二話04 ゴーレムは突然に
崩れ落ちた坑道の奥。瓦礫の隙間に身体を沈め、ネイディーンは荒れた息を整えていた。
「大丈夫、無事です!」
ネイディーンは立ち上がり、声を張る。
少し離れた場所、ランタンを掲げるサーラがそれを聞いて頷く。
「気をつけて、何かいる!」
ゴオッ!!
警告とほぼ同時、壁の上から灼熱の炎が吹き出した。
「奥にも、何か…!」
二人は背中を合わせ、四方へ視線を走らせた。
じりじりと頬を焼く熱風。
坑道の中とは思えないほど暑い。
その暗がりから、ぼうっと赤い光が浮かび上がる。
ズン…。
赤く鈍く光る巨体。
フレイムゴーレム。
灼熱の魔力によって形作られた、二メートルを越える魔法生物だった。
ズン…ズン…。
一歩踏み出す度、足元の岩肌に炎の跡が残る。
「危険です! 下がって!!」
ネイディーンが叫ぶ。
その直後。
グオオオオオッ!!
背後から別の咆哮。
「後ろだ、こっちにもいる!」
サーラがネイディーンの腕を掴み、そのまま崩れかけた岩壁の陰へ飛び込んだ。
直後、ゴーレムの両腕が真上から振り下ろされる!
ドン!!!!!
坑道全体が揺れた。
岩盤が砕け、破片がばらばらと降り注ぐ。
天井から細かな砂が落ち始めた。
「うおっ! いててて…!」
床に伏せたままサーラが叫ぶ。
サーラ「ネイディーンさんこっちだ!早く!」
ドーン!!!
フレイムゴーレムが崩した瓦礫によって空洞への入り口は完全に塞がれた。
「おい!サーラ大丈夫か!?」
駆けつけるジオが声をかける。
「気にするな、そっちにもいるぞ!いだっ!気を付けろ!」
ズドーン!ガラガラ!!
フレイムゴーレムの燃え盛る右ストレートが背後からジオに襲い掛かる。
バフッ!
次の瞬間、攻撃力強化魔法と魔法耐性強化魔法の光がジオとホシミを包み込んだ。
「サーラか?助かる!?」
ジオはそのままゴーレムの拳に自分の拳を合わせ強引に腕を振り抜いた。
ズガーンッッッ!!
フレイムゴーレムは、振り下ろした腕を弾かれるが、すぐさま態勢を立て直し、両腕を振り上げる。
「ち、効かねぇ。」
横目でホシミの目の前に2体のフレイムゴーレムを確認。
「ファイアボール!」
フレイムゴーレムの頭を軽く小突いた程度の威力。
バシュッポウッ、プスプス。
「またか。」
ジオは、咄嗟にフレイムゴーレムと魔杖を構えたホシミの間に割って入った、までは良かったが、態勢を崩し、フレイムゴーレムのパンチをもろに顔面に受けてしまう。
何とか踏みとどまったジオだが、口内を切ったのか、溜まった血を吐き出した。
「…ホシミ、泣くんじゃねえぞ!」
「え???」
そう言うと、ジオは困惑するホシミを片手で担ぎ上げ、廃坑の奥へと駆け出した!
逆さまに仰向けで持ち上げられ、ホシミはわたわたと運ばれる。
「ええええ!?逆さま!逆さま!目がまわる!!」




