第45話 社会の影と向き合う今の私
社会に出て、10年以上経った今でも、理不尽な出来事は、突然、こちらに向かって飛んでくることがある。
ある日、前のチームが起こしたミスの責任を、
なぜか、私ひとりに押しつけられたことがあった。
「自分たちの時間を煩わせるな」
そんな言葉まで投げつけられた。
「いやいや、それを言うなら、ミスをカバーするのが社員の仕事でしょ!」
「どうせ、自分たちは、日頃から楽をすることしか考えてないでしょ!」
「社員のくせに、ホント頼りないし、自分たちのことは、いつもそっちのけにするし!」
「それに、文句を言うなら、私じゃなくて、前のチームに言え!」
と、心の中で何度もそう叫んだ。
けど、声に出したところで、分かってくれる感じがしなかった。いかにも、擦りつけるような言い方をしてきたから。
それと最近、年齢的にも年下の後輩を持つことが増えた。
昔は教えるのが好きだったし、誰かの成長を支えることに喜びを感じていたこともあった。
でも、今は違う。
お願いしたことをやってくれないどころか、生意気な口を叩いてくることもある。
「なんで私ばっかり、後輩にまで、こんなに気を使わなきゃいけないんだろうか?」
言ったところで、どうせ届かないし。
そんな気持ちが胸の奥に、どんどん積もっていく。
社会の中で働くということは、家族とは違う種類の『影』と向き合うことでもある。
『理不尽な責任転嫁』
『届かない声』
『後輩との摩擦』
『誰にも気づかれない疲れ』
それでも私は、今日も仕事へ向かう。
あの日、家を出て手に入れた『自由』を守るために。
そして、今の自分の人生を、自分の手で続けていくために。




