晴美ルート53
二日目。
私は六年生の教室で目を覚ます。
「……」
正確に言うとほとんど眠れませんでした、はい。
ただ目を閉じていただけのようにも思える。
それもこれもーー
「すー、すー」
私に抱きついてぐっすりの晴美さんのせいだ!
「はー。ずるいよ美少女め」
スマホを手に取る。
まだ朝の六時。
いつもなら起きて瀬名さんと一緒に寮の仕事をしてるけど、今日はそれがないしどうしようか。
この状態だと二度寝もできそうにない。
左腕に柔らかくて温かい感触を意識してしまって眠れるわけがない。
とりあえず抜け出すか。
布団を捲る。
確実に腕を抱き締められている。
片腕なのに力強いし。
「晴美さん、起きてね〜」
小さく声をかけてゆっくりと腕を抜いていく。
身体を揺すろうとも思ったけど、ぐっすりと眠ってる晴美さんを起こしたくない。
よし。
なんとか抜け出せた。
とりあえず着替えよう。
荷物から二日目の服を取り出して着替える。
そして昨日着ていた洋服は持ってきたレジ袋に入れて持ち帰ろう。
晴美さんの分もついでに畳んで入れて置く。
そのまま今日の分の晴美さんの着替えも準備。
「ふう」
便所行こう。
だって晴美さんがずっと抱きついてるから行けなかったんだもん。
ゆっくりと扉を開けてトイレに向かう。
トイレについては恥ずかしいので割愛。
「ふう」
漏らさずに間に合った〜。
それに溜め込んだ分、凄い量が出てスッキリした。
「おはようございます、羽澄様」
「うひゃ!?」
六年生の教室に戻ろうとしたらいきなり声をかけられてびっくりする。
「お、おはようございます。相変わらず足音しないんですね」
振り返ると私たちの担当をしているスタッフさんが私に明るく微笑む。
「まだお早い時間ですので。眠っている方々を起こさないための配慮です」
そうですか。
絶対に忍者だよこの人。
「羽澄さんは今回ご参加は初めてでいらっしゃいますよね?」
「え? はい」
「でしたら朝食は七時より体育館でご用意しておりますので。それと洗濯物がありましたら教室前にカゴを置いておきますので、そこに入れていただければ私どもがクリーニングに出しておきます。もちろん料金はこちらが負担いたしますのでお気になさらず」
「……ホテルですかここは」
「ふふっ。昨夜もお話ししましたが、ここは普段はホテルですので」
そうでした。
それにしてもサービス良いな。
今度は本当のお客さんで来てみたいかも。
「では私は仕事がありますのでこれで」
「はい。じゃあ後で体育館に伺わせていただきますね」
スタッフの女性が一礼して去っていく。
私はまだ晴美さんが眠る六年生の教室へ戻った。




