第47話 裁判所からの通知と、また突きつけられた理不尽
裁判離婚の申し立てをしてから1ヶ月が経った頃、裁判所から裁判離婚をするに当たっての通知が届いた。
和馬と最後に一緒に住んでた住所には、すでにあいつはいないらしく、郵便物は返送されていた。
住民票の記載が実家になってるから、実家にも送ったらしいが、それも保管期限切れで返送されたとのこと。
裁判所は
『特別送達をしている』
と書いていた。
けど、それすら返送された場合、
『私に居住調査をしろ』
と記載されていた。
「居住調査って簡単に言うけどさ、前に
『調査しても意味がない理由』
をちゃんと説明したよね? あの時、あなたたち、私の話ちゃんと聞いてた?」
なんだか、また
「泣き寝入りしろ」
って言われてるような感覚だったし、胸の奥が一気に熱くなった。
怒りと呆れが混ざったような、あの独特な感覚。
さらに、追い打ちをかけるように、
「追加の郵便切手代として、4000円負担しろ」
とまで書かれていた。
「私あの時、すでに2万近く負担したのに、どうしてまた、私だけが、払わないといけないんだ!」
理不尽の上に、理不尽を重ねられているようだった。
今年の初めに、裁判離婚の申し立てをした時のことを思い出す。
最初は
「証拠説明書はいりません」
と言われた。
だから、そのつもりでいたのに、後日、電話で
「証拠説明書が必要です」
と言われ、
「申し立てした際、『いりません』って言われました。言ってたことと違うじゃないですか?」
そう伝えても、
「こればかりは、提出していただかないといけません」
「手書きでいいので、提出したものをまとめてください」
と、結局、私に大きな手間だけが押しつけられた。
しかも、この時の私は、前回の件もあって、
「このまま舐められてたまるもんか!」
そんな気持ちでいっぱいだった。
さらに、相手と住んでた場所が遠方であることを伝えた時、
「あなたの状況を配慮します」
と、裁判書記官は言ってくれた。
「この人なら、ちゃんと分かってくれるかも」
そう思ったのに、今回届いた通知には、その配慮の欠片もなかった。
「じゃあ、あの時の言葉は何だったの?」
「本当に人の話、ちゃんと聞いてた?」
胸の奥に、またひとつ、モヤモヤが積もっていく。
だから私は、口で説明するのではなく、文章にして伝えることにした。
「口だと伝わらないのかもしれない」
「文章なら残るし、冷静に伝えられる」
そう思ったから。
『送達に関する事情説明書』
という項目で、抜かりなく、包み隠さず丁寧に、すべてを書き出した。
『最後の住所が「社宅」であること』
『相手方の所在が完全に不明であること』
『相手の職場にも問い合わせてみたが、個人情報保護の観点から確認ができないこと』
『警察に行方不明届を出しても、相手が拒否すれば、教えるのは不可能であること』
『通常の送達が不可能であること』
『必要書類の後出しについて』
『“法律で決まっている”という説明の矛盾』
『追加の郵便切手代の負担について』
そして最後に、
「以上の事情から、現地調査は不可能であり、公示送達が最も合理的であると考えます!」
とまとめた。
書き終えた時、胸の奥にあった怒りと不安が、少しだけ形になった気がした。
まとめた書類を、裁判所に提出すると、書記官の人は、真剣に目を通してくれた。
そして、こう言ってくれた。
「最終的には、裁判官の判断になりますが、この書類を見せながら、掛け合ってみます」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が少しだけ軽くなった。
この書類があったおかげで、私はようやく、公示送達の申請をすることができた。
でも、帰り道でふと思った。
裁判離婚の申し立てをした時、私はすでに調停離婚を終えていた。だから
『調停不成立証明書』
を見せた時、手続きは驚くほどスムーズに進んだ。その瞬間だけは、
「弁護士を雇っていたのも、完全に無駄ではなかったのかもしれない」
そんな気持ちが一瞬だけ、脳内をよぎった。
けど、私があのクソ弁護士に、どれだけ蔑ろにされ、どれだけ傷つけられ、どれだけ裏切られたかは、紛れもない事実だった。
「どうせ、解任する運命だったのなら、調停が終わった時点で、解約しておけばよかった」
と、そう何度も後悔した。
相談してきた知人たちにも
「弁護士を雇った方がいいのでは?」
って、そう何度も言われてきたし、
「これで解決するなら」
と思って、自分で弁護士を探して依頼までした。
でも、今は違う。
私はもう、自分の力でここまで来た。
書類も、証拠も、説明も、全部ひとりで整えてきた。
誰にも頼れないから、自分でやるしかなかった。
そして今、ようやく『離婚成立』というゴールが見えてきた。
前回は、クソ弁護士と話の通じない書記官たちのせいで、直前になって裁判が取り消され、かなり理不尽な思いをした。
だからこそ、今度こそ!
来月予定されている裁判は、絶対に実行されて、そこで離婚を成立させる!
それが、今の私の目標!
私が、自分の人生を取り戻すための、最後の大きな壁!




