街
あれから数日経ち、イーピーたちもだいぶ聞き分けが良くなったので今日は街に戻ることにした。
「よし、準備はオッケーだな。みんなも大丈夫か?」
「問題ないっす」
プルンッ
「ギャアッ」
「「「ダイジョブ」」」
「良いみたいだな。それじゃあ出発っ!!」
魔物を軽くあしらいながら洞窟を出て街に向かい歩き出す。
この辺りの魔物じゃレベルは全然上がらなくなってしまった。イーピーたちもいることだし今度からは違う場所に行って腕試ししてみるのも良いな。
もうすぐで街に到着だ。
……初めて来たときの門番さんが立っているのが見える。
「おわっ!! お前いつの間にハーピー三体も手に入れたんだ!? この前出て行ってから何日も戻ってこないと思っていたが……」
「この数日間で手懐けてきました。安全は保障します」
「そうか、しかしまあ一応確認は取らせてもらうぞ」
「はい。お願いします」
門番さんにイーピーたちが街に入っても大丈夫なのか、触れたり俺の指示を聞くか試したりして確認してもらった。
「うん、問題ないようだ。しかしお前も中々の腕を持っているようだな」
「まあ忍耐力には自信ありますから」
「忍耐力でどうにかなるもんなのかねぇ。ま、通って良いぞ」
「ありがとうございます」
通行料を払って街に入る。
この街の住民となれば通行料は免除されるらしいが、この先どうなるか分からないので今は保留している。住居を購入する資金もないしな。
キャシーは俺の赤いマントを羽織って俺に抱き着かず歩いている。露出狂の彼女も俺の付けていたマントなら何とか我慢してくれるようだ。離れて歩くことにも前より不満は抱いてない様子。
偉いぞキャシー。これから街で動くときはこのスタイルでいこう。
取り敢えず宿に行くか……ん? まてまて、すっかり忘れていた。ハングリー・ウルフの討伐依頼受けたまんま報告してないわ。期限とか過ぎてないかな。
「これが報酬になります」
「ありがとうございます」
ふー良かった。今日がギリギリ期限の締切だったみたいで報酬と依頼達成状況の更新が出来た。
しかし何だか前にも増して周りの視線を感じる。別にハーピー連れているぐらいなら魔物使いとしては珍しいってこともないと思うが……こんなにゾロゾロ引き連れているのが目立つのか? ホシコは魔物じゃないので除外するとして、スーラ、キャシー、イーピー、ニーピー、サーピー合わせて五体か。初心者にしては多いかもな。世話とか諸々の費用とか掛るし。
大丈夫だと思っていたが……少し心配になってきたな。
宿は魔物も入れて広さもそれなりに確保できる場所じゃないといけないから前のお手頃な宿よりワンランク上げないと駄目だし、けどイーピーたちの食費はスーラと同じく魔物で補えば実質タダだし、いざとなれば洞窟暮らしとかで宿代節約も可能。みんな俺の言うことは大体聞いてくれるし……問題ないな。万事オッケー。
「おう、タイシじゃないか。随分久しぶりな気がするな」
「あ、ベンさん。数日の間少し街を離れてたんです」
「そうか。で、もしかしてそのハーピーは例の奴らか?」
「そうです。すみません、せっかく注意して頂いたのに。けど興味があって」
「いや、どうするか決めるのは個人の自由だ。それにしっかり躾もされているみたいだしタイシには冒険者としても魔物使いとしても才能があるかもな」
「いや、そんな。まだまだ運が良いだけかもしれないですし」
「タイシは謙虚だな。ま、余り無茶はするなよ」
「はい」
ベンさんは軽く話をした後にパーティーの方と依頼に出掛けて行った。
相変わらず大きかったな。
そして、俺たちはマンドラゴラ用の鉢植えを買いに行くついでにイーピーたちから貰った物で使わなそうな鉱石や武具、それと幾つか紛れていた魔物の骨や牙などを売った。
貰いものなので一応イーピーたちに売って良いか確認はしたが、好きにして良いとのことだったので遠慮なく生活費の足しに変わってもらった。
「案外高く売れたな」
締めて2800G。
俺の計算だとこの先、食費やら宿代やらその他諸々も含めて一日平均400Gあれば俺たち全員が余裕を持って暮らせるぐらいかなと予想が出ているので、2800Gあれば一週間は安泰だと言う感じか。
それに加えて依頼報酬の300Gと、倒して収納袋に入れておいた魔物を売った分が1200G。そして元の所持金600Gを合計すると4900G。一般人からすれば中々の大金だ。
これだけあれば大丈夫そうだし、イーピーたちから貰った中で性能が良さそうだったけれど壊れていた鎧や武器を修理に出すのも良いかな。性能も良く高価な物は同じ値段の物を買うより修理したほうが安上がりだろう。
と言うことで早速修理に出そうとしたが修理だけで5000Gも掛かるらしいので今回は止めておいた。特に急ぎ必要って訳でもないし、もっと出世してからにしよう。
鉢植えは安かったのでノーマルな物を購入。栄養素のある土と魔力の含まれた水、魔力水も合わせて購入。
そして今は、前より広くて魔物も立ち入りOKな宿を見つけて部屋に案内されたところだ。嬉しいことに防音系の魔術が施された壁なので騒いでも問題ないらしい。
「おー広いし綺麗だな」
「落ち着くっす」
「ギャアッ」
「「「フカフカッフカフカッ」」」
プルルンッ
みんな思い思いに満喫している。
ハーピー三姉妹は静かに大人しくしているのに疲れていたのかここぞとばかりに騒ぎだし、ホシコとスーラはイスに座ってマッタリしている。キャシーはマントを脱ぎ捨て俺に抱き着いてきた。
「さて、まずはマンドラゴラを植えてみるか」
空いている台の上に鉢植えを置き土を詰める。そして真ん中に種を植えて魔力水をかけておいた。後は毎日魔力水をあげていれば自然と育ってくれるはず。
「元気に育ってくれよー」
その後は余った時間部屋でくつろぎ、夕飯を食べ、俺とハーピー三姉妹とキャシーの五人で風呂に入り全員の体を隅々までくまなく綺麗にしてあげた。大変だったが、それ以上のものを貰った。
さてと、明日からも頑張るか。
今のとこ金に不自由は無さそうだが、ここで終わるのも勿体無い。もっと強くなって金も稼いで色んな魔物を仲間にして、新たな人生をこれでもかってぐらいに華やかなものにしたい。
前が逆に沈みきった人生だったせいで欲望が無尽蔵に湧き出てきてしまっているようだ。
ベンさんに言われたように無茶しないよう気を付けないとな。下手にチートがあるせいか積極的になり過ぎている節もあるし。
「ま、今日はもう寝るか。みんな、お休み」




