表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/66

24 ダンジョンクリアとダンジョンイベント

『グリーンロック』が消え、代わりに拳くらいの大きさの綺麗な緑色の岩がドロップする。『魔物の装備品』ドロップの『緑岩』だ。表面はごつごつとしており、ぱっと見、緑色に塗られた岩にしか見えないが、れっきとしてダンジョン産のドロップアイテムである。このくらいの見た目と形なら7,000円程度で売れるだろうか。

『緑岩』のような色岩シリーズは色や大きさ、形によって値段が大きく変わるタイプのドロップ品である。噂ではほとんど球体でサッカーボールくらいの大きさの『緑岩』が1,000万円超えで売れたことがあるそうだ。そのため、ダンジョンボスではなく、一般の魔物として『グリーンロック』が出現することあるダンジョンでは、日夜多くの攻略者が一獲千金を求めてダンジョンにこもっているらしい。


 閑話休題。


「へぇ、やるじゃん!もう『すとろんぐあーむ』の使い方が分かったんだ?」


 ドロップ品と大金槌を拾い、色々な角度から『緑岩』を眺めているとステアが話しかけてくる。いつもより声が上擦っており、どころなく喜色満面な雰囲気を感じる。


「そもそも『すとろんぐあーむ』含めて特殊スキルの存在自体いまだによくわかっていないけどな。でも俺は研究者じゃない、攻略者だ。だから、『手を使用する行動なら常識を多少逸脱したことでも実現できる』の情報さえあれば、あれくらい朝飯前だ」


 少々得意げに自分なりの分析を語る。特殊スキルは名前で効果を判断してはいけないというのはこれまでの経験則でなんとなくつかんでいる。ただ細かいところまではどうしても解析できない。だからそうなる理由よりも、何をすればどんなことが起こるのかといった経緯の方を把握すべきなのだ。


「ふぅん、なるほどね。ま、その調子で頑張りなよ」


「なんだ、素直に応援してくれるなんて優しいな」


「はあ?原理も解明できない自称知識人って呼んだ方がいいのぉ?別に、それでもいいんだよ?」


「すみませんでした」


 調子乗ってすみませんでした。だから急に刺してくるのやめてください。あまりに攻撃への切り替えが早すぎて口が勝手に誤ってしまった。だというのに謝意も含まぬ謝罪の言葉で、ステアからの圧が減ったような気がする。

 付き合いがまだ浅いせいでどう接していいかまだまだ手探りだな。あまり気が置けない自然体で話せるけど。ってそういえばなんで俺こんなに気を許しているんだろう?だってステアは一昨日に出会ったばかりで――


「……あ、それとステータス確認しておいたらいいよ。きっと君にとってうれしいことが起こっているよ」


 何かに気づきそうになっていると、ステアにそう促された。俺は急いでステータスオープンと叫び、ステータスカードを呼び出す。ダンジョン脱出までの時間が迫る中、大事そうなところ以外は読み飛ばしながらカードの内容を確認する。


 ===============

 なまえ:小野寺太郎丸おのでらたろうまる

 とし:16

 しゅ:ひと

 ーーーーーーーーーーーーーーー

 ついかこうげきりょく:261(+9)

 ついかぼうぎょりょく:240(+6)

 まなりょう:153(+5)

 ついかいどうそくど:207(+5)

 ついかまほうこうげきりょく:196(+7)

 ついかまほうぼうぎょりょく:319(+10)

