帰還
短いですがキリが良いので投稿
……マ……ター……。
……マスター。
何者かの声に目を覚ますと、勢揃いで俺を覗き込んでいた。
「マスターっ!! 良かったっす!!」
「あぁ……ただいま、ホシコ」
「お帰りなさいっす!!」
「大丈夫なのですか? 変態」
「御無事ですかタイシ殿」
「「「タイシッタイシッ」」」
プルンッ
「ギャアゥ……」
「キャシー、お前も無事だったか。良かった」
チュッ……
「ヘっ?」
え、ええっ!? ききき、キスしちゃったよ。いや、されちゃったよっ!!
凄く自然に、恋人とするみたいにチュッって!! 今までキャシーには体中の色んな部分に噛み付かれたり舐め回されたりしてきたけど、こんなに優しく可愛らしくお唇にチュッなんて初めてだよーーっ!! わーーっ!!
トキメキがパラダイスだよーーわーーっ!!
「け、汚らわしいですわっ!! 帰ってきて早々にキ、キッスなどっ!!」
「お嬢様、ここは大目に」
「き、キャシーずるいっすよ……」
「「「タイシ、ワタシモッ」」」
という感じで一騒動あった後、ノーブル・ミミックの中で何があったのか、キャシーの死に関係する情報と一緒に全員へ説明をした。
「そんな事が……つまり、そのガイルと言う魔術師が罰すべき者なのですね」
「そんな感じだ。ノーブル・ミミックの話によると相当悪質な人物らしいしな。成敗しに行くのか?」
「ええ、そのような人物を野放しにしてはおけませんわ」
「ただ魔術師としての実力も相当なものらしいぞ」
「私も無謀に命を投げ出すようなことは致しませんわ。その者を打ち倒すべく力を備えようと思います。その際には貴方にも……」
「今は何よりタイシ殿の御安静を、ですぞ、お嬢様」
「そうですわね。これで貴方への疑いも晴れましたわ。変態には変わりありませんが、御苦労様でした」
「ああ。ところで、キャシーは何で俺の元へ来たんだ?」
「キャシーが急に飛び出して行っちゃったっすよ。止めようと思ったっすけど、すごい必死だったっすから」
「躊躇なく宝箱へ飛び込んで行きましたわよね」
「そうですな。いきなりのことで驚きましたぞ」
「そうか……キャシー、ありがとう」
未だ俺に抱き着いているキャシーの頭を撫でる。
何だかキャシーの人間らしさが増したような気がするな。それに合わせて可愛らしさも増量中だ。
……と、そう言えばノーブル・ミミックが話があるって言ってたな。
みんなに気を取られてうっかりしてた。
今は門より少し離れた位置にいるので一応しっかり罠が解除されているのか確認した後、門を潜って中央の宝箱に近付いて行く。
この状態だと完全に宝箱なのだが、話せるのか?
「おい、ノーブル・ミミック。聞こえるか? 俺だ」
「遅い。忘れられたのかと思ったぞ……グスン」
蓋部分に飾られている白い仮面のような物から声が聞こえる。あっちとこっちを繋ぐ通信機のような物かな?
にしても、ちょっと落ち込み気味ですね。なんか可愛らしい。
「ご、ごめん。何でも言うこと聞くから、許して」
「分かった。では我をお主の配下に加えてくれ」
「お? な、なんで?」
「お主には借りが出来た。それに、あんなに心が触れ合うような距離で相対した男はお主が初めてだ。我もこう見えて性別は雌……いや、とにかくお主の力になりたいのだ」
「そ、そうか。まぁ断る理由もないし……ウェルカムだ、ノーブル・ミミック」
「か、感謝する。我はアイテムの保管に関しては一流だと自負しているからな。存分に使ってくれ。容量はその辺の収納系アイテムの比ではないぞ。ダントツだ」
「うん。頼りにさせてもらうよ」
「で、では我が主よ、この身を主の為に捧げることを此処に誓う。しかし、これは強制的な契約などではない、我の心からの約束だ」
「その気持ち、ちゃんと受け取ったよ。これからよろしくな」
「我が主よ……」
にしてもノーブル・ミミックって長いし種族名みたいなものだし、新しく愛称を考えた方が良いかな?
……ノルミとか如何かな?
「どうかな?」
「主の望むままに」
「じゃあ、これからはノルミって呼ぶから」
「ああ、親しみが感じられて良い名だ」
「凄いっすマスター。また仲間が増えたっすね」
「「「タイシ、モテモテ」」」
プルンッ
「ギャア……」
「……主の周りにはライバルが多いな」
その後ノルミを何とか洞窟の外へ運びだし、セラたちの収納袋に入っていたロープをノルミに括り付けてハーピー三姉妹に宿まで運んでもらった。
ノルミの体から出てきた無数の伸びる腕は魔術師が仕組んだもので、既に解除されていた。そのため自力での移動も困難。戦力としても数えられないが、据え置き型の保管庫としては抜群の性能を誇るので嬉しい収穫には違いない。
セラとセバスチャンとは分かれたが、暫くこの街を拠点にするみたいだ。
さてと、ノルミはベッドの近くに設置して。
今日はもう疲れたから寝よう。




