。今回の『博多ダンジョン攻略計画』で日本もその仲間入りになるとよいですね。』


佐藤『うふふ、そのために準備をしてきましたの。最低限、結果は残させていただきますわ。』


~(中略)~


鹿井『それでは次に、現在『博多ダンジョン』を攻略中の10パーティについての質問です。公式の会見では日本でも実力・人気とも高い10のクランからそれぞれ1パーティずつ募ったというお話がありましたが、それはどういったご意図がありましたか。』


佐藤『結論から申し上げますと、やはり長時間のダンジョン攻略能力が高い方々を選ばせていただきました。先ほど申した通り、ダンジョンレベル30以降では罠が最も恐ろしい敵です。しかしそれはあるドロップアイテムによってほぼ無力化できます。』


鹿井『確か、『罠破壊のスクロース』と言いましたか。それをダンジョン内で破くと近くの罠を破壊できるという代物でしょうか。』


佐藤『その通りです。より正確には他にも『罠見えのスクロース』や『罠解除のスクロース』もありますわ。それぞれレベルがあり、レベルが高いほどより広範囲まで効果を発揮いたします。今回の計画では大量のこれらのスクロースを以って罠を攻略しようとしております。つまり、罠自体はさほど脅威ではなくなります。したがって、次に恐ろしいのは、単純な各階層の広さと魔物ということになりますの。』


鹿井『なるほど。ダンジョンはレベルが上がると各階層がどんどん広くなるといわれていますよね。ちなみに『博多ダンジョン』ではどのくらいの広さなのでしょうか。』


佐藤『うふふ、計画の遂行にあたり、JPDCからも優秀な攻略者が先遣隊として『博多ダンジョン』を調べていますの。その結果によりますと、1フロアの広さは最低でも20キロメートル四方で、次の階層に続く階段にたどり着くには平均でおおよそ15~20キロメートルは歩かなければなりませんわ。おまけに油断ならない魔物との戦闘もはさみながら、ですわ。これをおそらく30階層分繰り返してようやくダンジョンボスとの対決となりますの。』


鹿井『そんなに広いと1階層攻略するだけでも大変ですね。それを乗り越えられる精鋭を佐藤さんがお選びになったのですね。』


佐藤『わたくしだけではありませんが、概ねその通りですわ。物資も大量に用意し、世界にも通用しうる日本のトップ攻略者を集い、事前調査まで行いましたの。しかし、それでも『博多ダンジョン』を攻略するパーティは2,3ほどだと思っていますわ。それほどまでに厳しいことも皆様にしておいてほしいのです。』


鹿井『承知いたしました。皆さん、これがダンジョンという未知の世界なのです。その未知に果敢に挑む日本最高峰の攻略者を、ぜひ応援しましょう!』


~(中略)~


鹿井『それではお時間も終了に近づいておりますが、最後に質問コーナーに移りたいと思います。今この場、博多駅周辺に集まっている皆様はダンジョンについて興味がある方も多いでしょう。中には攻略者の姿もちらほら見えますね。そんな皆様に向けて、佐藤さんには様々なダンジョンに関する質問に答えていただこうと思います。JPDCの委員長に質問できる機会はめったにありませんから、聞きたいことがある方は挙手をお願いします!』


佐藤『お手柔らかにお願いいたしますわ。』


鹿井『おお、皆様勢いよく手が上がりますね。ではそちらの眼鏡をかけたフードのお兄さん、質問をどうぞ。』


眼鏡フード『僕は将来ダンジョン攻略者になりたいです。でも親からは危ないことはやめろと言われています。でも、どうしてもなりたいんです。今も博多ダンジョンを攻略しているダンジョン攻略者みたいになりたいです。どうしたらいいですか。』


佐藤『うふふ、良い質問ですわ。わたくしなら、親の反対を押し切り、ダンジョン攻略者になるための準備をいたします。ご存じかもしれませんが、わたくしは日本で『未成年の攻略者を認める』よう頑張りましたの。今後ダンジョンが世界の中心になると確信しております。ですので、かなり無茶をしながらも、少しでも早くダンジョン攻略と研究を進められるような取り組みを推進しています。確かに攻略者は危険な職業です。しかし、それでもなりたいと思いなる方がいるのも事実です。まずは力をつけ、絶対になってやる!という志を親に見てもらうのが良いと思います。』


眼鏡フード『ありがとうございます!ダンジョン攻略者になれるよう、頑張ってみます!』


鹿井『佐藤さんありがとうございます。そうですね、やはり何度も話題に出ていますが攻略者というのは未知との戦いが常です。その中に飛び込むには勇気だけでなく、力も必要です。その力をつけることができれば攻略者になるための一歩を踏み出せるでしょう。佐藤さんご回答ありがとうございます。それでは次は……緑のジャケットを着ていらっしゃるそちらのお兄さん、質問をどうぞ』


