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生活

 洞窟の住人が居ない部屋を使わせてもらいながら生活を始めて既に三日が経過した。


 ハーピーたちは幼稚な性格ではあるものの、こちらがしっかりと時間を掛けて根気よく丁寧に教えれば物事を何とか理解してくれるようだ。

 ホシコやキャシー、スーラなどと一緒に居ても大した問題なく過ごせるようになったし力を抑えることも多少学んでくれた。首尾良く進んでいる。

 これなら街に連れて行っても被害を出さずにいられるだろう。


 ただし、万全を図ってもう数日はここに居ようと思う。


 「ソト、イコッ」

 「アソブッアソブッ」

 「タイシ、オネガイ」


 ハーピーたちが甘えながらおねだり攻撃を仕掛けてきた。

 洞窟内は窮屈なので定期的に外で飛び回らせてあげないとストレスが溜まるからな、俺やホシコたちも日光を浴びにハーピーたちと一緒に外へ出る。


 「よし、じゃあみんなで外行くか」

 「ヤッタヤッタ」


 俺とホシコとスーラはレベルが8に上がっていてハーピーたちは出会った段階で既にレベル15だった。

 なので実際この辺の魔物はもう全然脅威ではない。移動も楽々だ。


 ちなみにハーピー三姉妹は髪ボサボサを『イーピー』、外ハネを『ニーピー』、内向きを『サーピー』と名付けた。凄く安直だと自分でも思うが余り凝ってもややこしくなるからな。







 「あぁーー気持ちぃーー」


 爽快感が抜群だ。


 今俺はイーピーの足を手で持ちながら空を飛んでいる。風を感じる余裕ができるほどには飛ぶことにも慣れた。

 イーピーもそれなりに危なくないよう配慮した飛びかたをしてくれているしな。

 ニーピー、サーピーも一緒だ。


 ホシコ、キャシー、スーラは万が一落ちたら危険なので地上で日光浴タイムに興じてもらっている。

 ホシコはテレキネシスという能力で自分や他の物体を浮かせたり動かしたり出来るようなので一緒に飛べないこともないが、魔術同様に魔力を消費するので多用は出来ないということだった。


 「タイシ、キモチイ?」

 「ああ、清々しい気分だ」

 「ヨカッタ、キャハハッ」


 風の流れを全身で感じ、自然の香りを目一杯吸い込む。

 日の光を浴びて仲間と過ごす時間。


 ――こんな生活も悪くないな。


 引きこもって家という安全な自分の殻の中、小さな世界でネットしたりアニメ見たりネトゲしたりしていた転生前の俺からは全く想像できない程の進歩だ。

 こんなにも広い空を飛びまわってるんだからな。

 体の底から“生きてる”って実感が湧いてくる。


 まだまだ新しい人生は始まったばかりだけど、前の気力が無くて始める前から恐れて色んな事から逃げてきたしょうもない俺が送ってきたしょっぼい人生とは明らかに違う。

 俺でもやれば出来るんだ。ま、チートのおかげでもありますが。







 一頻り外の空気を満喫した後、洞窟に戻り夕食を食べた。

 ハーピー三姉妹は折り重なるようになって少し早いお休みタイムに入っている。綺麗系の見た目とは裏腹な可愛らしさがギャップ萌えだ。


 「ホシコ、スーラも寝るか? だったら明かり消すが」

 「マスターはどうするっすか?」

 「俺はイーピーたちから貰ったものを収納袋に入れたまんま忘れてたから、何があるか確認しておこうかなと」

 「ならホシコも付き合うっす」

 「いいのか? 眠いなら遠慮しなくて良いぞ」

 「大丈夫っす。それにホシコもイーピーたちの宝が何なのか気になるっす」

 「そうか、じゃあ一緒に見よう。ただスーラとキャシーは眠たそうだから明かりは小さくしとこうか」


 キャシーは俺の膝枕で眠っている。甘えん坊さんだな。


 魔術によって明かりを調節できる電気のような魔道具の明かりを最小限にして、収納袋の中から品々を取り出していく。


 「さてさて、何があるかな……お、これは鉱石が何種類かあるな。それなりに高く売れそうだな」

 「こっちは壊れたり汚れた武器や防具っすね。使えるっすか?」

 「修理すれば問題ないかな。だけど安そうなのは売っちゃったほうが良いだろう。ボロいから普通のより安くなっちゃうけど修理するのも微妙だし」

 「ん、これは……種っすか?」

 「そうみたいだな、どれどれ……これは、もしかしてマンドラゴラの種じゃないか?」


 緑色した大きめの種。形状も記憶にあるものと同じようだし、たぶんそうだ。


 「“マンドラゴラ”っすか?」

 「ああ、錬金素材とか薬に使われる植物系の魔物のことだ。市場に流通してるのは扱いやすいように品種改良されたものなんだけど、これはオリジナルの種かもしれない」

 「オリジナルだと何が違うっすか?」

 「品種改良されたマンドラゴラは成長して土から出た途端に悲鳴を上げて絶命してしまう。オリジナルは土から出ても死なない。そんなとこだな」

 「な、なるほど。マスターは物知りっすね」

 「まぁ少しだけな」


 実際ネトゲ時代に培った知識しかないし、それも全体から見ると大して多くないしな。

 この世界に来てから気付いたこと学んだこともたくさんある。


 しかし、本当にオリジナルだったら良いな。自然のマンドラゴラの数は少ないって設定だったはずだし、生きた状態ならレア魔物ってことになるし……育ててみるか。

 街に戻ったら鉢植えを買おう。


 これで大体確かめ終わったかな? あとは骨とか普通の果実とか、そんなんばっかだし。







 それから眠くなるまで少しホシコと会話した。ホシコもこの世界で毎日新鮮な気分を味わっていると満足そうだった。


 「そろそろ俺たちも寝るか」

 「そうっすね」


 スーラの寝ているベッドにキャシーを寝かせ、俺とホシコも潜り込む。狭いが、ベッド一つしかないし仕方ない。


 あったけー。



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