第9話 初めてのひとり旅
中学生の時、私は初めて
『ひとり旅』
を経験した。
交通機関を乗り継いで行く旅で、
「道を間違えたらどうしよう」
と緊張しながらも、
「一度親元を離れてみたい」
という気持ちが勝っていた。
行き先は、祖父の弟が営む牧場。そこで1週間ほど、動物たちのお世話をすることになった。
牧場に着くと、久しぶりにお人形さんみたいなはとこと再会した。
けれど、向こうは私のことを覚えていなかったのか、どこか素っ気ない態度だった。
同じ時期に、はとこの『いとこ』も牧場の手伝いに来ていて、そのいとこには、愛想よく接したり、自宅に招いたりしていたから、私の時とは、まるで大違いだった。
さらに、はとこのお母さんも、私がひとり旅で来た途端、手のひらを返したように、こう言ってきた。
「ひとり旅なんだから、誰かに甘えずに、何でも自分でやりなさい」と。
以前は優しく話を聞いてくれてたのに、この時はほとんど構ってもらえず、私は寂しさを抱えたまま過ごした。家族の愚痴をこぼしても、
「私も子どもの頃は、我慢してきたんだから、修行だと思え」
と、まるで決まり文句のように返されるだけだった。
祖父の弟からも、心ない言葉を浴びせられた。
「俺は、本業を休んでまで来てるんだ。お前が来なければ、休まなくて済んだ」
「お前は、血遅れに近い状態だ」
と、まるで私を厄介払いするような言葉ばかりで、私はただ、傷つくしかなかった。
滞在中の部屋には扉もなく、自分だけの空間もなかった。
その環境を見た瞬間、
「あぁ、私は歓迎されていなかったんだ」
と悟った。
その旅を最後に私は、はとこのお母さんに連絡するのを辞めた。
あれほど頼りにしていた存在だったのに、気づけば疎遠になっていたのでした。