 ーーーーーーーーーーーーーーー

 ふれいるすいんぐ

 ついかこうげきりょく1.1ばい

 ついかぼうぎょりょく1.1ばい

 ーーーーーーーーーーーーーーー

 あじゃすとうぉーく

 わーどらんげーじ

 すとろんぐあーむ

 すてあさーち

 ーーーーーーーーーーーーーーー

 さいだいだんじょんれべる:4

 だんじょんこうりゃくりれき:『すみよしだんじょん(4):6かい』

『すみよしだんじょん(4):5かい』

『こくらえきまえだんじょん(3):4かい』

『こくらえきまえだんじょん(3):5かい』

『ここのえだいがくあとちだんじょん(2):5かい』

 ーーーーーーーーーーーーーーー

 ===============


「おおお!『ついかぼうぎょりょく1.1ばい』があるじゃん!全然気づかなかったなあ。でも、またしても倍率のステータスアップ系のスキルは嬉しいなあ」


『ついかこうげきりょく1.1ばい』に続いて2つ目のパッシブスキルだ。いずれも追加ステータスの上昇量は25程度ではあるが、これからまだまだ伸びると考えるとニヤニヤが止まらない。でも俺が知らないようなことまで一体いつ把握しているのだろうか。


「ちなみに手に入ったのは今回の攻略で『ゴブリンに殴られた瞬間』だよ。おめでと」


「はっ?ちょっ、まっ」


 なんて思っていると、ステアが最後にとんでもない発言を投下する。急いで聞き返そうとするが、辺りすぐに暗転する。ダンジョン脱出が始まったのだ。暗闇の中ではステアの本体である矢印も見えず、そもそも触れることができないので居るのかすらわからなくなってしまう。


「おいおい、冗談じゃないぞ。やっぱりステアはでかい何かを隠しているな」


 手で額を抑え、思わず笑みをこぼしてしまう。


「今度会ったら問いたださないとな。何をどこまで知っているのか」


 とはいえそれは後日、日を改めて行うことにする。今日はもうダンジョンに潜る予定はないからだ。

 今日この後の予定を思い出しつつ、今回は住吉ダンジョンを攻略という形で脱出するのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 脱出すると、施設には攻略者の姿はなかった。それもそうだろう。まだダンジョンに入場できるようになってから1時間ほどしか経っていない。俺みたいに特殊な事情でなければ『脱出のスクロース』でも使わない限り、脱出用の施設にいる攻略者はいないだろう。まあ、前日からダンジョン攻略しているなら話は変わってきそうだけどな。


 静かな施設を横断しながら受付に向かい、『緑岩』の換金とデバイスの返却を行う。受付のお姉さんは操作する端末のモニターを見て一瞬びっくりした表情をするも、すぐに『緑岩』の査定を始めた。一番乗りなので発券の必要もなく、悠々と待っていると、すぐに受付に呼び出される。


「こちら10,000円でいかがでしょうか」


「それでお願いします」


 予想よりも高値で『緑岩』が売れた。鉱物系のドロップ品の目利きは苦手なのだが、今回はいい方向に転がったようだ。諭吉1枚を受け取り、ウハウハで住吉ダンジョンを後にする。そのまま近くのファミリーレストランへ入り、少しだけブルジョワなご飯を食べる。時刻は9時前なので、少し早めの昼飯だ。


 ハンバーグに舌鼓を打ちつつ、この後の予定を確認する。

 今日この後の予定というと、『博多ダンジョン』近くの特設ステージで開催されるダンジョンイベントだ。


 今回のダンイベ(ダンジョンイベント)ではJPDCのトップが直々に今回の博多ダンジョン攻略に関する解説や情報公開をすると発表があったのだ。4/1に日本有数の攻略者たちが大勢に見送られながらダンジョンへの扉をくぐったのは記憶に新しい。その時、博多周辺に溢れんばかりの人が集っていたことも覚えている。そんな場所でまたダンジョンに関する一大イベントがあるのだ。


「行くしかないよな。前回は住吉ダンジョン攻略のために泣く泣く諦めたけど、今日はもう攻略が終わっているから気負いなく楽しめるな」


 食事を終え、会計を済ませたらいよいよ博多ダンジョンへと向かう。大通りに出ると、すでにたくさんの人が同じ方向に歩いており、皆まで言わなくても同じ目的を持っているのだと理解する。


 少し動かす足を速めつつ、道行く人を躱しながら、俺も目的地に向かって進んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