緑ジャケット兄さん『ダンジョンを取り巻く世界情勢についての質問です。佐藤さんのおっしゃる通り、世界全土でダンジョン攻略が活性化しています。それに伴い、高レベルのダンジョンから今まではなかなかお目にかかれなかったものでも見つかるようになっていると思います。ですが、例えば『奇跡保管装飾品』みたいなダンジョン外でもダンジョンの力が使えるようなものが増えると、治安悪化や法整備不足が懸念されるのではないでしょうか。』


佐藤『おっしゃる通りですわ。ダンジョンで得られる力というのは、常識を超えるものばかりです。追加ステータス、攻撃スキル、そしてそれらをダンジョン外でも使用可能にする諸々のアイテム。未だ研究の段階ですが、いずれ謎を解明すればそういった事態は未然に防ぐことは可能だと思います。わたくしはダンジョン攻略を進めるとともに、ダンジョンの謎を詳らかにしていく責務を果たすつもりですわ。もちろん、その懸念自体は正しく、何も手を打たないと日本に限らず世界中で事件が起こるのも事実です。ですので、法整備や治安維持のための組織設立、警察との協力など、積極的に進めてまいりますわ。』


緑ジャケット兄さん『でも、場当たり的な対応だけではいずれ限界は来るのではないでしょうか。』


佐藤『その視点から見ればそうでしょう。しかしかといってほかの手立てが少ないのも事実です。ダンジョンの封鎖やドロップアイテムの破壊を促してくる方もいらっしゃいますが、それではいずれ別の大きな力に飲み込まれてしまう……。今は問題の根本解決を狙いながら、ダンジョンの解明を進め、それまで場当たり的な対応でしのぐしかないというのが本音です。物事の良い点と悪い点の両面を考慮し、JPDCの考える最善策にわたくしは尽くしてまいりますわ』


鹿井『佐藤さんありがとうございます。ダンジョンと犯罪は切っても切れない関係なのは事実です。しかしダンジョンには多くのお宝が眠っています。そのお宝自体の使い方でも良い悪いは変わることも皆様にも知っておいてほしいですね。』


~(中略)~


鹿井『それでは次を最後の質問といたしましょう。最後は、そちらのハンマーのような武器を持っている攻略者さんの隣の小さな男の子です。質問をどうぞ』


男の子『つよいひとはどんなひとですか』


鹿井『幼いですが、なかなか鋭い質問をしますね。それでは佐藤さんご回答お願いいたします。』


佐藤『うーん、これは難しい質問ですわね。あなたの言う強い人がどのような人かによると思いますわ。例えばその強い人がわたくしであれば、『常に努力を怠らず、常に強くなり続ける人』ですし、JPDC副委員長であれば『天性の才能とダンジョンで得たスキルを高い次元でシンクロさせて戦闘能力へと昇華する人』となりますわ。強い人は皆同じ理由によって強いわけではありませんのよ。』


男の子『じゃあにーるせんってひとだとどうですか』


佐藤『あー、えーと。っわたくしもニールセンさんのことを良く知ってはいないのですが、わたくしが思うに『運命さえも変えてしまうような強運の持ち主』だと思いますわ。ダンジョン出現後わずか1年半ほどでダンジョンレベル100を攻略したという話が有名ですが、もしそれが事実であれば、ダンジョンレベル30で手をこまねいているわたくしたちを一蹴するような何かがあるはずですの。わたくしは運、もしくはそれに紐づく何かだと思いますわ。』


鹿井『ニールセンさんの偉業は世界でも突出していますからね。未だ事実確認の取れていない事も多いです。しかしそれでも、それまでの研究を覆すものや裏付けるものなど、私たちに残していったものも本当に多いですからね。今は『異世界への道標』というダンジョンを攻略中らしいですが、もしかしたら君が大きくなるころにはまたニールセンさんに会えるかもしれませんね』


~(中略)~


鹿井『それではお時間となりましたので、本日のダンジョンイベントは以上とさせていただきます。皆様お集まりいただきありがとうございました。お気をつけてお帰りください。佐藤さんも最後に何かあれば。』


佐藤『それでは一言だけ。わたくしたちJPDCはこれからもダンジョン攻略を推進し、日本の将来を明るくするために活動を続けてまいります。相互共栄を目指し、ダンジョンに関わる方も関わらない方も、日本の発展に貢献していきましょう。以上、わたくし佐藤美咲でした。ごきげんよう、皆さま。』

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